
4月20日のなのはな
第32回津山加茂郷フルマラソン全国大会
《フルマラソンの部 前編》
いよいよ、待ちに待った、フルマラソン大会当日。天候は曇り。その距離、42.195キロ。
今まで約3か月間、みんなと一緒に毎日練習していたけれど、42キロという距離は未知の世界。本当に私は、心臓が破れるほどに緊張していました。
「どうしよう、大丈夫かな、本当に走り切れるかな、何かあったらどうしよう」
そんなことばかり考えて、落ち着いていることはできませんでした。
走り出す前、なのはなのみんなと一緒に、ゼッケンのつけ合い、足につけるチップをつけ合いました。
近くにいたうたなちゃんとつけ合いをしたのですが、私が不安そうな顔をしていたら、「大丈夫だよ、頑張ろう」そう声をかけてくれました。すにたちゃんも来て、「大丈夫」そう言ってぎゅっとハグをしてくれました。
周りを見渡すと、背中にゼッケンをつけた後に、背中をポンと押して、「頑張れ」そう言いあっている姿も見られて、その空気が本当に暖かかったです。そして、その空気を感じるだけで、「みんながついてる、頑張ろう」という前向きな気持ちになりました。



***

いよいよスタート地点につく時、応援組のみんな、そしてお母さんお父さんが、笑顔で、
「ゆうなちゃん、頑張れ!!」
そう言ってくれて。近くにいたなのはなの子たちが、
「ゆうなちゃんなら大丈夫だよ」
そう声をかけてくれて。それだけで、私は、ものすごく力が湧いて、涙が込み上げてきました。
「走る前に泣いてはいけない」
そう自分に言い聞かせて、必死にこらえて、走り出す。

応援組のみんなの姿、声は徐々に遠くなっていきました。でも、近く、本当に近くで、隣や前、後ろに、なのはなの子達が一緒になって走っていて、そのみんなの姿があるだけで、本当に心強かったです。

私はひたすら、今回のマラソン練習の実行委員をしてきてくれた、よしみちゃんについて行きました。
お父さんがおっしゃっていた通り、時速8キロで安定して、走っていきました。
途中途中に、「今3キロ地点、あと39キロ」そんな看板が立っていて、自分は実際、なのはなで練習していた時は今が何キロ地点なのかとか、あと何キロなのかとか、全く意識したことがなかったので、すごく新鮮でした。正直、1キロってこんなに長いんだ……そう感じました。
ひたすら、よしみちゃんの後を追いかけて、走っていると、周りには、そなちゃんやうたなちゃん、ななほちゃん、りなちゃんがいて、みんなで走っていると全然つらく感じなくて、むしろ、みんなと一緒に走れていることがすごくうれしく感じました。
車に乗った、応援組のみんなが車の窓から身を乗り出して、「頑張れー!!!」と叫んでくれたり、車から降りて近くまで来てハイタッチして、「いいペースだよ、頑張って!!」そう言ってくれたり。
なのはなの子以外にも、大会関係者の方や加茂郷に住んでいる地域の方が「頑張って!」「来てくれてありがとう」とたくさん声をかけてくださって。
そんなたくさんの方々に囲まれながら、走っていると、本当にずっと笑顔でいて、「ありがとうございます」そう言いながら手を振って通り過ぎていると、どんどん走れていって、本当に応援の力ってすごい、と改めて感じました。みんながいたら、「つらい」とか「きつい」とか考えている暇もなくて、とにかくみんなの中で走ろう、そう考えるほかありませんでした。
ひたすら走っていって、「14キロ地点、あと28キロ」という看板が。近くのななほちゃんが、
「今が、なのはなでやったマラソン練習のピークと同じ距離だ」
そう言いました。なのはなで石生、なのはな、梅の木コースを1時間50分くらいかけて、5日間走った思い出。もちろんつらかったけど、みんなが一緒に走ってくれたから走り切れた14,2キロ。その経験があるから、私は今走ることができるな、と感じて、本当に本当にその経験が強みになりました。
「大丈夫、14キロをあと2週分。みんなと一緒に走った経験があるから大丈夫」
そう自分に言って、走り続けました。
走り続けて、2時間ちょっと。その距離18キロ。皆からもらった飴やチョコ、かりんとうをつまみながらも、エネルギー切れにならないようにひたすら走る。
途中、給水所で水をもらうと、水を出してくださる関係者の方が、「ファイト!!」と飛び切りの笑顔で応援してくださいました。20キロ地点になると、結構な坂道もあって、「うっ」っと来てしまうくらいだったのですが、坂道で牛のを変装した方が、「坂道は気のせい」という札を持って応援してくださって、その言葉にすごく力をもらいました。
もちろん、自分は20キロなんて走ったことがなかったので、足が痛くなり始めて、汗はだらだらかき、とにかく必死の思いでした。でも、たくさんの方がそばで応援してくださっていて、その応援があったからこそ、私の足は自然と動き続け、まっすぐ前を向いて走り続けることができました。
20キロ地点。あと1キロでフルマラソンの半分を走ったことになります。
「あと1キロで折り返しが待っている」
その気持ちでとにかく坂を上り続けました。
(ゆうな)
フルマラソン大会 後編へ続く