「自然に楽しいと思えたこと」
のりこ

なのはなキャンプ2025 感想文

 キャンプでの出来事が、どれも楽しかったです。私はキャンプが初めての体験で、緊張や不安がかなりありました。なのはなのイベントの中でも、キャンプは1位か2位を競うくらい楽しいイベントのようで、みんなの話を聞いていると、楽しみな気持ちと不安な気持ちの両方がありました。自然の中で、子どもに返って思いっきり遊べたらどんなに楽しいだろうなぁと思う気持ちも強くありながら、楽しめなかったら自分に失望するだろうなぁという不安がありました。当日までは不安のほうが勝っていて、準備にもあまり気持ちが入らず、逃げ腰になっていました。準備では、自分が何をしていいのか分からない、吹き矢大会のはじめにする寸劇のセリフをもらえても、みんなのように役にはまり切れない、という感じでした。

 でも当日の朝になると、不安な気持ちはほぼなくなっていて、ワクワク感だけがありました。そこのところはよく分かりません。自分の気持ちの変化が不思議だと思います。とにかく、どの遊びも楽しみたい、実行委員の吹き矢もみんなが楽しめるようにベストを尽くしたい、という気持ちになりました。朝食にはみんながドレスコードの緑や黄色の服を着ていて、それを見るとまた気持ちが上がりました。

 

◆自分たちの家が出来上がっていく

 車は吹き矢のメンバーのまみちゃんとえつこちゃんの3人でした。山小屋へ向かう道中も楽しみが膨らみ、いよいよ始まるんだなぁというドキドキ感がありました。また、両側を緑に囲まれた道を走っているだけで、心が豊かになり、幸せを感じていました。
 山小屋に到着し、みんなで荷物を分担して運ぶのも楽しかったです。お父さんとお母さんがおそろいのカラフルな服を着て現れた時は、いつものお父さんと違う印象で、面白かったです。

 1日目の午前はテント張りでした。まず、ふみちゃんとあけみちゃんがデモンストレーションをしてくれました。
 私は、なおちゃんとりなちゃんとかのんちゃんと一緒のテントでした。テント張りはポールを取り付ける所から始まりましたが、ポールの中のゴムを壊さないようにすることに少し緊張しました。私たちのチームは3番目の平らでいい場所でした。だからテントの下にすだれを敷く必要もなく、割と早くテントを張ることができました。タープをテント本体から離すときも、適当な木が周りにあったのでとてもいい具合に進んでいきました。

 だんだんと自分たちの家が出来上がっていく過程がすごく嬉しくて、出来上がるまでに何度もテントに入って寝転んでみては、なおちゃんとかのんちゃんと喜び合う時間がとても楽しくて幸せでした。大人になってもこんなに無邪気にはしゃげることが嬉しくて、それだけで涙が出そうになりました。1日目の午前だけで充分キャンプを楽しんだ気持ちになりました。

 昼食は、まさはるさんの作ってくれた焼きそばをいただきました。私は子どもの時は焼そばを食べたことはありましたが、病気になってからなのはなに来るまで30年近く食べたことがなく、あまり好きではありませんでした。でも今回、焼そばがとても美味しく感じて、美味しいと思えることがとても幸せだなぁと思いました。

 今回、キャンプに不安はありましたが、食べ物に関しては不安はありませんでした。前回の縁日はイベント食が不安でたまらず、結局食べられなかったものが多くありました。その時は焼きそばだけは食べましたが、美味しいと思えませんでした。みんなと同じものが食べられないことが悲しくて縁日を全く楽しめませんでした。でも今回は焼きそばだけでなく、全てが美味しいと思えたこと、みんなと一緒のものを食べて、みんなと美味しいねと言って喜び合えたことがとても嬉しかったです。

 

◆月を見て

 1日目の午後はウォークラリーでした。ずっとジップラインを楽しみにしていました。ジップラインで滑るときはどんな気持ちになるのかなぁ、空を飛ぶ夢はよく見るけれど、そんな気持ちなのかなぁと想像ばかりしていました。実際、最初に梯子を登って高い台の上に乗るときは怖かったのですが、滑っている間は怖さはなく、とても快感でした。空を飛んでいる感じがしました。
 目玉を乗せる遊びは、目隠しをされて少し怖かったですが、ドキドキしてすごく楽しかったです。

