「何があってもみんなで繋ごう」 ほのか

3月8日

 今日は、町民音楽祭のリハーサルの日でした。
 今まで謎の余裕があってそこまで緊張しなかったのですが、いざ古吉野の体育館を出てホールに行き、プロの音響の方々に携わっていただくことを想像するとと一気に緊張感を感じました。
 いつもとは違ってきっちりしたズボンをはいて、きっちりお団子をすると、気持ちがしゃきっとしました。
 ホールに到着してすぐに、音出しの時間になりました。
 過去のイベントで正規のバンドメンバーが音出しをしている姿は何度も見ていたのですが、まさか今回自分がさせてもらう番が来るとは思いもしませんでした。
 ものすごく緊張しました。
 自分の音がホールの一番向こうまで突き抜けて、音が丸裸にされたみたいに鮮明にみんなの耳元に届くのを感じました。
 ちょっとした指の力入れ具合の差も確実に拾って、ホールに反響していました。こんなに音が開放的に広々と響くなんて、と感動しました。
 よくも悪くも全部そのまま鮮明に聞こえるので、みんなの陰に隠れることができないというか、誤魔化しが利かないことに指が慎重になりました。
 こんな素晴らしいホールで初舞台として立たせてもらえることがありがたい経験だなと思います。

 本番通りにMCを含めてのリハーサルが始まりました。
 足下にはモニターがあって、遠くのりなちゃん、あやちゃんのギターや、いつも聞こえなくなってしまっていたなるちゃんのシンセサイザーの音がよく聞こえてきました。そこにゆいちゃんの声が一番上のレイヤーに綺麗に重なって聞こえてきました。
 同じ楽器なのに、場所が違っただけでこんなにまとまりがあって、立体感、透明感が出るなんて、驚きました。本当に音楽、音というのは奥深い世界だなと思いました。
 自分の演奏は、ミスゼロにはできなかったのですが、楽しみながら程よい緊張感のもと演奏することができました。
 トゥエポポの出だしは、今日はギターとの入りは上手くいったのですが、ボーカルのまなかちゃんが入りづらくなってしまいました。
 後であゆちゃんから、「あやちゃんのリズムに合わせないで私が全体を早いリズムに切り替えてしまっている」と教えてくれました。
 ギターがどんなリズムで入ったとしても、ギターに合わせたリズム、カウントを取ればいい。そうしたらまなかちゃんも入りやすいと思うよと教えてくれました。

 早速、夜集まって5回か6回くらい出だしだけの練習をさせてもらいました。
 曖昧に、なんとなくで感覚に頼って弾くのではなくて、ちゃんとカウントを取って、相手に合わせる、みんながわかりやすい、みんなに優しい演奏にしようと心がけました。
 すると、確実に成功する回数が増えました。
 うまくいった瞬間、ニコッとしたまなかちゃんと目が合いました。いつもの、あのキラキラした目が目じりが優しく上に上がって、ドキッとしてしまう笑顔でした。
 明日もきっとうまくいくのではないかと思いました。
 何があってもみんなで繋ごうと、りなちゃんとあやちゃんと私とまなかちゃんで約束しました。
 明日の本番が終わってしまうのが寂しいくらい、なのフラバンドを通して、音楽を通して、キラキラした青春を味わうことができました。嬉しかったです。

 他のチームの演奏や、他の出演者の方のリハーサルを前から見させていただきました。
なのポップの「キボウ」では、ちょうどかにちゃんの着ていたフリースと背景の黄色がマッチしていてなのはなの前向きな、明るい空気を一気に感じました。
 かにちゃんのMCで「このオリジナル曲はすべて、お父さんの歌詞です」と聞いてから、歌詞の言葉が今までよりもっと自分に近く、自分たちのものとして感じられました。
 どの曲も本当に感動したのですが、やはり「空へ」は、今の自分に一番近く感じました。「もう自由だよ」という言葉が、私を深く包み込みました。
 いいんだ。手放してもいいんだ。誰かの望む生き方、誰かが決めたレールから降りて、自分で決めた道を歩いてもいいんだ。自由に生きていいんだ。今まで生きてきたところから私という人間の中身が180度入れ替わるみたいで、それは一回死ぬくらいの、言葉にできないくらいものすごい衝撃かもしれないけれど、やはりそれで正しかった、よかったんだ。今、ここにいるこの仲間たちとそれを本物にしていくんだ。と思いました。
 暗闇で泣いていた幼いころの自分が救われるようで、涙があふれだしました。
 今までいろんなことがあって生きてきて、なのはなに来る前も、来てからもいろんなことがあったけれど、それは全て良かったこと、過去があったから今の自分がいるんだと思うと、苦しかった過去が浄化されるようで、仲間の存在が尊く思えました。キーボードを弾いているしなこちゃんを見たら、さらにいろんなことを思い出して涙が止まらなくなりました。
 今まで感じたことのない種類の気持ちを感じました。不思議な感覚でした。身体の上半身と下半身が分かれて浮かび上がっていくような心地でした。

 なのジャズも、安定感があって音のクオリティが高いなと感じました。
 さとみちゃんのサックスは、美でした。オペラ歌手が歌っているかのような透明感あふれるビブラートに魅了されました。
 ゆいちゃんの歌声も、オーラも、誰にも真似できない独特のかっこよさがあって、世界観に引き込まれました。
 MCで歌詞を紹介していたり、最後には「引き続き町民音楽祭をお楽しみください」という、自分たちだけでなく会を盛り上げようとする姿勢が謙虚で、綺麗だなと思いました。私も、ゆいちゃんのようにどんなときでも礼儀正しく、謙虚な姿勢を忘れない大人になりたいです。

 明日の本番が楽しみですが、終わってしまうのが寂しいなと思います。
 明日の町民音楽祭が終わっても、次のイベントに、新曲を用意して参加できたらいいなと思いました!
 明日もがんばります。