「二十年間生きていて、本当に良かった」
そう心から感じる、特別な日となりました。
今年、一月十二日に、私はなのはなファミリーで四人の仲間と共に成人を迎えました。成人式という節目の日を、大好きな家族・仲間に囲まれて、たくさんの人にお祝いをしていただけたことが幸せです。
なのはなファミリーに出会っていなかったら、私は二十歳まで生きていなかったことと思います。そのくらい、なのはなファミリーに来る前の私は未来に希望がなかったし、精神的にも肉体的にも痩せ細って、生きる意欲を失っていました。
(二十歳なんて、来ないでほしい。二十歳になる前に、この息が絶えてほしい)
そう思いながら過ごしていた十代の前半。私はなのはなファミリーに命を救われました。そして、なのはなファミリーで大人へと育っていきました。
なのはなファミリーは、摂食障害や今の時代に生きにくさを抱えた人が、癒しを得て、心の奥底にある傷に解決を与え、前向きに自立していくための場所で、私もなのはなファミリーに来て摂食障害から回復し、今、心身ともに健やかに意欲的に生きています。
そんな私がなのはなファミリーに来たのは、まだ中学生の頃でした。私の場合は、なのはなファミリーで中学、高校、大学時代を過ごし、なのはなファミリーのみんなに子どもから大人へと育ててもらいました。
なのはなファミリーに来たばかりのときは、寂しい気持ちでいっぱいで、誰かに笑顔で声をかけられても、誰かに優しくされてもすぐ、ボロボロと涙が出てきてしまうくらい、弱くて頼りない子どもでした。でも、なのはなファミリーで過ごすうちに、ここが私の居場所になり、ここが私の本当に生きる世界、家になりました。
今、私はなのはなファミリーが大好きで、なのはなファミリーで過ごしている自分自身のことも、なのはなファミリーで一緒に過ごす仲間のことも好きで、大切に感じています。
「もう、なのはなの子になっていいんだよ。お父さんとお母さんにすべて預けて、ななほは新しい人生を明るく歩いていったらいい。お父さんとお母さんを信じていいよ」
「ななほは、これまでちゃんと子どもができなかったんだと思う。でも、もう安心していいんだよ。なのはなで、もう一度子どもに返って遊んだらいいよ」
なのはなファミリーに来て間もない頃、お父さんとお母さんにそう言われた言葉で私は初めて、理解されることを知りました。そして、本当にお父さんとお母さんに、症状も、将来のことも、過去のことも、一度、自分のすべてを預けたとき、これまでどこに行っても苦しく、居場所がなくて浮いていた私が、なのはなファミリーを居場所だと思え、「住めば都」の生き方に変わりました。
だから、こんな風にたくさんの家族に囲まれて、私のことを深く知ってくれている人たちのなかで成人を迎えられたことがありがたく、奇跡のようでした。
今回、成人式を迎えるにあたり、かにちゃんをはじめ、フォト・ムービーチームのみんなが私たち五人の「二十歳の今」を綺麗な形で写真に残せるように、数日前から衣装を着ての撮影もしてくれました。
そのことがとてもありがたかったし、フォト・ムービーチームのみんながいつも、「綺麗だね」「かわいいね」とその場を盛り上げてくれて、撮影の構図やポーズ、衣装やヘアメイクのことも気にかけてくれていて、私一人にはとてももったいないくらいの優しい言葉、優しい空気をたくさんもらいました。
その中で私自身も、仲間のことを大切に思う気持ち、好きな気持ちをたくさんもらい、みんなが向けてくれた温かい空気から、本当の優しさを教えてもらったように感じます。
本当にたくさんの仲間にお祝いされて成人式を迎えられたことが嬉しくて、この二十歳の今の喜びや嬉しさはきっと、この先もずっと私を支えてくれることと思います。
■成人式当日
今年、成人を迎えた人は私を含めて五人いました。一つの場所で五人もの人が成人を迎えるというのがとても嬉しく、華やかで、五人並んで振袖を着ることができて嬉しかったです。
成人式当日は、まだ日が昇る前から着付け師の方お二人が私たちの着付けをしてくださり、あゆちゃんやまえちゃん、りのちゃん、みつきちゃんがメイクをしてくれて、髪はあゆちゃんが一人で五人分、セットしてくれました。
