4月20日(日)「津山加茂郷フルマラソン全国大会 《ミニマラソンの部》」

4月20日のなのはな
第32回津山加茂郷フルマラソン全国大会
《ミニマラソンの部》

(ミニマラソンの部の記事は、のりこ が担当します)

 マラソン大会当日です。朝から終わって帰ってくるまでずっと幸せを感じていました。多くの人の温かさを感じ、今まで味わったことのないような満たされた気持ちで一杯でした。

 マラソン大会前日ということで、昨夜はいつもより早い21時30分消灯でしたが、興奮してなかなか寝付けませんでした。今朝も3時前から目が覚めて、起床時間の5時まで布団の中でゴロゴロしていました。あまり緊張はしておらず、ワクワクする気持ちの方が大きかったのですが、少しは緊張していたのかもしれません。

 最近の練習は不調が続いていました。だから今日も、絶対にダントツのビリに違いないと思っていました。速く走れなくてもいいから、とにかく一生懸命走ろうという気持でした。

 でも走る前に、お父さんから、今日はスピードを意識して走ってみるように言われて、そうか、ビリでもいいと諦めるんじゃなくて、今までで一番速く走る気持ちで走ろう、と挑戦する気持ちになりました。使命感のようなものがメラメラと湧いてきました。

 

IMG_2885

IMG_2887
〈午前10時30分、ミニマラソンがスタートしました〉

 

 今日は天候にも恵まれ、コースがほぼ平坦だったこともあり、いつもより身体が軽く前へ進む感覚がありました。ミニマラソンの部へ出場している300人ほどの大勢で走る空気に押されて、苦しさは殆どなく、嬉しい気持ちと燃える気持ちでいっぱいでした。

 折り返してきたみんなとすれ違う時、「ファイト!」とか、「のりこちゃん! 頑張って!」などといろいろ声を掛けてくれるのが凄く嬉しくて力をもらえました。みんなが応援してくれていることが私の気持ちを強くさせたし、私が走り切ることで誰かの希望になるかもしれない思うと、少しでも速く走ってやろうという気持ちになれました。

 

1IMG_2918

IMG_2908

IMG_2933

IMG_2924

IMG_2935

 

 ゴールが近づくとやはり、胸がいっぱいになり、涙が出てきました。ゴール近くでかにちゃんが、「のりこちゃん! 格好いいよ!」と力強く声を掛けてくれたのが本当に嬉しかったです。自分ほど、格好いいという言葉が似合わない人間はいないと思うのですが、そんな風に思ってくれたんだなぁと思うと本当に嬉しかったです。

 最後のグラウンドで、ミニマラソンを走り終えたみんなが、「のりこちゃん! 頑張って!」と叫んでくれて一緒に走ってくれて本当に嬉しかったです。本当にみんながいたから走れたと思います。

 走り終わってタイムを見ると32分台で、びっくりしました。今まで練習してきた時よりも、一番速く走れたと思います。ミニマラソンだとしても完走できたことが、自分としては頑張れたと思います。自信にもつながったと思います。

 

IMG_2952

IMG_2967

 

 走り終わってからはフルマラソンのみんなの応援に行きました。なのはなの子だけじゃなく、走ってくる全ての人に、「頑張ってください」と声を掛けたり、かりんとうや飴、水分などを配っているだけで胸がいっぱいになってきました。笑い返してくれたり、手を振ってくれたり、ありがとうと返してくれたり、何か反応が返ってくるとさらに嬉しい気持ちになりました。

 最後はグラウンドでゴールするところに行って応援しました。そこでも応援する空気が本当に温かくて、何度も涙が出てきて、こんなに温かい世界があること、自分がその中にいられることに大きな幸せと希望を感じました。

 

IMG_3130

IMG_3617

IMG_3111

 

 走り終えたみんなが、お父さんとハグする場面が、何度見ても感激して、もらい泣きしてしまいました。なのはなのみんなが疲れ切っているだろうに笑顔で走っている姿が本当にきれいでした。そして、応援しているみんなも走っている人と一緒の気持ちになって、温かい声援を送っている姿が嬉しかったです。

 その場にいると自分もいつの間にか熱い気持ちになってきて必死に応援していました。応援される人も嬉しいだろうけれど、それ以上に応援している私たちも力と勇気をもらって、感激し、豊かな気持ちになりました。本当にお父さんが仰るように応援する側も応援される側もお互いさまで、お互いがこんなにも幸せになれる関係が本当に嬉しかったです。今日ほど幸せな涙をたくさん流せた日はないんじゃないかなぁと思います。

 また、台所さんが作ってくれた朝食、昼食、夕食、全てが本当に美味しくて、台所さんの愛情がたっぷり詰まっているのを感じて、食事の度に幸せな気持ちになりました。

 

IMG_2976
〈桜の木の下、特製のマラソン弁当をいただいて、フルマラソンの応援へ出発しました〉

 

 フルメニューでマラソンの練習が始まったのは1月19日でした。そこから3か月間練習を続けてきました。でも私はそれよりも3か月前からお父さんと話をして、毎朝グラウンドを走る練習をしていました。フルマラソンに出たいという気持が強くありました。私の場合はみんなと一緒に練習をスタートしていたのでは間に合わない、という焦りの気持がありました。早くから練習をさせてもらえたことが本当に有難かったです。

