【2月号③】「願いの舞い上がる朝 ―― とんど焼きのひととき ――」 すにた

  
 心も身体も百二十パーセント、充電できたあとの伝統行事。なのはなでは、日本の遊びを存分に楽しんだ三が日や、成人式を経て、一月十五日に、とんど焼きを行ないました。

  松の内のおわる日に、飾ったしめ縄や門松をこの日に燃やし、一年間の災いを払い、無病息災を願うというものです。また、今年一年の抱負を書いた習字を燃やして、神様にお渡しします。それとともに、その抱負を誓い、本物にしていきます。

  私の抱負は、“素直”です。なのはなファミリー、お父さんお母さんに、自分の心と身体を預け、お父さんお母さんが教えてくださることをスッと自分の中に入れ、吸収していき、本当のあるべき“すにた”になっていく。そんな気持ちを込めて、“素直”と書きました。

  ちなみに、みんなで書いた書は、とんど焼きの日まで食堂に飾られ、一人ひとりの書いた抱負が並んでいました。周りの一人ひとりが、その言葉に思いを込めて書いたんだな、と字を見て、強く伝わりました。

  そんな気持ちがぎゅっと入った書を、火にくべていきます。

  
  
 紙の灰が高く飛んでいくと、字が上達すると言われているそうで、書を燃やすとともにみんなで、「いけ、いけ!」「とんで! とんで!」と言いながら、応援したり、お母さんが葉のついた枝で扇いでいる姿が、すごく暖かくて、その空間がうれしかったです。

 ■上がれ上がれ

  まなかちゃんの灰が高く上がったり、書き初めのとき来てくださっていた相川さんの字もお母さんが燃やしてくださり、上がれ〜! とみんなで応援したり。

  その時にお父さんが、こうしたら上がる、と、火の勢いがよいところに書を入れると、本当に相川さんの書の灰が上がりました。その動画も相川さんに送ることができて、うれしかったです。

  こうして、なのはなのなかだけではなく、なのはなを応援してくださる方、なのはなのことを大好きでいてくださる方、なのはなの仕組みをより良くしていこうと考え、一緒になってつくってくださる方にも、今年もどうぞよろしくお願いいたします、とご挨拶をできたような気持ちになりました。

  今年も一年、良い区切りと、始まりを迎えられたことに、とても気持ちが引き締まりました。

  そして、みんなの書を燃やし切り、今年も無事にとんど焼きができたね、と言っているとき。

  灰になった紙が、一片飛んでいき、みんなの頭上をまわり、体育館の高い屋根まで、とおくとおく、ゆっくりと飛んでいきました。

  一瞬、時が止まったかのように、その灰だけが、ゆーっくり。私たちの頭の上をまわりながら飛んでいくのが見え、それも屋根の上を越して飛んでいくときからは一瞬で見えなくなってしまいました。

  これは、誰が書いた字なのか、それはわからないまま、見えなくなっていきました。
  

    
 それがみんなの燃やした中で一番高く飛んでいき、それがまた本の話のようで、「誰のか、わからないけど、一番うれしいね」と周りのみんなと、微笑みながら言えたことがすごくうれしくて、またまた心がたくさん充電されたような、そんな気分でした。

  最後に、お父さんと、お母さんが私たち一人ひとりの額に墨をつけてくださりました。

  お父さんも、お母さんも、みんなも、にこにこと笑顔で笑っているその様子が今も思い出されるくらい、濃くて、あたたかい時間でした。

  お父さん、お母さんも、お互いにつけ合いっこをしていて、それを見て、笑っていたり。うれしそうにしていたり。みんなの見ている様子も、とてもかわいかったです。

  とんど焼やきが終わって、夜、お仕事組さんが帰ってきたときに、まりかちゃんが、お仕事組さんにも、と墨を持っていてくれていて、家族みんなで、おでこに、とんどの墨をつけて、「○○ちゃんの、飛んだよ〜 !」「みんなの習字、燃やしたよ!」という声が古吉野なのはな中のあちらこちらで聞こえていて、その日が一日中濃くって、良い区切りの日になりました。