朝早い中でも、着付け師の方やあゆちゃん、まえちゃん達が本当に嬉しそうに、終始笑顔で私たちの成人をお祝いしてくださって、楽しみにしてくれていて、その温かい空気の中でたくさん肯定された気持ちをもらいました。
私は今回、なのはなファミリーに新しくいただいた、紺色に鮮やかな花や鶴、和の柄が描かれた振袖を着させていただきました。帯は水色にパステルカラーの梅の花が散りばめられ、裏地がキラキラとした鮮やかな青色です。
振袖選びの時、この振袖を見た時、あまりに華やかで賑やかで、(私、こんなに素敵な振袖を着てもいいんだろうか?)(私はこの振袖を着こなせるだろうか、この振袖に見合う人格が作れているだろうか)
と不安な気持ちもあったのですが、実際に振袖を着つけていただく中で、この振袖に見合うハッキリとしたメリハリのある大人としての人格を作っていく決意ができたし、振袖を着つけていただく中で、大人としての自覚を強く感じました。
また、振袖選びの日、この振袖を当ててみると、お父さんとお母さんが、
「わぁ、ななほにぴったり」「すごく賑やかで、明るくて、ななほらしいね」「なんだか、お祭りみたいでななほをそのまま、振袖にしたみたいだよ」
と言ってくださったことも嬉しく、成人式当日の着付けでも、同じ部屋にいたみんなが振袖を羽織ると、「わぁ、似合ってるね」「ななほちゃんにピッタリだね」と言ってくれて、それまでの不安も飛んで、強い前向きな気持ちで振袖を着ることができました。
着付けでは、まず初めに肌襦袢を着て、そのあとに長襦袢、振袖、帯、帯紐という手順で進んでいきました。
なのはなファミリーに来てから、街道祭や縁日など夏のイベントで何度も浴衣を着る機会があり、浴衣は一人でもすぐに着られるようになりましたが、振袖は着たこともなければ、どんな手順で着付けが進んでいくのかも知らなかったため、日本人として日本の伝統衣服をこうして着させていただけたり、どのように着つけられていくのかを知れたりしたことも嬉しかったです。
今年は五人も成人する人がいるため、着付けもヘアメイクも順繰りに回しながら進めていきました。着付け師の方お二人は、今年初めて、なのはなファミリーの成人式に来てくださったのですが、とても丁寧に真剣に、かつ素早い手つきで振袖を着つけてくださり、ものの三十分で私は振袖に身を包んでいました。また、着付け師の方が私たち五人、それぞれに似合う帯の結び方も考えてくださり、帯が結び終わったとき、私の背中に虹色の羽が生えていました。
背筋をスッと伸ばして、首を長くして振袖を着ると、気持ちまでスッと真っすぐに整い、大人としての品格や美しさを振袖に教えてもらいました。
「わぁ、綺麗!」
「すごく、似合ってるよ」
「何だか、涙が出てきちゃうね」
同じ部屋にいた撮影班のみんなが口々にそう声をかけてくれました。こんな風に日本人として、節目の日に振袖を着させていただけることがありがたく、嬉しかったです。
■ヘアメイク
髪はあゆちゃんがセットしてくれました。
あゆちゃんが真剣に、丁寧に私の髪を日本人らしいまとめ髪にしてくれて、三面鏡に移るあゆちゃんの表情や目の動きを見ているだけで、
(こんな風に大切にしてもらって、こんな風に真剣にセットしていただけて幸せだな)
としみじみ思いました。
きちっと結われた日本髪には、紺色や金色の小さな毬のような飾りや、ガラス細工のような金色の花飾りなどの小物をあゆちゃんが華やかにつけてくれました。色合いやバランスなども見ながらあゆちゃんが、頭に小物をさしてくれて、頭だけでも一つの芸術作品、アートだと感じました。
「あぁ、ななほちゃんがなのはなに来たばかりの時は、あんなに小さかったのにね。こんなに大きくなって」
