大晦日の最後の夜は、年越しセブンブリッジで運試し。試合は約四時間。いつもの倍以上の長さの特別セブンブリッジは、どう点数が大きく変わってくるか、予想ができません。厄払いもできそうな予感。みんなも気合いが入っています。
最初のオープニングは忘れられないほど、面白かったです。三味線の生演奏で、馴染みある旋律に『ポン・チー節』という創作の歌詞を歌いながら踊る、昆虫たち。
そこへ勢いよく、キリギリスがやってきます。しかもリーゼント頭で、どうしたの?
キリギリスは変態はできないけど、みんなの思う姿から、新しい姿へと心も身体も変身したキリギリス。
その姿のしなこちゃんに驚いたけれども、その大胆さが格好良く、新しいしなこちゃんの一面を見られて嬉しかっ たです。
オープニングを見ただけでも、これから始まる試合に向けてのエネルギーが湧いてきます。
■気持ちで運を
リーグ名は、今年のウィンターコンサートにちなんで蝶の名前のリーグになっています。リーグに置かれたカードも、「アサギマダラ」や「シジミチョウ」など実行委員の描いた絵付きです。
前半戦は約二時間半の九時四十分まで。この戦いでどう大きく点数が変わってくるか、緊張します。しかも、今回は罰ゲームが用意されていて、(これは絶対に罰ゲームから逃げ切らなければ!)始まる前からハラハラドキドキです。
私は、あゆちゃんやりなちゃん、ももちゃんたちがいるオレンジチーム。前半のリーグでは、私はペアのあやかちゃんと一緒にゲームに臨みました。頭脳派で、夏の縁日では高得点を記録したあやかちゃん。
一緒のペアで、とても心強い。このリーグには、セブンブリッジ運が強いまえちゃんやみつきちゃん・そなちゃんペアもいました。そなちゃんはセブンブリッジは初めてで、ビギナーズラックがありそう。私はセブンブリッジの運が強いか、どうかと聞かれると、その時々によるので、気持ちで運を呼び寄せていきます。
■千点をとった後に……
あやかちゃんと、どのカードを残すか、捨てるか、考えていきます。今はクイーンが多く捨てられるからこのカードは捨てて良いかも、とか、二のカードを待ったらチーができるけど二は点数が低いから、きっとみんな捨てないだろうね、と二人で探偵になった気分で推理して進めていくのが、楽しいです。
あやかちゃんがカードを一枚引くときに、場にカードを出したい! というときや、後もう少しで上がりそう! というときにいつも七を引いていて、あやかちゃんの運の強さに驚きます。
これは上手くいけば一発上がりができるのではないか、というカードが配られたときもありました。親から順番が一周して、出せるカードは出してしまうか、もう一周待つか、というときに、つい欲が出てしまって怖いけどもう一周待つことになりました。このカードがきてほしい!
願っていたところに、なんとほしいカードが捨てられて「ポン!」。
あやかちゃんとハイタッチをして一発上がり。気持ちが良かったです。これで千点以上は稼ぐことができました。
と、喜んでいたところで、別のリーグで一万二千五百点をもらったピンクチームも喜んでいる! その点数をあげたのは……なんと同じオレンジチームのりなちゃん!
(えー。何が起こったんだ!?)りなちゃんはジョーカー三枚を持ったまま、親が初めに捨てたカードで鳴かれてしまい、なにもできないままゲームが終わってしまいました。ジョーカーは一枚で点数が五倍、三枚あって百二十五倍。さらに一発上がりなので二倍になって、合計二百五十倍の点数がマイナスに……。
それでも、オレンジチームが今、最下位かもしれない、という感覚が初めはなかったのですが、だんだん、これは危ないぞ、と思い始めてきました。でも、一万二千五百点が大きすぎて、なんとかしようと思うけど、どうしたらいいか分からない。
■救済ルール
途中からオレンジチームの点数を見て、お父さんが、休憩までの試合に、「オレンジチームが勝ったら三倍」の救済ルールをつけてくれました。
あやかちゃんと私は、初めに運を使ったのか、前半の最後のほうはなかなかいいカードが出ずに終わってしまいました。前半の後半は、黄色チームのまえちゃんが上がっていきます。まえちゃんのセブンブリッジ運の強さにも、驚いてしまいます。
前半戦も終わり、中間発表へ。第一位はピンクチーム。点数が一万点以上あります。そして最下位はオレンジチーム。一位との差は二万点以上。これは、凄い。この点数を見たお父さんが、五位のオレンジチームは勝ったら五倍、四位の青チームは勝ったら二倍、そして一位のピンクチームは負けたら二倍マイナスになる救済ルールを作ってくれました。とても大胆なお父さん!
