「人を喜ばせようとすること ―― キャンプの期間を経て感じたこと」
みつき

なのはなキャンプ2025 感想文
 
 4日間の山小屋キャンプが終わってしまいました。
 目を閉じると、山小屋やおじいちゃんの山の中の景色がすぐによみがえってきます。ここで、みんなと過ごすことができた時間が、また自分の大切な思い出のひとつになるのだなあと嬉しくなります。
 
 ずっとこの山の中にいたい、と思ってしまうくらいの大きさや深さを持って自分たちを包み込んでくれる、おじいちゃんの山。
 朝から晩までこうして過ごすことができるのは、当たり前のことではないんだなあと改めて感じました。

 

◆秘密基地づくりの実行委員として感じたこと

 今年、基地作りの遊びの実行委員をさせてもらいました。
 さくらちゃんがリーダーをしてくれて、そのなかで動かせてもらうことで、いくつもの経験や気持ちを吸収させてもらいました。
 
 さくらちゃんが、チームで集まったときにいつも紙とペンを持っていました。そして、何がどこまで進んでいるのか、何をこれからやりたいのか、全て書き出してくれていました。「考える」というのはそういうことなのだな、と何度も気づかされたし、自分の頭の中を明確に、クリアにすることが、良い仕事にもつながるのだと感じました。

 みんながお父さんお母さんに基地の図案を確認していただく日がありました。その日、わたしはすべてのチームの確認の場に同席していたのですが、このことが自分のなかに、色濃く残っています。
「こんなアイデア、こんなデザインの基地を思いついたんだなあ」
 と、みんなに対して凄いと感じる気持ちももちろんありました。けれど、それを見たお父さんお母さんの言葉に驚きました。
「それだったら、このように作れば時間内でできると思うよ」
「この部分に支柱を立てなければ基地が不安定になってしまうと思うよ」
 お父さんお母さんはやっぱり、なんて大きくて広いんだろう、と感じました。わたしは正直、この図案確認は図案を修正してもらう、どこか指摘され、書き直すことになる時間、と思ってしまっていました。
 お父さんお母さんが、どのチームがどんな基地を計画していようとも、それを真っ向から否定せず、むしろその基地を尊重してくれました。
 みんなが思い描くその基地が、どうすれば実現できるのかを、様々な方向から考えて、アドバイスをくださいました。

「お父さんが考えてくださったアイデアが、すごくぴったりです!」
 と、最後はどのチームも笑顔で帰っていく姿が印象的で、自分もとても嬉しくなりました。
 そして、お父さんお母さんがどこまでも自分たちを理解し、応援し、力になってくださっていることに気がつきました。
 本当に嬉しいことで、基地作りを成功させたいと思えました。
 
 
 材料を調達するのに、実行委員のみんなだけで調達できるのか、それは大きな仕事のように感じてしまっていました。
 けれど、他のチームの子にも助けてもらって、材料を集めたり、加工することができました。竹割りマシンを使ったり、なのはなの畑や竹林からつるや篠竹を集めてきた時間がとても楽しかったです。
 材料や道具を集めてくるとき、みんなと何回もダブルチェックや確認をし合いました。かのんちゃんと一緒に「よし、全部そろっているよね!」と言い合ってやっていると、すごく気持ちがぴしっとして気持ちが良くて、自信が出てくるようでした。
 
 本番、本当にどのチームも基地を作り上げていて、それも図案に近いものを作れたことが本当に凄いなあと感じました。さやねちゃんチームは、図案がとても緻密で、材料もABCとアルファベットが割り振られていて、それぞれ長さも決められているのが印象的でした。
 さやねちゃんチームの基地は、本当に図案の基地を実現していて、そのなかで衣装を着た相川さんが居てくださる光景があって……。縁日のときにそこで綿菓子屋をしてくださる、まちこちゃん家族の姿や、相川さんの衣装がコンサートの舞台で使われている姿を想像できて、ものすごく夢や希望を感じました。
 さやねちゃんに、「基地、すごく緻密で、実現していましたね」と話すと、
「実行委員さんが材料を全部その通りに用意してくれていたから、組み立てるだけだったよ」
 と言ってくれました。
 