なのはなファミリーではたくさんの家族、仲間がいて、摂食障害から回復し、自立している人もたくさんいます。私の場合は、十代の前半でなのはなファミリーに来て、摂食障害の症状から解放されても、まだ経済的に自立できる年齢ではなかったことと、自分自身の希望もあり、なのはなファミリーで十代のほとんどの期間を過ごしました。なのはなファミリーで中学、高校、大学時代を過ごし、今年で大学も卒業し、なのはなファミリーから社会人となります。そんな、心のふるさとと言える場所で、子どもの頃からずっと、私のことを知ってくれている人がいて、私の一番似合う髪型、私の気持ちや表情に合う髪型を理解し、セットしていただけることが、とても幸せだと感じました。
お化粧は、まえちゃんがしてくれました。私はこれまで、ピンクやゴールドのアイシャドウを塗ることが多く、寒色系のアイシャドウは塗ったことがなかったのですが、まえちゃんが、「ななほちゃんは、この色がいいと思うんだ!」と選んでくれたアイシャドウがとても素敵で、(私もいつの間にか、こんな大人っぽいアイシャドウが似合う成人になったんだな)と思いました。
まえちゃんが塗ってくれた緑のアイシャドウは、私の肌に重なると、振袖の中にある浅黄色へと変わり、光の加減によっては黄緑にも水色にも見えたりし、とても上品でした。
「あぁ、綺麗だね」
「どんなお化粧をしても、全部、正解に感じちゃうよ」
「本当に綺麗だよ」
そう言ってくれるまえちゃんの笑顔や瞳があまりにも綺麗で、お化粧の途中に、「こっち見て」「目を開けて」と言われる度に、まえちゃんを直視できずに恥ずかしくなってしまうほどでした。
早朝の五時半から始まり、気が付いたら太陽が昇り、衣裳部屋にはオレンジ色の晴れ晴れとした光がさしていました。
成人する人が五人もいるというのに、着付けは一人当たり三十分で次々と進み、九時前には五人全員の、着付けとヘアメイクが完了しました。こんな風に朝早くから、私たち五人の為に準備をしてくださっていたり、あゆちゃんやまえちゃんも前々から、五人に似合う髪型やお化粧を考えてくれていて、前日も、「緊張して、私たちのほうが眠れなくなりそうだよ」と言いながら、そばにいてくれたこともありがたかったです。
こんなにも素敵で、大人としての魅力を持っていて、正しい理想に向かって生きている家族がいること。尊敬できる人、憧れの人がすぐそばにいて、その人の中で、その人たちをお手本にしてなのはなファミリーで育ってこれて、これからもそんな大人を目標に生きていけるのが幸せだと強く感じました。
■お披露目
式典に行く前、家族みんなが集まるリビングに振袖のお披露目に行きました。
みんなが、私たちの晴れ着姿を喜んでくれていて、何人かは涙を流して私たちの成人をお祝いしてくれて、こんなにも優しい空気、温かい空気の中、こうして成人を迎えられることが幸せだと思いました。
私はなのはなファミリーに来ていなかったら、振袖を着ることができていなかったと思います。着られていないどころか、二十歳まで生きることができていなかったと思います。そのくらい、毎日、生きるか死ぬかの境界線にいて、未来に何の希望も夢もなかったし、私のことを知っている人も、私に用がある人もいなくて、透明人間のようにただ家の中から出ずに、時間が経つとともに私は忘れられて、生涯を終えるのだと思っていました。
きっと、私も、私以外の四人も、なのはなファミリーに来ていなかったら、振袖を着ることができなかったと思うし、着る気持ちにもなれなければ、成人式にも行けていなかったと思います。でも、今日は心から晴れやかな気持ちで成人式に出席し、どこを見ても、大好きな仲間・家族の姿がありました。それがとてもありがたく、当たり前のことではないなと感じます。
私はなのはなファミリーに来るまで、ずっと、「ふるさと」に憧れていました。私には「ふるさと」と言える場所がないと思っていました。
もちろん、住む家もあるし家族もいる。学校にも行っているし、地域の人もいる。でも、その地域の中で私が安心して過ごせる場所はなかったし、地域の中で私を知っている人はほとんどおらず、私はずっと、(ここにいてはいけない)(私は、この地域に受け入れられていない)と思っていました。
そして、地域に住む年輩の方から若い人にまで声をかけられて、名前を呼ばれて、地域のお祭りなどに積極的に参加している友人を見るたびに、
(私はどうして、居場所がないんだろう)
(どうして、ここを、故郷と思えないんだろう?)