この救済ルールに助けられるかどうか、でも五位との点差は一万点以上あります。長い道のりのようにも感じるのですが、気合いを入れ直して、後半戦へ。
どうか、罰ゲームを免れますように!
前半戦と同じリーグで、あやかちゃんとは離れピンでの試合になりました。
■嬉しい報告続出
午後十時を過ぎると、リーグのみんなも少し眠たそう。私も少しずつ睡魔を感じつつも、(でも、これは勝たないといけない!)と気持ちを静かに燃やします。ゲームの前半から配られるカードが揃っていたり、七があったりと調子がよさそう。
勝って驚いたことに、いつももらう点数の五倍(ピンクチームは十倍)になってしまうと、一つの試合でもらえる点数が千点近くもらえるのです。
これは、今までにない高得点をみんなからもらっています。
一回勝てば千点近くもらってしまうので、他のチームのみんなには申し訳なく思いつつも、今までにもらったことのない点数に自己肯定感が増してきます。
上がったときに、それを他のリーグの人に報告すると、「やったー! いいぞ!」とあゆちゃんがガッツポーズをして喜んでくれました。
そのあゆちゃんも、一発上がりをして、五千点をピンクチームからもらっています。
他のリーグからも、同じオレンジチームのなるちゃんやももかちゃんからの嬉しい報告が聞こえてきます。これはオレンジチーム、巻き返すことができるかも!?
私のリーグではピンクチームのまちちゃんがいましたが、まちちゃんはウィンターコンサートで、不動産業をしている貴族のご子息役でした。
まちちゃんが勝つと、「金銀、宝石、札束の山」とコンサートの台詞と動きをしてご子息になって喜んでいる姿に、みんなで笑ってしまいました。
青チームのまなかちゃんも、負けないように、気合いが入っています。
■まさかの結果に
後半戦は約一時間で、前半戦よりもあっという間で、場も大きく荒れています。
セブンブリッジは最後まで何が起こるか分かりません。それが、一つの面白みでもあります。
そして、最後の結果発表。結果を聞くのが少し怖いです。三位は黄色、二位は青チーム。あれ? 前半四位の青チームが二位に上がってきた。そして、一位はオレンジチーム。
あれ? オレンジチームは私たちのチーム。一瞬、どうなったかよく分からなかったのですが、お父さんの救済ルールで最下位から一位に!
オレンジチームのあゆちゃん、りなちゃん、ももかちゃんたちも大喜び。こんなことあるのか、と驚きつつ、自分たちの今年の良い運も悪い運も良い意味で使い果たしたすっきり感もあります。
そして、四位はピンクチーム。最下位の五位はなんと、赤チーム。赤チームは前半二位でまさか最下位になるとは予想もしていなかった。しかも、赤チームはお父さん、お母さんもいます。
(あぁ、お父さん、お母さん、赤チームの皆さん、ごめんなさい!)
■トップバッターはお父さん
最後の罰ゲームは、恒例の伝言ジェスチャーゲーム。この伝言の内容が、予想以上に長文で具体的でした。
「お父さんは、山小屋にいたとき、鳴き声がするので机の下を見ると、鼠捕りに捕まったネズミとマムシがいた。
しかも、マムシは鼠捕りに絡まりながらもネズミを飲み込もうと大口を開けて迫っていた。お互い鼠捕りに絡まりながら奮闘していた。
お父さんは、そのネズミ捕りを二つに折って焼却炉に捨てた」
これをどうやって伝えるのだろうか。トップバッターはお父さんで、最後に伝言を当てるのがお母さん。お父さんが赤チームのメンバーで伝言を伝える順番を決めてくれました。
■次の人へと伝わる過程で
トップバッターのお父さんのジャスチャー。ネズミとマムシの動きや、ネズミ取りを見たときの驚きの表情、そしてネズミ取りをパタンとたたんで、もっくんに入れる動き。
ものがなくても、動きではっきりと伝わるくらい細かいディティールを感じて、お父さんの正確さや相手に伝える力が格好良く思いました。それから、次の人、次の人と伝えていくのですが、山小屋が省略され、ネズミがいなくなり、そしてもっくんも消えてしまいます。
大きく残ったのは、両手を広げてパチンと閉じる(マムシが大きく口を開けて閉じる動き)動きと、お父さんを表すお腹をぽんぽん叩く動き。まさか、こうなるとは思っておらず、みんなの笑いが止まりません。
このジャスチャーを最後はお母さんが、一発で当てます。お母さんが一つずつ動きを整理をして当てにいく姿は格好良かったです。
年越しセブンブリッジ。
まさかの展開で、スリルありの驚きの連続。ですが、二〇二四年の良い運も使い、悪い運も全て使って流すことができて、セブンブリッジで厄払いもできた気がします。
ゲームを終えた後は気持ちもさっぱりしていて、気持ち良く新しい年を迎える、準備が整っていきました。