 ウォークラリーの中でも吹き矢があって嬉しかったです。相川さんやえっちゃんが何度も急所に当てるのが驚きでした。チームのみんなが的に当てる度にみんなで思いっきり喜び合えた時間がとても嬉しかったです。私は全く貢献できませんでしたが、チームとしては全ての妖怪と火の玉を退治できて嬉しかったです。

 タケノコ堀りは少し難しかったです。私は大学生の時に、大学の裏山にタケノコがたくさん生えていたので、タケノコ堀りをしたことがあるのですが、その時も上手く掘れませんでした。今回もやはり難しくて相川さんとあけみちゃんに掘ってもらいました。私は何もできませんでしたが、美味しそうなタケノコが3本採れて嬉しかったです。

 夜のお父さんのライブでは、間近でお父さんの歌や話を聞くことができて、ドキドキしました。お父さんが、もう死んでしまおうと思った時に、川に映った月を見て生きる決意をした話は、何度聞いても涙が出そうになります。自分がいま生きている意味、これから何のために生きていくのかを改めて考えさせられて心が正される思いがしました。

 初めてテントで寝る夜はドキドキワクワクしました。何か獣の鳴き声が聞こえてきたり、雫がテントに当たる音が聞こえてきたり、隣のテントからりゅうさんと相川さんの話し声が聞こえてきたり、いろんな音が聞こえてすごく安心感というか幸せな気持ちというか、とにかく満たされた気持ちで眠りました。

 

◆1人では絶対にできないことを

 2日目の朝、朝食前にもう一度ジップラインを滑ることができて満足しました。まちちゃんとよしみちゃんが付き合ってくれて嬉しかったです。

 午前は基地作りでした。私はまえちゃんチームで、とにかく運んだ材料が多かったです。午前だけの時間で、こんなにたくさんの材料を使いきって家にできるのか、最初は全く自信がありませんでした。竹を一本切るにしても、1本の竹を地面に打ち込むにしてもかなりの時間がかかり、こんなにのんびりしていては間に合わないぞ! と思っていました。でも、まえちゃんやゆいちゃんの指示が的確で、最終的には他のチームの人も手伝ってくれて、何とか図案と同じようなものが出来上がってホッとしました。

 のこぎりを使ったり、かけやで竹を打ち込んだり、しの竹やササや蔓などを屋根にかぶせたり、竹をしならせて屋根にしたり、とにかくダイナミックな作業ばかりで、それがとても楽しくて嬉しかったです。普段はこんなことできないし、1人では絶対にできないことを、みんなで真剣に、そして楽しんでできることが本当に嬉しかったです。かけやで打ち込む時、ひでゆきさんやトーマスさんが打つと、ズンズン入っていくので男の人の力はやっぱり凄いなぁと思いました。

 

 午後は料理の鉄人でした。料理には少し心配がありました。いつもは出されたものを何も考えず食べればいいのですが、自分たちで作るとなると、作る過程を見てしまうと口や手を出したくなってしまうし、何か症状めいた気持ちが出てくるのではないかという心配がありました。出来上がるまではいろいろ心の中で葛藤があったのですが、食べてみたらどれもすごく美味しくて、幸せな気持ちになりました。お父さんのカツを初めて食べました。りゅうさんも肉をたたいて柔らかくなる工夫をしてくれたようで、本当に美味しかったです。私も料理の仕事をしていた時、揚げ物の日はかなり気合を入れる必要がありました。今回、揚げる数も多くて本当に大変だったろうなぁと思いました。

 みんなのライブはどのチームも全て感動があり、笑いがありました。みんなが本当に全力で思いっきり自分を表現している姿が、見ていて涙が出そうになる場面がありました。

 夜はサウナとお風呂タイムがありました。私はサウナが好きではなかったのですが、今回入ってみてすごく楽しくて、気持ち良くて、嬉しかったです。ななほちゃんとももかちゃんと3人で入って、温度が上がっていくにしたがって、テンションが高くなっていき、ハイな気持ちになりました。汗がタラタラ流れ落ちるのが快感でした。お父さんが喜んで薪を入れてくださっているのが窓から見れて、それも凄く嬉しかったです。サウナを手作りで作るなんて、普通なら考えもしないことをやってのける須原さんが凄いなぁと思います。

 