と思っていました。
でも、なのはなファミリーに来て、私には「ふるさと」ができました。私のことを知っている六十人の仲間と住んでいて、私のことを知っている数えきれないくらいの卒業生がいて、いつもホームページやベストオブ日記を読んでくれている人がいて、ウィンターコンサートやなのはなでのイベントに帰ってきてくださるゲストの方がいて、なのはなファミリーを通して広がる色々な輪の中に、私も存在しています。
そして、時には地域の方にも突然、「おまえさん、もしかして、ナナポンの役の子か?」と声をかけていただいたり、ただ道を歩いているだけで「なのはなさん」と声をかけていただきます。
夏の諾神社のお祭りや天神涼み、街道際、夏祭りの出演に、秋の敬老会などでは、血縁関係のないたくさんの人、地域の人に私たちの踊りや演奏が喜ばれ、受け入れられているのを感じます。
そんな風に過ごしていく中で、なのはなファミリーで子ども時代を過ごす中で、私はここが「居場所」であり「ふるさと」となりました。私のことを知っている人がいる、名前を呼んでくれる人がいる、故郷だと心から思える場所がある。これ以上の幸せや安心はないと感じます。
■式典
成人の式典が行なわれる勝央文化ホールへ着くと、もう既に撮影班のみんなが待ってくれていて、到着した私たちに駆け寄ってきてくれました。ホールの中に入る道中でも、どこを見てもなのはなのみんなが満面の笑みで手を振ってくれて、家族席の一ブロックを私の家族が埋めていて、改めてなのはなのみんなが家族でいてくれることが、私の誇りだと思いました。
式典では、一番前の席に五人並び、背筋を伸ばしてなのはなの子として、誇り高くいられたことが嬉しかったです。私たちの振り袖姿を見るために、わざわざ、元勝央町議会議長の岡本さんも来てくださり、
「毎年、みんなの振り袖姿を見るのが楽しみなんじゃ」
と言ってくださり、嬉しくなりました。
なのはなファミリーで正しいあるべき大人として成長していけることが嬉しいし、時代とともに変化する価値観の中で、私たちも時代とともに求めていくもの、求められていることは変わっていくけれど、その中であるべき姿、あるべき生き方の軸をぶらさずに、日本人としての誇りを持ち、式典に出席できた時間がありがたく感じました。
■なのはな写真館
式典から帰った後は、なのはなファミリーの体育館で、一日限定なのはな写真館が開かれました。カメラマンも、アシスタントも、モデルもなのはなの仲間です。
数日前から、家族みんなが私たち五人の為に体育館やリビング、衣装室など部屋をきれいに掃除し、成人式仕様に飾りつけをしてくれていました。
体育館に入ると、ピンクや白のハニカムボールが吊り下げられ、全部で四枚の撮影背景が準備され、お父さん・かにちゃんカメラマンブース、あゆちゃんカメラマンブース、まえちゃんカメラマンブースの三つのブースが出来上がっていました。
お父さんとかにちゃんのブースは、水色の背景にピンクや黄色の斑が点々と描かれた洋風画のような背景で、その前に立つだけで、背筋が正される思いがしました。
「綺麗だねぇ」
「うん、いいよ」
「よく撮れてるよ。すごく、いい表情だよ」
お父さんやかにちゃんが写真を撮るたびにそう声をかけてくれて、少し恥ずかしい気持ちもありますが、嬉しさが胸にたまっていきました。
そして、撮影ブースにいるみんなが、「綺麗だね」「可愛いね」「わぁ」「ん~!」と口々に声をかけてくれて、感嘆の声を漏らしていて、その空気がとても温かく、綺麗でした。
