「スウェーデントーチ」 ゆきな

4月3日 

 梅の霜対策についてのことを書かせていただきます。

 31日の夜からさくらちゃんと梅の霜対策をしました。31日の夜に、一緒にしませんかと、声をかけていただいて、嬉しかったのと同時に緊張しました。

 梅の木の間に、スウェーデントーチをさくらちゃんとさとえちゃんが事前に置いてくれました。梅の実はマイナス2度が30分以上当たると駄目になること。1日の午前2時から30分おきに見回りをして、マイナス2度になった時点で、スウェーデントーチを点火すること。そこから火が消えてないか見回りをすること。スウェーデントーチは約2時間保つこと。さくらちゃんから、やり方を聞きました。

 音楽室で2人で眠りました。午前2時に起きて、さくらちゃんと梅林へ行きました。空を見ると星空がくっきり見えて、綺麗でした。晴れているから、霜が降りるのが早いかもしれない、そうさくらちゃんが話してくれました。梅林に行くと、うっすら草がキラキラ光っていて霜が降り始めていました。

 (霜対策用の温度計がひとメモリ0.1度ですが勘違いして、ひとメモリ1度と読んでしまって、本当に私は気をつけないといけないと思いました)

 梅林に3つ温度計を置きました。霜対策用で借りたアナログの温度計と、古畑の桃の木に設置してあるデジタル温度計を主に使いました。2つの温度計で温度が違っていて、午前2時50分頃にはアナログの温度計はマイナス0.6度(だったと思います)でデジタル温度計はマイナス1.9度でした。

 どっちを信用するかとなったときに、それぞれのメリットとデメリットを考えようとさくらちゃんが話してくれました。

 アナログを信じれば、まだ点火しなくてよい。スウェーデントーチは保つかもしれない。でも、本当にマイナス1.9度だったら、必要なときに梅を守れない。

 デジタルを信じたら、梅は守れる。スウェーデントウチは約2時間しか保たないけれども、木材はあるから足して日の出までは保たせることができる。デジタルを信用して、午前3時頃に着火しました。そうやって、梅を優先して落ち着いてメリットとデメリットを考えたらいいのかとさくらちゃんを見て感じました。

 スウェーデントーチは丸太に十文字(か6等分)に切れ込みがされてあって、十文字の真ん中に丸めた新聞紙を入れ、灯油をかけて、点火しました。丸太の上から炎が上がって、ロウソクが梅の木を照らしているように見えました。真っ暗な中、梅林を灯すのはスウェーデントーチの炎だけで、幻想的でした。現実ではない別世界か、日本ではない異国にいるような気持ちでした。

 

 全て火を付けたら、また初めに火を付けた場所に戻って、火が消えていないか、見回りました。スウェーデントーチの切り込みの幅が浅いと空気が入りにくく燃えにくいことも、見回りをして分かりました。さくらちゃんと2人で夢中になって、火を絶やさないように、火を付けたり、扇いだり、木を足したりしました。

 梅林にいたときに、なにか包容力のある大きな力によって守られている、理解されているような不思議な感覚がありました。本当に不思議なエネルギーでした。ただそこにいるだけで幸せを感じました。

 

 途中で古畑に行くと霜が降りていて、草が霜でパリパリになったように凍っていました。寒いな、と感じたのですが、梅林に行くと、温かくて、梅は守られていると感じました。

 梅の枝や花に霜がついていなくて、見ていて安心しました。

 日の出を見て、さくらちゃんと「梅は守れた」と言いました。「がんばれー!」梅の木の間を歩くときにさくらちゃんとそう言いながら、梅の木を応援しました。

 さくらちゃんが梅を守るために、心と頭を遣って今の一瞬一瞬を楽しんでいる姿が綺麗でした。

 満たされた気持ちになりました。