「カン カン カン カン」
拍子木と共に登場したのは、紫のまわしを身に着けた、大きな大きな横綱のりゅうさん。
そして、その前を歩くのは、立派な黒い行司軍配に烏帽子、黒地に和柄の模様が入った着物に、白い足袋と草履、体は力士の三分の一ですが、知識もやる気も一人前の、小さな小さな行司。
今年の「なのはな大相撲初場所」の行司を、未来の木村庄之助、岸本健寛くん(たけちゃん・四歳)が務めてくれました。
まず、たけちゃんといえば、相撲と行司。
特筆すべきは、たけちゃんが好きなのは、お相撲さんではなく、行司さんということ。
たけちゃんへの誕生日プレゼントは相撲グッズ(例えば行司軍配、相撲に関する本等)。
たけちゃんがサンタさんにお願いしたものは「着物」。
たけちゃんの将来の夢は、もちろん「行司」。
世の中に、こんなに相撲(と行司さん)が好きな四歳児がいるだろうかと思うのですが、たけちゃんは、いつも、ホカホカの相撲ニュースを持っていて、その熱は、大人以上に、熱いかもしれません。
そして、今年は元日の午後に「なのはな大相撲 初場所」が企画され、実行委員さんと共に、たけちゃんも事前練習をして、当日には、立派な行司装束を身に纏って、わたしたちの取り組みの行司役を務めてくれました。
■行司はたけちゃん
お父さんが呼び出し、たけちゃんが行事をしてくれて、試合に出場する力士は、四股名を呼ばれたら、まず、升に盛られた塩をエアーで投げて、それから土俵に入ります。
お互いに礼をして、大きく四股を踏み、見合って、蹲踞の姿勢を取り、ここからはなのはなルールで、右手が上、左手が下の形で組んでから「はっけよーい、のこった!」と、なります。
わたしは、テレビで相撲を少し流し見したことがある程度で、試合の流れなどは無知だったのですが、今回、たけちゃんを通して、相撲を知ることが出来て、たけちゃんも、忠実に行司さんの動きを再現して、一試合終わるごとに、土俵から出て、また始まるときは、土俵のセンターライン上の決まったところに、ミリ単位できっちり立っていて、偉いなぁと思ったし、自分も、ちゃんと相撲のセオリーを守って、取り組みをしなきゃなと思いました。
団体試合はトーナメント形式で、一試合で十回戦、取り組みが行われます。勝ち星が多かったほうが勝ち上がっていき、どの部屋が一番強いかを競いました。
わたしが所属する部屋は、ちさとちゃんが親方の「小部屋」。
どうして小部屋かというと、単純に、みんな身長が小から中で、人数も他の相撲部屋と比べて少ないので「小部屋」。
部屋名は、あまり強そうには感じないのですが、それでも所属する力士は、足腰頑丈の力強い力士ばかりで、取り組みが始まると、どの試合も白熱しました。
わたしは一試合目で、自分より背の高いしなこちゃんと相撲を取りました。
今回は、押し相撲のみの取り組みで、足をかけたり投げ技は無しなので、体と体のぶつけ合いです。
力で負ける気はしませんでしたが、この身長差が勝負に、どう反映するのか、やってみなければわからないところがあり緊張しました。
負けん気の強い、なのはな力士たちは、特に四股を踏む時に気合が入り、りゅうさんに至っては、数メートル先まで地震が起きたかのように地面が揺れて、それだけで、試合に臨む気持ちがよく伝わってきました。
そして、例にもれず、わたしも思いっきり「よいしょ!!」と四股を踏んで、グッと、しなこちゃんと見合ってから、組んで、行司さんの「組んで、はっけよーい、のこった!」の声で、思いっきりしなこちゃんを押しました。
■全力で押し合って
しなこちゃんからも、全身の力をぶつけてきているのを感じて、お正月遊びで、半分たけちゃんの為の相撲ではあるけれど、やるとなったら全力でやる、しなこちゃんの気持ちが、とても嬉しかったし、みんなが全力でぶつかり合って、押し合っている姿、ぎりぎりまで粘って戦っている姿が、とてもかっこよかったです。ある回では、あゆみちゃんの旦那さんであり、行司さんのお父さんである、ひでゆきさん対よしみちゃんの取り組みが見られました。
流石に、男性を相手には、難しいのではないかと思いながらも、仲間の力士を応援していましたが、なんと、よしみちゃんがひでゆきんを土俵から押し出していて、これにはびっくりで、よしみちゃんの力に、会場が恐れおののきました。
団体戦が終わると、今度は、各部屋から一番強い力士を出して戦う「横綱決定戦」が行われました。
■横綱決定戦
小部屋には、同じくらい力持ちで足腰頑丈の力士が複数名いましたが、みんながわたしを推してくれて、恐れ多くも、決定戦に出場させてもらいました。
この戦いに出てくる力士は、全員納得の力自慢ばかり。
一回も勝てなかったら申し訳ないなと思いつつ、全力で相撲を取り、どういうわけか、決勝戦まで勝ち上って、あゆちゃんと相撲を取ることになりました。
正直、あゆちゃんに勝てるとは思っていなかったけれど、押し合った一瞬で、あゆちゃんの勝ちを確信しました。これは、力では勝てないなと思いました。
例えるなら、家の柱と組んでいる気分です。
全然動かないし、自分は押される一方で、その力の凄まじさに、こういう世界があるんだなと、感動してしまうほどで、負けてしまったのは、仕方がないと思うのですが、次の相撲までに、絶対もっと強くなっていたい、レベルアップしていたい、あゆちゃんと組んで、そう思わせてもらえたことが有難かったです。
最後には、未来の木村庄之助、岸本健寛行司と、お父さんお母さんと、実行委員さんが作ってくれた国技館の中にある、横綱の力士のパネルにあゆちゃん、大関の力士のパネルにわたしが顔をはめて記念撮影をさせてもらって、みんなで熱いくらい、温かい空気で初場所を楽しめて、幸せな元旦を過ごすことができて、有難かったです。