もう成人をしている人も、まだ成人式をしていない人も、これまでなのはなファミリーで成人を迎えた人も、みんなが私たち五人を思い、自分のことのように私たちの成人をお祝いしてくれて、喜んでくれていました。
そして、心の底から好きな気持ちを向けてくれて、その目線や声、言葉はなくてもその空気がとても優しく、涙が溢れそうになりました。
なのはなファミリーはいつも、こんなふうに優しい空気で溢れています。そして、私はその空気が好きで、そんななのはなファミリーにこれまで、たくさんの癒しをもらってきました。
成人式も、みんながお互いさまです。お祝いされる私たちがとても嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいになるのと同じように、お祝いしてくれるみんなも私たちと同じ気持ちでいてくれて、私たちの二十歳の今を一番いい形で残せるように、私たちがなのはなファミリーで過ごす二十歳の時を一生の思い出に残るものとなるように、真剣に、大切にいてくれます。
私はなのはなファミリーで子ども時代を過ごしました。そして、私がなのはなファミリーで大人へと成長する過程の中で、新しく家族になった仲間もみんな、私のことを理解してくれて、私のことを知っていて、そんな仲間に囲まれてこの、成人式という日を迎えられたことが幸せだと思いました。
あゆちゃんカメラマンのブースでは、りゅうさんが輪の花飾りを持ってくれていました。
あゆちゃんが、
「春のような表情で」
と言ってくれた時、隣で飾りを持ってくれていたりゅうさんも、
「僕も、春のような笑顔で」
と言って笑わせてくれました。
「あゆちゃん、僕も写していいよ。僕も、春のような笑顔!」
とあゆちゃんに言いながら、隣で満面の笑みで瞳をキラキラさせているりゅうさんの姿がとても嬉しくて、あゆちゃんとりゅうさんの作ってくださる温かい空気の中、温かい写真が撮れていました。
後半は、椅子に座っての撮影もあったのですが、どの角度を向いても、「あ、その角度いいね」とあゆちゃんが言ってくれて、その角度を向いてもみんなの満面の笑顔があって、私の方が目を向ける先に困ってしまうほどでした。
まえちゃんのブースでは、真っ白な背景で、傘を持ってみたり、振袖の裾の袖を広げてみたり、色々な角度から、色々な表情で撮影をしました。
どの表情、どのポーズをしても、まえちゃんや撮影ブースにいるみんなが、「きれ~~~~い」と言ってくれて、思わず表情を作るのも忘れて、顔が大笑いになってしまい、それでまた、みんなに笑われて、私ももっと大大笑いになってしまいました。
まえちゃんがものすごく近距離からアップで撮ったり、かと思えば、「まえちゃ~ん!」と両手を口に当てたくなるくらい離れて写真を撮ってみたりしていて、まえちゃんの取ってくれた写真を見させていただくのが楽しみです。
また、午後からはかにちゃんと外での撮影もしました。那岐山を背景に振り袖姿で写真を撮る。私はなのはなファミリーの成人式のフォト撮影でも、この背景が一番、好きです。
かにちゃんが作ってくれる温かくて、優しくて、本当に好きな気持ち、大切な気持ちに溢れた幸せな空気の中、写真を撮ってもらう時間が嬉しくて、涙が出そうでした。
那岐山の撮影では途中、風も強くて身体が冷えそうな時もあったのですが、撮影現場に来てくれた、なつみちゃんやまりかちゃんが、レフ板がわりの銀マットで身体を包み込んでくれて、とても暖かかったです。
ちょっぴりふざけて、銀マットに肩まで使っていると、そこの空間だけ温泉になっていて、かにちゃん達が笑っている光景も、私の中で大切な思い出となる一瞬になりました。