◆サービスし、楽しませる側として

 3日目の午前は吹き矢がありました。私は実行委員だったので少し緊張していましたが、みんなに思いっきり楽しんでもらうためには全力を尽くそうという気持ちにもなりました。でも自分は台詞をきちんと言うこと、集計の時、聞き落とさずに間違いなく計算すること、大きな声で合計点を発表することなど、自分の役割のことしか考えられていなかったなぁと思いました。朝に準備をする時も、やよいちゃんの指示されたことだけをして、集計係の机の位置を、ステージに移した方が場を広く使えるということも、あゆちゃんから言われて初めて気づき、全てを人に言われて初めて気づく、動く、という感じでした。

 吹き矢でもそうですが、準備段階から本番当日も含め、全体的に自分は楽しませてもらうという立場で、楽しませるということが殆どできていなかったと思います。サービスを受ける受動的な立場から、サービスを提供する能動的な立場になることが、大きな課題だと思います。来年のキャンプではもっと能動的に動きたいし、そのためには普段の生活から能動的に動く必要があると強く感じました。

 昼食の卵サンドとカツサンドがとても美味しかったです。何度か書いたかもしれませんが、以前の私はパンもカツもマヨネーズやソースの類も全て絶対に食べられない食材で、このメニューはとても恐ろしいメニューでした。それが、その日卵サンドとカツサンドがとても嬉しくて、まことちゃんたち台所のみんなが作ってくれたんだなぁと思ったら余計に嬉しくて、食べてみたら本当に美味しくて、美味しいと思えることも嬉しくて、何もかも嬉しかったです。

 3日目の午後は新聞紙ファッションショーでしたが、雨が降る予報だったので、明日に延長し、古吉野に帰ることになりました。キャンプが終わってしまうようで少し寂しかったですが、みんなで片づけをする時間も楽しかったです。古吉野に帰ると、それはそれで、ああ、帰ってきたんだなぁと安心した気持ちになりました。夕食には山菜の天ぷらがたくさん載った天ぷらうどんとパウンドケーキでした。自分たちで採った山菜だと思うと、美味しい天ぷらが更に美味しく感じたし、毎食美味しい食事を提供してくれる台所さんたちが凄いと思い、感謝の気持ちでした。

 最後の遊びの新聞紙ファッションショー(ニュースペーパーファッションショー)は、私はまえちゃんチームでした。私たちのチームは一つのパーツを大量生産し、そのパーツだけで衣装を作るということでした。私はひたすらパーツを折り続けました。これをどう組み合わせてどういう形になるんだろうと、想像ができなかったのですが、まえちゃんやゆいちゃんがそれらをつなぎ合わせて、可愛い衣装に仕上げた時は、本当のファッションショーに出てきそうな衣装を新聞で作れることに驚きました。
 他のチームの衣装も、どれもびっくりさせられました。みんなのアイデアが凄すぎて、デザイナーになれるんじゃないかと思いました。モデルになった子たちが、本物のモデルになり切って、ポーズをきめたり、にこやかに堂々と歩いて出てくるのが、みんな度胸があって凄いなぁと思いました。

 

◆キャンプを終えて

 無事にキャンプが終わってホッとしました。自分も楽しめたし、みんなも全力を出し切って思いっきり楽しんでいるようだったし、ゲストの方にも喜んでもらえて、すごくいいキャンプだったと思います。お母さんが、子供に返って思い切り楽しんだらいいんだよ、と言って下さいましたが、本当に子どもに返れたと思います。いい年した大人が、若い子に混じって子供みたいにはしゃぐのは恥ずかしい、なんてことは、なのはなにいると全く思う必要がなくて、すごく気持ちが楽だなぁと思います。

 お父さんが、楽しければ楽しい、楽しくなければ楽しくないでいい、と仰いましたが、やっぱり楽しめなかったら寂しいなぁ、という気持ちがありました。でも終わってみれば、遊びもそれぞれ楽しかったです。無理に楽しもうとしたのではなく、自然に楽しいと思えたことが嬉しかったです。山小屋の自然の中にいるということだけでも楽しく、穏やかな幸せを感じました。すごくかけがえのない時間を過ごしているなぁと感じて、フッと涙が出てきたり、流れている音楽を聴いて涙が出てきたり、結構泣いていました。笑ったり感動したり、興奮したり、泣いたり、いろんな気持ちを感じられたキャンプでした。