【新春号⑦】「「微笑み竹」で福よ来い! ―― 幸せ集めの門松作り ――」よしみ

  
 新しい年を迎えるために欠かせないものと言えば……。そう、門松です!!

 なのはなファミリーでは、みんなでお正月にいただくお節などを手作りしていますが、門松も手作りしています。

 年末年始の間、玄関の入り口に大きな門松が二つ飾られるのです。

 二〇二五年の門松は、十二月二十八日と、二十九日の午前の一日半で、須原さんとさくらちゃんと一緒に門松作りをさせていただきました。私は初めての門松作りだったのですが、初めから細かく教えていただきながら、自分も門松づくりをできたことが、とても嬉しかったです。

 なのはなの門松作りは、材料集めから。門松の中心にドンッと飾られるメインの竹も、もちろん自分たちで竹林へ取りに行きました

 竹林はすごく近い距離の場所にあって、三人で道具を持って歩いて行きました。こんなに近くで竹を取れる場所があることが、とてもありがたいです。

■神々しく輝く竹

 門松で使う竹は、一年目の竹ということが決まっていると、須原さんとさくらちゃんに教えていただきました。

 竹林に入ると、もう何年目?! というくらい立派で太い竹がたくさんあったのですが、一年目の竹は、その中でも神々しく輝いて見えてくるのです。私も、一目見て分かりました。

  
   
 見比べてみると、一年目の竹は節の部分が白くて、竹全体に白い粉のようなものがついていて、二年目以降の竹との違いがあるのが不思議で面白かったです。

 今年は一年目の竹が例年よりも少ないなあと須原さんが仰っていたのですが、よく探しながら、真っ直ぐで丁度良い太さの竹を三本、無事、門松用にゲットしました。

 この日は天気が良く、お日様の暖かさを感じる中で、竹取りしたり、切った竹を須原さんとさくらちゃんと一緒に担いでせっせと古吉野なのはなまで運んで帰るのもとても楽しかったです。

 竹を持って帰ってからは、それを門松用の長さにカットしていきました。

 先端を斜めにカットするのですが、斜めに切るラインが竹の節に部分的に少しかかるくらいの所で切ると、その断面がまるで竹が微笑んでいるように見えます。これを 「微笑み竹」と呼ぶそうで、門松の竹はこの微笑み竹を飾るそうです。

■微笑み竹

 私は今まで「微笑み竹」と呼ばれているのは知らず、今日初めて教えていただきました。

 今まではただ単に普通に斜めにカットした門松用の竹にしか見えなかったのに、微笑み竹のことを知ってからは、三本ならんだ竹を見る度に、三人親子が微笑んでいるようにしか見えなくなって、ものすごく可愛かったです。

 作っていると、門松の三本の竹はそれぞれ太さや高さも違っていることも新たに知って、そういうふうに門松のことを詳しく知っていきながら作っていけたことがとてもありがたかったです。

  
   
 斜めにカットした竹は、バーナーで表面をあぶることにより、竹の油で表面がすごく綺麗でツヤのある緑色になっていきました。

「これは売り物にしか見えない!!!」

 と思ったほど美しい竹になって、とても嬉しかったです。

 竹が完成した次は、竹以外に門松に飾るものを集めに行きました。松や梅、笹、苔など、門松には竹以外にもたくさん使われていることを知りました。

■幸せ集め

 門松に使われる材料にも、それぞれ縁起の良い意味が込められています。

 竹……成長が早いので、生命力・繁栄の象徴として飾られます。

 松……神様が宿る木とされていて、一年中緑の葉をはやしていることから縁起の良い木と言われています。

 梅……寒さに強く、一年で初めに花が咲く木として年の始まりを意味します。

 葉ボタン……葉がふりふりと重なることから、良いことが重なるという意味があります。

 南天……難が転じる、という意味が込められています。

 材料を集めながら、さくらちゃんがそう、たくさん話してくれました。

 松はたけちゃんハウスから、梅は梅林から、南天は古吉野なのはなにあって、葉ボタンは園芸部さんが育ててくれている……気づいたら、門松に必要なものが全て身近にあって、全て自分たちで集めたもので門松を手作りできることが本当にすごいです。

 さくらちゃんと一緒に各場所を回って材料を集めていく時間が、幸せ集めをしているようでとても楽しかったです。

■お母さんと探検

 全ての材料を、樽にそれぞれ飾っていこうと思ったとき、毎年使っていた門松用の樽が、二つとも壊れてしまっていることが発覚しました。

 そのことを須原さんに相談させていただくと、須原さんがすぐに別の物を使うことを提案してくださって、古吉野なのはなにあった黄色のプラスチックの樽を使うことになりました。

  
   
 門松用に取った竹の一部を割竹にして、樽の周りにグルッと取り付けていきました。プラスアルファの工程なので、予定よりも時間はかかってしまったけれど、この一工程が完成度に繋がるのだなあと感じて、できて嬉しかったです。

 松や梅などを飾るとき、私は全体のバランスを見るのが苦手で、さくらちゃんと一緒に二人で試行錯誤しながらやっていました。まさにそのときに、お母さんが来てくださって、松や梅、南天などをプラスでもう少し集めに行こうと話してくださりました。

 お母さんとさくらちゃんと一緒に、再び材料集めに回って、自分たちでは見つけられなかった南天も、お母さんが、「ここにあるんだ」と言ってつれて行ってくださって、お母さんとの探検ツアーがとても楽しかったです。

 そして、集めた材料を、あっという間にお母さんが門松に飾ってくださりました。自分たちの技術ではどうにもできなかったところを、速く、且つ美しく仕上げてくださったお母さんが、本当にかっこよかったです。

 完成した二つの門松が、とても輝いて見えました。初めて制作に入らせていただいて、人生で初めての門松作りが本当に嬉しかったです。

 今年も良い一年になりますように。

 こうして、きちんとお飾りを作り、年末年始を大切な節目として迎えられることが、嬉しいなと思いました。