■お祝いの写真撮影
成人式に向けて、数日前からフォト・ムービーの撮影も行われていて、私も素敵な衣装を着て撮影をしていただきました。
一日目は真っ白なドレスに白い羽の髪飾り。黄色のドレスにヒマワリの髪飾り。アラビアンなベリーダンスの衣装。
白は勇気がいる色だと感じていたのですが、このドレスを着たとき、みんなが、「わぁ、天使みたい」「このまま、空に飛んで行っちゃいそう」と言ってくれて、みんなの押しもあり、着させていただきました。
白いベールを持ってみたり、少し踊ってみたり、ちょっぴり強気な表情に柔らかくて優しい表情。色々なポーズ、表情でかにちゃんが写真を撮ってくれました。
お化粧もまえちゃんとみつきちゃんがしてくれて、ただ下地を塗るだけでも、まえちゃんやみつきちゃんの手にかかると、艶々のキラキラで、自分の顔が自分じゃないようでした。
黄色いドレスは、オレンジのドレスと迷い、みんなの多数決も半々という形だったのですが、まえちゃんが「黄色の方、着て見て」「やっぱり、オレンジのほう」「あぁ、やっぱりもう一度黄色」と自分のことのように真剣に考えてくれて、結果的に明るくてかわいい黄色のドレスを着させていただきました。
髪飾りにはひまわりや夏の花が散ったカチューシャに、黄色い花をお団子につけてくれて、まえちゃんの私にはない発想で素敵な髪型に仕上げてくれました。
おとぎ話の世界のような、パステルカラーにお城や小鳥たちが描かれた背景ではちょっぴり、お転婆で元気なイメージで。
夜空に星が散りばめられた背景では、少し大人っぽく、でも遊び心があるようなイメージで。
かにちゃんが作ってくれる空気の中、私自身も楽しんで撮影をさせていただきました。
また、同じ日にあやちゃんの撮影も同時並行で行い、あやちゃんのシンデレラの衣装やベネチアの貴婦人のような衣装が本当にあやちゃんに似合っていて、このまま額に入れて、飾っておきたいほどでした。
その後に来たアラビアンな衣装では、あやちゃんと二人でも写真を撮らせていただき、あやちゃんと私で空を飛んでいるような写真。星を見つけて喜んでいる写真が撮れました。
一人での写真では、写真を撮っていたかにちゃんが、突然「うわぁ~」と言って、「これは、奇跡の一枚が撮れたかもしれない」という写真も撮ってくれて、そんな風に奇跡の一枚を求めて、私たちの為に時間を割いて撮影をしてくださることがありがたく、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
二日目は撮影自体は一時間ほどだったのですが、白と黒のワンピース、ピンク色のムームーを着て外で撮影をしました。
私がずっと、「外で撮りたい」「外に行きたい」と言っていた要望にかにちゃんが応えてくれて、まだ前日に降った雪が解け残る中、外で撮影をした時間が嬉しかったです。その日はちょうど、天気も良くて日差しも温かく、衣装を着て外を歩いていても、寒さを感じないくらい、ポカポカとした陽気でした。
かにちゃんが太陽光の光の中でもすごく綺麗な構図や露出を考えてくれて、撮影に駆けつけてくれた、ふみちゃんやゆきなちゃんも、太陽の光を和らげる白い布を風に負けじと持ってくれていたり、かのんちゃんがずっと、アシスタントのようにそばにいてくれて、その時間が温かく、嬉しかったです。
白と黒のワンピースでは樹に手を寄りかけて。ピンク色のムームーでは、私の大好きな畑やバナナハウス、オリーブを背景に撮りました。バナナハウスやオリーブの前で撮影をすると、そこだけ時が止まったように、空間が切り取られて異世界でした。
