「ひとつ自信に」 ほのか

3月27日

 14.2キロに挑戦、手が届いた日。

 もう怖さしかなくて朝からずっと顔が死んでいました。やるしかない、と思いつつ、刻々とスタートが迫っていきました。

「しなこちゃんの近くで走ってもいい?」
「うん、私も緊張する」
 としなこちゃんと話しながら歯磨きをしました。

 外は蒸し暑く、半袖のまちちゃんの隣にスタンバイしました。

「倒れるときは、みんな一緒だ」

 走りきれるかどうかは別として、とりあえず挑戦してみよう。

 そうして14.2キロへの冒険が始まりました。

 最初は石生コース。一番苦手意識が強く、どきどきしていました。
 地道にコツコツ、どんなに小さい歩幅でも脚を前に踏み出し続けていると、気づいたら登り終わっていました。

 次のなのはなコースになるころにはもう汗だくになっていました。そこまで日差しは強くなかったのですが、気温が高く感じました。
 もうペースができていて、呼吸をするのと同じみたいに自然と脚が前に出ました。
 登り道が長く続くときは、少しつらさも感じました。

「走れる今を楽しむ」

 と、以前のお題回しでなおちゃんが言っていました。
 私は、視野が狭すぎて、今この瞬間、痛いか、辛いかしか考えられていなくて、目的を見失っていたと思います。みんなと一緒に走って、フルマラソンを完走すること。気持ちと身体の粘りを付けて、心身ともに強くなること。こんな私でも走れたよ、という誰かの希望になること。
 そう思うと、今痛いか、辛いかどうかはあまり重要ではなかったということに気がつきました。

 私は、本当に長距離を走ることだけは昔から苦手で、小学校のマラソン大会などは本当に嫌いでした。どうがんばってもつらいしか感じないし、身体も動かなくて、走ることは私にとってものすごく怖いものでした。
 そんな私が今日、過去最長の14.2キロを走ることができました。
 終わったときは、まだ走っていけそうでした。思ったよりも大変ではありませんでした。

 まだ42.195キロにはほど遠いし、まだ明日も走る予定なのですが、今日、自分の限界を突破できたことは、ひとつの自信になりました。
 ゴールしたとき、隣のまちちゃんと笑顔でハイタッチをした瞬間がものすごく嬉しかったです。走れて良かった。生きててよかった。そう思いました。

 午後は、桃の摘雷を進めてから、アセスメント演奏に向けてのダンス・コーラス練習をしました。
 今回、私はコンサートぶりにダンスを踊ります。曲は、ビューティフルピープルです。
 久しぶりに踊っていると、ものすごく汗をかいて、裸足でも気持ちよい季節になっていることに気づきました。
 自分の気持ちができていくと共に、ダンスでも体幹の強さとか、止めの意識とか、身体の柔軟性が前より進化しているような気がしました。
 ダンスもやはり楽しいです。フラダンスが好きだなと思います。

 ストップディスフレームと、シェイプオブユーの音入れをまなかちゃん、しなこちゃんとみんなで行いました。
 久々に歌うと喉が乾燥していて、かさついた音しか出なくて焦りました。
 ですが、歌っているうちに喉の奥が開いてきて、芯のある声が出るようになりました。
 しなこちゃんが教えてくれるシェイプオブユーの音入れがすごく楽しくて、一生懸命伝えてくれるしなこちゃんが本当に可愛かったです。
 歌っていてもすごく楽しい曲で、ゆうなちゃん、そなちゃんがノリノリで踊っていて、間に挟まったゆきなちゃんがすごくニコニコしていたのがおもしろかったです。図書室がディスコみたいになっていました。

 すにちゃんが撮ったダンスの動画を少し見させてもらったのですが、やよいちゃんが踊っている姿がすごくかっこよくて、早くフルでみたいな! と思いました。まなかちゃんも踊ると聞いて、見させてもらうのが楽しみです。

 夜は、朝食当番の最後にやよいちゃんのバースデー黒板を書きました。
 さくらちゃんとゆきなちゃんと、どんなコンセプトにしようか、となったとき、コンサートのベネチアのお嬢様はどうかという話になりました。
 ハッピーバースデーの文字を筆記体風に書き、やよいちゃんのイラストをたくさん描きました。さくらちゃんがベネチアの橋をものすごく真剣に描いていて、「ほのかちゃん、どうしたらこれが目立つでしょうか…」とたくさん聞いてくれて、たぶん30分以上一緒に書き続けました。
 どんな仕事にもこだわりをもって真剣に取り組むさくらちゃんがすごくかっこいいなと思いました。明日、喜んでもらえたらいいなと思います。

 明日もがんばります。