 すこしでもみんなの力になれて、みんなで完成させることができた基地が作れたと思いました。
 縁日も楽しみになる基地になって、次につながるみんなの基地になって、とても嬉しかったです。
 

◆手を繋いでゴール

 ウォークラリーでは相川さんチームに入らせていただきました。吹き矢のブースでは、相川さんはやっぱり吹き矢の名人で、「見えるかな」と言いつつも、しっかり的の急所に命中させている姿が、格好良かったです。
 とても嬉しかったのが、相川さんだけではなくて、えつこちゃんが急所に2回連続で命中させていたり、ボーナスステージの火の玉も、あけみちゃんやみんなの力で、すべての火の玉に命中させることができました。一緒にハイタッチをして喜び合えた時間がとても心に残っています。

 ジップラインのブースでは、今年は、ジップラインが空を飛ぶ一反木綿になっていました。滑り降りる前は少し怖さもあったのですが、実際は滑ってみたらものすごい解放感と爽快感がありました。1回しか滑られなかったのが惜しくて、来年はもっともっと滑りたいです。

 メンバーの子が、滑り降りてくるたびに、「叩きつけるようにしたら入れやすいよ!」「思っているよりスピードが速いから早めに投げたらいいよ!」とアドバイスをくれて、すこしずつキュウリを入れて得点を得ることができました。なかなか3本入れるのが難しく、自分は1本だけしかキュウリを入れられなかったのですが、それでもチームのみんなが喜んでくれたことが嬉しかったです。
 最後に手を繋いで「ゴール!」と言ってゴールできたこと、そして、「それぞれの持ち味が活かせて、みんなが活躍できる場があったね」と言い合って帰ってこられたこと、相川さんやみんなの空気が嬉しかったです。

 

◆袋小路突破隊 & TATSUMI

 キャンプ初日の夜と言えば、みんなのライブ。その夜はいつもドキドキの夜です。
 今年は袋小路突破隊として演奏をさせてもらったのと、タツミとして漫才をさせてもらいました。
『行き止まり』を初めて聴いたときのことは、忘れもしません。
 なのはなに来て2か月のわたしは、衝撃を受けました。
「落としてきたよ!!!」から始まり、思い切り叫んで、踊って、ドラム缶を叩くみんなの姿が本当に格好良かったです。
「病気になって良かったよ 治ってみたらユートピア 夢の世界があったんだ」
 その歌詞がずっと心に残っていました。それまで、ずっと病気になったことを悔やんできて、やり直したいと思い続けてきた自分にとっては、世界ががらりと変わるような歌詞でした。
「自分も病気になってよかったと笑えるようになろう」
 そんな勇気と希望を貰ったことを今でもはっきり覚えていて、わたしにとって「袋小路突破隊」はヒーローのような存在でした。
 
 やよいちゃんが誘ってくれて、『行き止まり』を一緒に歌わせてもらえることになったとき、とても嬉しかったです。忙しいながらも、メンバーのみんなと時間を合わせて、歌を練習したり、ダンスを考えたりしました。音楽室であまりに大声で歌いすぎて、放送が全く聞こえていなかったり、大雨の中、ドラム缶を赤色に塗ったり…。とても楽しかったです。
 初めて聴き、初めて歌うももかちゃんや、かのんちゃんが居てくれて、ドラム缶もバージョンアップしてわたしたちのドラム缶に塗り替えることができて、こうやって今のメンバーでも歌い継いで、残していけることがとても嬉しかったです。

 タツミは今回で3回目のライブ出演でした。
 お父さんに台本の確認をしに行かせていただいて、お父さんが「台本を作り直そう」と提案してくださったことが有り難かったです。お父さんは本当にいつも「もっと良くありたい」という気持ちで、わたしたちに良かれの気持ちで居てくださることを感じました。
 わたしはそのとき、日常的に任された役割や、係の仕事、ライブ出演など、自分の頭の中が整理できずにいて、ごちゃごちゃでパニック状態になっていました。「時間がない」「もう自分には何もできる気がしない」と思ってしまっていました。お父さんは自分の何倍も忙しく、やるべき仕事も沢山あるだろうけれど、自分たちのために台本を書き、練習まで見てくださいました。このくらいで忙しいと言い、それを言い訳にしようとしたり、くよくよして、お父さんに感謝の気持ちをすぐに伝えられなかった自分が情けなく、恥ずかしく感じました。
 
