【12月号⑩】「「よく生きたい」と願う気持ちを ―― 『晴れの国 和太鼓まつり』に出演して ――」るりこ


  
 「岡山県和太鼓連盟の三十周年記念コンサートに、勝央金時太鼓保存会なのはなチームとして出演してみませんか」

 毎週水曜日の勝央金時太鼓の練習時間。いつも温かく指導してくださる、保存会会長の竹内さんからそう声をかけていただいたのは、今から遡る、三月の初旬。

 町で開かれるお祭りなどで金時太鼓保存会の一チームとして演奏したことは何度かありましたが、県で開かれる大きなコンサートへの出演は思いがけないことで、初めは竹内さんの言葉が信じられないほどでした。

 貴重なステージに立てることが嬉しい反面、それ以上に、今の実力ではいけないという焦りと緊張のほうが勝り、本番までの週一回の練習に向かう気持ちがより高まるきっかけともなりました。

 勝央金時太鼓なのはなチームとして、毎週水曜日の夜七時から九時の二時間、勝央文化ホールのステージをお借りして、十一人のメンバーで竹内さんから太鼓の指導をしていただいています。

 ステージを往復する準備体操から始まり、約一時間の基礎練習、そして身体が太鼓を打つ感覚や気持ちを取り戻してきたころ、今回のコンサートで演奏する『那岐おろし』の曲の練習を詰めていきました。

 『那岐おろし』は初代のメンバーから演奏している馴染みのある曲で、今のメンバーも演奏し慣れてきた曲ではありましたが、もっと高いレベルの演奏を目指して、気持ちとしては心機一転で挑みました。

 約九分間に及ぶ『那岐おろし』は、大太鼓二名、長胴太鼓六名、締太鼓三名の編成になっています。長胴太鼓六名のソロ回しや、曲の中間に挟まれた大太鼓のソロが見せ場の一曲です。

 曲を区切って、竹内さんからアドバイスをいただき、所作から音の強弱などを徹底して揃えていきました。

■一番の課題

 本番も近くなってきた頃、演奏に関しては竹内さんからも、「良くなった」と言っていただけるレベルまで達してきました。自分たちでも弱点を洗い出して、少しでも改善できる方向へと進めていきました。

 しかし、なかなか揃わなかったことは表情でした。太鼓を叩いていると、強い音を出そうとする分、表情まで険しくなってしまい、前で演奏を聴いてくれている竹内さんから、「表情が怖い」と指摘していただくことがありました。
  

  

 個人的にも表情をつくることは大きな課題でした。大きな音を出さなければと思えば思うほど、太鼓を叩くことに必死になってしまって、表情をつくる余裕がなくなってしまうのです。その一因として、一番の課題は「気持ち」でした。

 本番まで二週間。ホールでの練習も残り二回となった頃、練習に行く前に太鼓メンバーで集まり、お父さんのところへ行きました。そしてそこで演奏する気持ちを話してもらいました。

「太鼓の演奏も、なのはなの演奏も、自分たちが表現したい気持ちはただ一つ。それはよく生きたいという気持ちだけです。」

■「生きる」という喜びを

 摂食障害になったわたしたちはなのはなに来るまで、一日先も見えない苦しみのなかにいました。身体的にも精神的にも「死」とすぐ隣り合わせだったけれど、なのはなに来て、命が救われ、回復の軌道にのった今は「生きる」という喜びを、太鼓を叩くという手段を通しても感じることができるようになりました。

 わたしたちはプロではないけれど、摂食障害という経験を経たからこそ、プロの人たちにはできない、自分たちだけの表現がある。

 そのなかでも一番大切なことは、「どうか、より良く生きさせてください」と願う気持ちだけ。

「わたしは希望をもって、前だけを向いて生きていきます、という志を見せるんだ」

 お父さんの一言一言が胸に突き刺さり、自分に抜け落ちていた気持ちを改めて、考え直すことができました。

 わたしはずっと、みんなよりも大きな音が出せないという課題に対して、(自分はダメなんだ)と弱気になって、仲間の足を引っ張っているのではないか、自分なんかがこんなに晴れの舞台に立っていいのだろうかという不安が強くありました。

 間違えないように、みんなの演奏を壊さないようにという気持ちが頭の半分を占めていたら、太鼓を演奏する楽しさや曲に込める気持ちに意識を向けることができなくて、それだから表情をつくることもできていなかったのだと思いました。

 もちろん練習は全力でするけれど、それと同時に、上手いか下手かではなく、この演奏を通して、自分たちは何を表現し、何を伝えたいのか。

 そう気持ちを改め直すと、弱気になっているどころではなく、仲間と共に自分たちにしかできない演奏を、今の自分で精一杯やるしかないのだと、気持ちを立て直すことができました。

