
4月20日のなのはな
第32回津山加茂郷フルマラソン全国大会
《フルマラソンの部 後編》
(ここからの記事は再び、ゆうな が担当します)
見えてきたのは折り返し地点と、お母さんの姿。「半分だよー!! いけー!!」そうおっしゃって応援してくださっている姿を見たら、本当に涙があふれそうになりました。
折り返し地点にきて、道を折り返して、来た道を再び走っていこうとすると、お母さんがものすごく大きなかりんとうを渡してくださいました。りゅうさんが買ってきてくれたんだ、そう言って渡してくださったかりんとうを食べたら、ものすごく、パワーがみなぎりました。ものすごくエネルギーになって、お母さんとりゅうさんのパワーも同時にもらったような気持ちになって、すごく走るのが楽になりました。
折り返すと、坂道はなくなり、逆に下り坂になりました。下りになると、身体が本当に軽くなったように走りやすくて、「わー!」と言いたくなるくらい、風が気持ちよかったです。

私はなのはなの中で2番手くらいのチームにいたので、割と前半で、折り返すと多くのなのはなのみんなが折り返し地点に向かって走っているところにすれ違いました。すれ違う時は必ず、飛び切りの笑顔でハイタッチ。「頑張れ」その言葉と一緒に、すれ違うのがものすごくうれしくて、暖かくて、本当にたくさんの力をもらいました。
その後はほとんど、下り坂が多く、折り返しを越したら、あっという間でした。軽やかに走っていたら、10キロはすごくあっという間でした。
しかし、下りだから、と言って調子に乗って、かなり時速8キロよりも速いペースで走っていたら、最後の14キロ。下りの道もなくなり、ものすごくきつく感じました。
14キロの距離は、なのはなのみんなと一緒に練習した距離。だけど、その距離がものすごく長く感じました。
こんなにも長く走り続けたら、足も疲れてきて前に踏み出す足の歩幅が徐々に狭くなり、姿勢も徐々に悪くなり、体中の不調が出てきました。
「苦しい」そう感じたとき、目の前にはミニマラソンを走り終えたみんなの姿がありました。すごく大きな声で、
「ゆうなちゃん!! がんばれー!!」
と声援が。その姿にものすごく、力をもらって、うれしくて曇りかけていた自分の顔が自然と笑顔であふれて。本当になのはなの力は偉大です。本当に本当にうれしかったです。
そのあと、調子を整えて、時速8キロペースで走り続けました。残り12キロ。残り11キロ。残り10キロ。ここ付近の1キロは、10キロくらいあるんじゃないか、と疑うくらい、長く長く感じました。よしみちゃんをずっと追って走っていたものの、いつの間にかよしみちゃんの姿は見えなくなり、近くで走っていた、ななほちゃんやそなちゃんの姿もいつの間にか見えなくなりました。
前にも後ろにも、なのはなの子の姿は見えない。残り14キロ地点から、ゴールまで、なのはなの応援の子にも会うことがなく、正直すごく寂しかったです。
でも、そんな時、残り9キロの地点で見たことのある軽トラが通りました。そこには見覚えのある笑顔があって、軽トラから出てきたのは永禮さんでした。
「つらいと思うけど頑張って!」
と言って、「なのはなさん応援しています」という虹色の紙をもって声をかけてくださいました。私はその笑顔に、その姿にものすごく救われました。さみしくてつらくて、もうやめようか、歩こうか、そう考えたとき、そんな、輝いた笑顔を見たら、本当に涙が出るほどうれしくて、
「ダメだ、ちゃんと最後まで走るんだ、自分!!」
そんな前向きな気持ちに一気に変わりました。
残り、8キロ。7キロ。6キロ。徐々にゴールに近づいてくる。しかしそれと同時に多くの疲労がものすごく出てきて、身体はもう限界を越していました。でも、それでも、私は走り切りたい、ちゃんと最後まで走りたい訳があって、それは、なのはなの子たちとの、一緒に毎日練習した思い出でした。
これだけの日々を、毎日一緒に走り続けてくれたみんなが今、同じ距離をゴールに向かって走っている。姿は見えないけど、目指しているところは同じなんだ、そう思うだけで、みんなと走り切りたい、という意欲が出てきて、身体は自然と動きました。
時速8キロより少し遅かったかもしれないけど、確実に確かに、足を動かし続けました。
そしていよいよ、残り1キロ。やっとだ、やっとだ、その思いで、懸命にひたすらに走り続けました。
すると、ゴールのゲートが見えてきて、前にはお母さんの姿がありました。
「ゆうな、よくやったよ、早かったね、すごいよ!!」
とキラキラした笑顔で叫んでくれました。その言葉を聞いたとき、私は本当にドバっと涙があふれだしました。まだ、ゴールしてないのに、そのお母さんのいつもの笑顔と、うれしい言葉があって、ものすごく安心したような、緊張が一気に解けて、今までため込んでいたものがすべて込み上げてきて、一気に涙があふれだしました。