かにちゃんが、「基本は順光だけれど、逆光もいいなぁ」と言いながら撮ってくれたムームーを着た写真も、ものすごく幻想的で、大人っぽくて素敵で、こんな写真を撮れるかにちゃんが本当にすごいなと思いました。
撮影班のみんなもずっと、私たち成人メンバーが少しでも綺麗に、一生の思い出となるようにとずっと考えてくれて、同じ気持ちでいてくれて、そのことがありがたかったです。
■みんなの節目として
また、私たちの知らないところで、なのはなのみんながお楽しみムービーの撮影もしてくれていて、後日、私たち一人ひとりに、成人式のフォトムービーが贈られます。それが完成して見させていただくのがとても楽しみです。
また、成人式当日の夜は台所さんが大きな鯛も用意してくださっていたり、りゅうさんが私たち五人に素敵なマフラーもプレゼントしてくださりました。こんな風にたくさんの家族、大好きな人にお祝いしていただける私たちは、幸せだなと思います。
成人式の夜、お父さんとお母さんが、
「誰か一人でも、心の中で妬みや嫉妬の気持ちを持っていたら、こんなにも温かい空気が作れない。こんな風にいい成人式になるというのは、お祝いする側もされる側もお互いさまで、誰も羨ましいとか思う人がいないからだね」
と話してくださりました。
本当にそうだと思います。
成人式当日も、それまでの撮影時でも、みんなが私たち五人の為に少しでも何かできることはないか、少しでも大切な思い出になるようにするために何かできないかと考えてくれていました。そして、「見ているだけで幸せだよ」「あぁ、本当に良かった」「何だか、涙が出てきてしまったくらい、嬉しいよ」と言ってくれました。
こんなにも温かくて優しい空気を作れるのは、なのはなファミリーだからだと感じます。撮影される側も、撮影する側も嬉しくて、成人する側も成人を祝う側も嬉しくて、私もたくさんの幸せをもらったように、みんなも私たちを見て、私たちの成人をお祝いできて幸せだと言ってくれました。
みんなが成人を迎える私たちのことを盛り上げてくれて、心から純粋にお祝いしてくれて、それはなのはなファミリーでは当たり前のようだけれど、今の時代には当たり前じゃないくらい、尊いことだと感じます。
家族として、仲間として仲間がお祝いしてくれて、たくさんの優しい気持ちを向けてくれて、成人を迎える私たちもそれを返していきたいと思えること。その関係が幸せだと思います。
成人を迎えて、みんなにお祝いしてもらう中で、大人としての自覚も強く感じました。
今年のウィンターコンサートで、「人間も、蝶のように、心の中は変態していた」とありましたが、なのはなファミリーでイモムシからサナギへと成長し、今、私は蝶になるのだと思いました。
蝶として、これから、目先のことだけではなくもっとスケール大きく生きて、世界規模で生きていけるようになりたいし、社会人としてももっと、世の中の仕組みや流れをつかみ、それに合わせて己の生き方を突き詰めていけるようにしたいです。
そして、これからは誰かを守る側、支える側としての自覚と責任を持ち、大人として一人を慎み、いつでも希望ある理想を語ることのできる大人になりたいです。
なのはなファミリーで成人を迎えられたことがとてもありがたく、幸せです。みんなが向けてくれた気持ち、かけてくれた言葉を胸に、今度は私が大人として、それを他者へ返していけるように、社会に貢献していきたいと思います。