 

P1190231
〈1月19日、マラソン練習のはじまり〉

 

 練習の最初の頃は走るということができませんでした。30年近く走っていなかったせいか、走るということに身体が付いていかない感じでした。走ろうと思うのだけれど、どうしても早歩きくらいにしかなりませんでした。ゆっくり歩いている人にも追い越されてしまい、惨めな気持ちになってしまい、動かない足を恨めしくも思いました。また、少し無理して走ろうとすると、足を傷めてしまうということを繰り返し、なかなか順調に練習が進みませんでした。

 1月18日、お父さんにフォームを見てもらい、フルマラソンにエントリーできると知った時は本当に嬉しかったです。フルマラソンを走るためには、ご飯もしっかり食べなければ、という気持を今まで以上に強く持てました。

 フルメニューが始まり、みんなで梅ノ木コースを初めて走った時は、かなり辛かったです。2.5キロでもう挫けそうになる自分に、自信を失いそうになりました。そしてみんなが奈義コース、石生コース、なのはなコース、とどんどん距離を伸ばし、急な坂道も走り切っているのを見ると、みんなと一緒のコースを走れないことを残念に思いました。

 みんなが確実にステップアップしていくのに、自分は付いていけない。同じところをグルグル繰り返していて進歩も何もない。みんながお題回しの話で盛り上がっていたり、最長距離の14キロを走り終えて、達成感、一体感を味わっている空気に、入っていけない。そのような孤独や寂しさを感じる日もありました。

 自分の身体は時速8キロで走れるということはどう頑張っても無理なように思い、どうにも気持ちが沈む日々がありました。一人で泣きながら走る日も何度もありました。

 お父さんに、今年のフルマラソンは諦めて来年頑張ろうと言われた時は、少し残念でしたが、正直ほっとしました。それまでは、走らなければならないのに、走れないことに気持ちが焦っていたと思います。走らなくていいんだ、来年頑張ればいいんだと思った途端に肩の荷が降りて楽になりました。

 

IMG_6374

 

 それからのフルメニューは来年のための身体づくりというつもりで気楽に走れることも多かったです。走っていて本当に嬉しいなぁ幸せだなぁと思う日もあれば、やっぱり悔しくて残念で泣けてくる日もあり、気持の上下を繰り返していました。

 でも、よく考えれば、歩くのがやっとだった自分が走れている、ということ自体が本当に奇跡だと思います。そう思うと、走っていても何もかもが美しく見えて、有難い気持ちでいっぱいになりました。

 自分の身体がこういう風に動くことが、以前の自分からは想像もできなかったことです。それで十分幸せなのに、欲が出てくるともっと速く走りたい、石生の坂も、なのはなコースも、みんなと一緒のコースを走ってみたい、という気持ちになってしまい、謙虚さを忘れてしまうことも多かったです。

 マラソン大会の下見に行った時に、お父さんからミニマラソンに出てもいいと言われた時は、とても嬉しかったです。自分にもできそうな目標が定まったことで、気持ちも定まったように思います。

 なのはなに来るまでの過去を思うと、1年も経たないうちに、こんなに丈夫な走れる身体にして下さったことを本当に有難く思います。

 私がマラソン大会に出たいんだとお父さんにお願いした時、お父さんから、「何のために走りたいの?」と聞かれました。その時は何のためか、何も考えていませんでした。ただ走りたい、という自分の欲しかありませんでした。それをお父さんには見抜かれてしまい、「それじゃあ走れないよ」と言われました。その時、自分の為ではなく、誰かのために走るという気持ちが自分になかったことに気づき、とても恥ずかしく思いました。

 それから走る目的を真剣に考えてみました。私が走ることで誰かの希望になれるかもしれない。私と同じように、走ることを諦めてしまった人を勇気づけられるかもしれない。体力がつけば、畑作業でももう少し役に立てるかもしれない、人に助けてもらう側ではなく、人を助ける側になれるかもしれない、そうならなければいけない、そのために走れる自分になろう。走り切って自分に自信をつけて、助ける側の人間になろう。そう決めました。ただ、決意した後も気持ちが挫けそうになることもあり、自分の弱さを痛感することが何度もありました。

 今年はミニマラソンが精一杯でしたが、来年は是非フルマラソンを走りたいです。走った後、お父さんとハグしたいです。私は今まで男の人とハグをしたことがないので、ハグなんて恥ずかしくて、無理だと思っていました。でもみんなが、走り終わってお父さんとハグしている姿を見ていたら、気持ちが変わってきました。あんな風にお父さんに受け止めてもらい、認めてもらえたら、それは大きな力になるだろうなぁと思います。

 

IMG_2971

 

 自分の中で、何か強いものが育つような気がします。今年の書初めに、私は「全力」と書きました。全力で向かっていけば、走れる気がします。走り切って、もっと大きな希望を与えられる人間になりたいです。

(のりこ)

➭フルマラソンの部 前編はこちら