涙を流したまま、グランドに行くと、たくさんの笑顔であふれていました。そこにはなのはなの応援組のみんな、お父さん、走り終えた子たち、そして関係者の方や他のランナーの方々がゴールテープの前で、本当に輝く笑顔で「おかえりなさい!!!」そう言ってくれて。さらに涙があふれだしました。
ゴールテープを切ったとき、もう私はびちょびちょでした。雨がゴール直前に降ったためにぬれたのと、汗でぬれたのと、涙でぬれました。自分はめちゃくちゃでした。何をどうとらえたらいいのかもよくわからず、とにかくお父さんに飛びつきに行きました。お父さんがハグしながら、
「よく頑張った、ほんとうに、よくやったよ」
そう言ってぐっと抱きしめてくださって、そのお父さんの気持ち、姿にもまた涙があふれだしました。
本当に、とにかく完走できたことがうれしくて、そして何より、自分のことのように喜んでくれる、仲間、お父さんお母さんがいてくださって。本当に、心がいっぱいでした。
そのあとも、泣きながら、あゆちゃんのところに抱き着きに行くと、あゆちゃんが思いっきり受け止めて、ぐっと強く抱きしめてくれて、その暖かさは今まで感じたことがないくらい、暖かくて優しいものでした。みんなが、「やったね、すごいよ」そう言ってくれて、走り終わった子たちとハイタッチをして。そんな温かい時間が、本当に走り終わった私にとって、心いっぱいになるものすごく濃い時間でした。
そのあともらった、完走証。「記録4時間59分26秒」。その完走証は、私にとって自信へとつながる、一生の宝ものです。
走り終わった後に食べる、マラソン弁当。まことちゃん中心に台所チームのみんなが協力して、本当においしいお弁当を作ってくださって、そのお弁当は、ものすごくものすごく心と身体にしみわたりました。
もちろん走りながら、飴やチョコをつまんでエネルギー補給をしていたけれど、私が求めていたのは、そんなものではなくて、走り終わった後に食べる、愛情のこもった、世界一暖かいお弁当。米! 肉! 卵焼き! すべて自分が求めていたもので、食べた瞬間、涙が出てきそうになりました。こんなにも、お弁当を心から美味しいと思ったのは初めてでした。美味しいだけじゃなくて、台所さんたちの愛情がものすごく食べたらあふれ出てきて、「幸せだー!!」食べながらそう叫びました。
食べ終わった後は、ゴール地点まで戻って、帰ってくるみんなを応援しました。続々とみんなが帰ってきて、帰ってきた後にみんなでハグする。必死に一生懸命走って帰ってくるみんなの姿があって、「あと少し!!! 頑張れ!!」思わずそう叫ぶ。その懸命に走っている姿を見たら、本当に涙がボロボロ出てきて、走り終わった後の、やったよ、っていう笑顔を見たら、ものすごく自分まで泣きながら笑顔になって。その一瞬一瞬が本当に本当に濃くて大切で、輝く思い出となりました。

私は今回、フルマラソン大会に参加させてもらって、本当に心も身体も成長することができました。
1年前、なのはなに来た時、「絶対に私は走りたくない」そう思っていました。2か月前、マラソン練習が始まる直前まで、「自分は走れない」そん自信のなさがあって、不安でいっぱいでした。でも、いざ、みんなとマラソン練習をしていると、本当に楽しくて、走り終わった後のみんなで味わう達成感、走ってる最中どんなにつらくてもみんなが一緒に走ってくれていて、背中を押してくれて。そんなみんなの姿があったからこそ、私はマラソンが心から楽しいと感じることができたし、42キロ完走したいんだ、という強い意志がわいてきました。
実際走ってみて、もちろんきついと感じたけれど、それ以上にみんなの応援や、みんなの中で走る喜びをたくさん感じて、うれしくて幸せで、こんな経験はきっとなのはなに来れなかったら、できなかっただろう、という本当に最高の1日だったという思いでいっぱいです。そして、お父さんが、
「来たばかりのゆうなとは見違えるくらい、成長を遂げて、お父さんは涙が出るほどうれしい」
そうおっしゃってくださって、自分が成長することに対して、こんなにも喜んでくださるお父さんお母さんがいることに、私は本当に幸せで、お父さんお母さんがいてくださるからこそ、私は安心して前に進んでいけると感じます。
もう、何も怖くない。走ることも、全力を尽くすことも、体力を消耗することも、何も怖くない。42キロ走り切ったという自信。お父さんからからきいた言葉。すべてが自分のものになって、これからの自分につながって、これからの自分が楽しみになるくらい、ワクワクしています。本当に本当にきっと一生残り続ける、最高で幸せな思い出です。こんな思い出をくれた、お父さんお母さん、なのはなファミリーのみんな、ありがとう! みんなが本当に大好きです。
(ゆうな)