 夜の消灯時間を伸ばしてもらって、まちちゃんとひろこちゃんと集まって夜の練習の時間もいただきました。練習が始まってすぐの頃も、
「いっぱいいっぱいになってしまっていて、苦しい。自分にはできる気がしないと思ってしまう」
 と、まちちゃんの前で泣いてしまいました。まちちゃんが大きく受け止めてくれたことが有難かったし、ひろこちゃんがその時、
「こうやって、タツミだからいいよ、って、夜にも練習する時間を頂けるのはありがたいね」
 と話してくれました。

 お父さんから台本を頂いて、練習を見ていただいた夜も、泣いてしまいました。
 お父さんが夜、自分たちのことを考えて書き上げてくださったこと、お父さんの姿、気持ちを想像してみると、涙が出てきてしまって、また泣いてしまいました。
 わたしは、本当は、とても、とても漫才がやりたいし、タツミのことも人を笑わせることも大好きなんだと知っていました。
 ひろこちゃんもまちちゃんも同じだと話してくれました。
「漫才ができるできないは正直どちらでもいい、けれどこの3人で居られる時間がとても好きなんだ」
 と2人が話してくれて、本当に嬉しかったです。
 何か言い訳を見つけて、怯えて逃げようとしていた自分がお父さんにも2人にも失礼で、申し訳なかったと思いました。笑ってもらえるかじゃなくて、理想を求めた今の自分たちで漫才をやりたい、やり切りたいと思えました。
 お父さんが脚本に求める理想を考えながらも、自分たちが楽しんでできることを意識しながら練習を繰り返しました。今までで一番脚本が出来上がったのは遅かったはずなのに、お父さんが考えてくださったセリフは言いやすく、覚えやすく、暗記することができました。

 ライブが終わってから、お父さんお母さんが、
「リハーサルの時よりずっと面白くなっていて良かったよ」
 と話してくださいました。自分は本当につくづく未熟で、漫才の腕もまだまだ未熟だなと感じます。でも、お父さんと漫才ミーティングを定期的に開くことを決められたことも嬉しかったし、まちちゃんとひろこちゃんと、この漫才を、自分たちの成長材料にしていこう、と決めました。

 大トリの、なのタヒチの演奏が心に残っています。ゆりかちゃんやよしみちゃんの笑顔が忘れられないです。本当に綺麗で可愛いくて、そこには尊さを感じました。自分が見ていた席からは、よしみちゃんがすぐ目の前に見えたのですが、よしみちゃんが本ッ当に嬉しそうな、楽しそうな笑顔で踊っていました。
「ああ、よしみちゃん、今、すっごく楽しいんだな、幸せなんだな」
 そうハッキリ感じとれました。自分もこんな風に表現して、人を笑顔にしたり明るく出来る力をつけていきたい、と思えました。
 新曲2曲が一瞬で好きになりました。今年、みんなと歌って踊れることがとても楽しみです。

 

◆一番望むこと

「みんなは本当に気力があるし、体力があるし、こんな風に企画もできる、すごい力を持っている」
 そう、あゆちゃんたちが話してくださいました。
 それを聞いて、わたしは、まだ自分のその力を最大限引き出したり、本当に自分のなかにあるものを発揮することができていないと感じました。いつも誰かにされる側、受け身の姿勢をやめて、いつも自分がする側で、攻めの姿勢で居たいです。
 人を喜ばせようとすることが自分を喜ばせることになる、自分の身体が一番望むことだということを、ちゃんと心に落とします。
 このキャンプを経て、いつも積み重なる1日を過ごしていきたいと思いました。一度経験したことは、もう自分のものにします。このキャンプでみんなと過ごすことができたことがとても嬉しくて、もっともっと貢献できるように成長していきます。