【2月号④】「新春紅白歌合戦、開催!」みつき

 
「この日の夜が、一番好きな夜なんだ」

  そう話してくれる人も多い、なのはなに欠かせないイベントが『NHF紅白歌合戦』です。今回は一月十三日に、新春紅白歌合戦として開催しました。

  みんなで思いきり歌って演じることで、これまでの自分から脱皮して新しい自分へと変身する意気込みを、目の当たりにすることができます。

  当日の本番ぎりぎりまで、それぞれのチームが、「より良いものにしたい」という気持ちひとつで向かってきました。

  そこにはもちろん楽しさだけではなく、苦しさもあっただろうと思います。

  わたしは『ストップ・ディス・フレイム』を歌うチームのみんなと、“生みの苦しみ”にぶつかりました。
  
 

  メンバーのみんなと共通していた願いは、「自分たちがやっていて解放される、変われること、そして見ているみんなが楽しめること」でした。曲の前に寸劇を入れることにしたのですが、こんなにも物語や脚本を作ることは難しいのか、と感じました。限られた時間に焦りながらも、悩んで悩んで、思いつきました。

「そうだ、妖怪になってしまおう!」

  集まったのは、少し変わった妖怪たち。日常の中で、自分たちが厄介だと感じるマイナスな気持ちを「妖怪のしわざ」として演じることにしました。

 ■受け入れてくれる仲間

  物語を作るために、自分の気持ちを共有し合って、全員で、それぞれのキャラクターを作っていきました。今どう  思っていて、どう悩んでいるのかなどの心の内を、普段は言えなかったことまで、みんなと話し合いました。

 

普段とは違うバンドメンバーによる演奏

  
  そのとき驚いたことは、「自分だけじゃない、同じだった」ということです。うんうんと共感できることばかりで、その子の言葉が、自分にとっての言葉でもあり、突き刺さるようでした。  

  そうやって、自分一人だったら見たくもない、蓋をしておきたいと感じるような部分を、みんなとだから向き合うことができました。

  ふみちゃん、つきちゃん、なつみちゃん、ゆきなちゃん、誰も大切で、大好きな存在だと感じたし、自分もそう思ってもらっていると感じられることが、とても心強かったです。

  だから、安心して演じることができました。わたしたちが吐き出した心の内を、観客のみんなが笑って見ていてくれて、こうやって受け入れてくれるみんなが居るから、やっぱり自分は変わりたい、と思えたし、本当に有難かったです。

■チームの色

  自分のチームのほか、わたしは紅白歌合戦の実行委員として動かせてもらいました。出演チームがステージに出られる準備が整ったかどうかを確認するため、会場である音楽室の外で、待機をしていました。

  
  
 その舞台裏でも、それぞれのチームの色が見えました。

  「そろそろ脱いでおかないと」とタンクトップ一枚になったのは、フレディ・マーキュリーひでゆきさん! 同じくひげを着けて髪の毛を上げた、小さなフレディたけちゃんと、ドラムスティックを持ったたいちゃん。

  岸本ファミリーが、紅白歌合戦のスペシャルゲストとして来てくれて、クイーンの『ウィー・ウィル・ロック・ユー』に乗せて、力強く歌ってくれました。岸本ファミリーのみんなのパフォーマンスも、作ってくれる空気もとってもあたたかくて、会場の熱気は急上昇しました。

「みんな大好きだよ!!   頑張ろうね!! 」

  そう言い合って、音楽室へと飛び込んでいくチームがありました。『ウィ・キャン・ゴー』を歌うチームです。

  少女漫画に出てくるような格好いい男の子、りなちゃん演じる「松田君」。そして松田君に恋する女の子三人組の奮闘の物語ですが……。

  松田君は、自分もときめきを感じるほど、普段のりなちゃんの尊敬する部分が改めて詰め込まれたキャラクターでした。

■役になりきって
  

座布団ではなく帽子を使った大喜利

    
「すみませんが、この帽子を舞台の横に置いておいてもらえませんか?」

  『ボーンズ』のチームからは、そんなお願いを任されました。始まってみると、座布団に座って横並びで、大喜利大会……あれ?   どこかで見たことあるような……。しかし、その帽子が座布団替わりで、次々とみんなの頭に、帽子が重ねられていくではありませんか。『ボーンズ』という曲名を『帽ん子(ぼうんず)』ともじっていました。みんなのユーモアやアイデアにも、笑いが起きました。

  もうすでに役になりきっている、これはどんな物語が始まるのか……。
  
  

  見る前から期待が膨らんだのは『バッド・ロマンス』のチームです。歩き出す、ゆうなちゃんとかのんちゃんの姿は、どこから見ても、ギャル。

  制服にスマートフォンを持ってギャル語を話すふたりが、「なのギャル」に出会うことで、変わっていきます。

  なのギャルは、いつも泥臭くて、一生懸命。作業もダンスも掃除も、なんでも百パーセントで向かっていく姿が格好良くて、でも、それが当たり前の姿なんだ、と振り返ると、みんなと仲間でいられることが嬉しくて、誇らしくなりました。

  最後に、ギャルたちは、今までの服装も自分も全部脱ぎ捨て、大きな声で歌うゆうなちゃんとかのんちゃんに、涙が出そうになりました。

  そうして全十組が発表をし、さて、トリを飾るのは、お父さんの『傘がない』です。
  
  

「行かなくちゃ、君に会いに行かなくちゃ」

  お父さんの伸びやかで力のこもった声に、お父さんのように強くなりたい、と元気が湧いてきてました。

      
 こうして新春紅白歌合戦を迎えて、みんなの新たな一面を見ることができて、「あの子のここが好き!」「これがこの子の良さなんだなあ」と、それぞれの子に対しての好きの気持ちを、何度も再確認することができました。

  そして、わたしもみんなも本当になのはなのみんなを想い合っていて、家族以上につながっているのを感じました。

  もっと頑張って、もっと成長していきたい! 

  そんな力がみなぎった、NHF 新春紅白歌合戦でした。

座布団ではなく帽子を使った大喜利