■本番の日

 十一月二日、土曜日。まだまだ先だと思っていた本番の日がとうとうやって来ました。

 岡山県和太鼓連盟三十周年記念和太鼓まつりの会場となるのは、倉敷市真備町にあるマービーふれあいセンターです。
  

   
 少し小雨の降る早朝、いつもより早めに起きて、なのはな太鼓チーム十一名の緊張と高揚感の交じる一日がスタートしました。

 倉敷市の会場までは勝央金時太鼓保存会の小学生教室、中学生教室のみなさんと共に、大型バスで移動しました。

 倉敷市まで片道約二時間。大移動でしたが、頭のなかで演奏から出捌けまでのシミュレーションをしたり、少し身体を休ませて、本番までの気持ちを固めていきました。

 大きな橋を渡り、郊外を抜けたあたりで、大きな建物が見えてきました。多くの車が行き交っている様子からも、ここが今回の会場となる、マービーふれあいセンターなのだとわかりました。

 

会場では和太鼓職人の方によるワークショップも開かれていました

 

 バスを降りると、竹内さんと保存会の方が待っていてくださり、一日の大まかな流れと注意事項などを説明してから、控え室へと案内してくださいました。

 マービーふれあいセンターは、竹ホールとさつきホールの二つのホールがある、規模の大きなホールで、会場は明るく、とてもきれいな場所でした。

 受付には、この日限定の和太鼓連盟の紹介パネルの展示や販売ブース、太鼓づくりの実演会場などが設けられ、多くの出演者の方や関係者で賑わっていました。

 控え室にはこの日、第一部で共に出演する団体の方々が集まっており、開会までの時間は着替えなどをして、緊張する気持ちを落ち着かせて待ちました。

■立ち見で溢れるほど

 岡山県和太鼓連盟三十周年記念 晴れの国和太鼓まつり。

 十一月二日、三日の二日間に渡って行われるステージは、和太鼓連盟の加盟団体の他、真備町の二団体を含めた三十団体が出演し、さらにスペシャルゲストとして「太鼓芸能集団 鼓童」と「和太鼓×マリンバ GONNA」の二団体のステージも盛り込まれたコンサートです。

  

   
 この和太鼓の祭典を楽しみに、また世界でも名の知れる「鼓童」や「GONNA」の演奏を是非聴きたい、見たいという人で、約千席あるホールは立ち見で溢れるほど、大勢のお客さんが来場されていました。

 そのなかでわたしたちは一日目の第一部、四組目として、勝央金時太鼓なのはなファミリーチームとして『那岐おろし』を演奏させていただきました。

 演奏会は十時半に開会し、倉敷市長の挨拶から始まり、しばらくして一組目からスタンバイとなりました。

 控え室へも、廊下を隔てたステージから太鼓の音が聞こえてきて、だんだんと緊張が強くなり、急に不安や心配になりました。

 でも、周りにはこれまで一緒に練習を積み重ねてきた仲間がいて、みんなとなら絶対に大丈夫だと思えました。

「それでは、次になのはなチームのみなさん、移動をお願いします」

 と、スタッフの方から声がかかり、わたしたちもいよいよステージへと向かいました。

 舞台裏まで来て並んでいると、金時太鼓保存会の女性の方が案内係として立っていてくださり、「頑張ってくださいね」と声をかけてくださいました。

 さらに自分たちの前に演奏を終えた、小学生教室の子たちが安堵したような表情で戻ってきて、すれ違いざまに、「頑張ってください」と声をかけてくれました。

 舞台裏のどこへ居ても、団体を超えて、この会場に集まったみなさんと最高のステージを作り上げているのだ、という気持ちがしました。

 わたしもみなさんのなかで、また、なのはなファミリーの一メンバーとして、思い切り太鼓を叩き、そして太鼓を叩く楽しさを感じながら、自分たちにしかできない表現を見せられるステージにしようと、気持ちを強く持ちました。

■宣言するように

 舞台袖までくると、竹内さんがスタンバイしてくださっていて、最後の注意点などを話してくださりました。舞台袖は薄暗く、袖幕を通したステージからはお客さんの気配を感じました。

 竹内さんの合図で、わたしたちはステージへと出ました。これまで何度も揃えてきた出はけの所作を意識しつつ、さっと持ち場の太鼓へと向かいました。

  

   
 演奏は大太鼓のふみちゃんの打ち出しで始まります。これまで以上に気合いの入ったふみちゃんの、はじめの二打が会場に響き渡りました。お客さんが息を飲むような静けさのなかをふみちゃんの叩く大太鼓の音だけが響きます。

 ふみちゃんが叩く一打一打から、ふみちゃんのより良く生きたいと願う強い気持ちが伝わってくるような、いつもよりさらに大きな音でした。

「はっ!」

 ふみちゃんとよしみちゃんの掛け声を合図に、それまで顔を俯けてしゃがんでいた長胴太鼓と締太鼓全員が顔を上げて、立ち上がります。ぱっと顔を上げた瞬間、初めて見る会場の景色と、その下にたくさんのお客さんの顔が見えました。その一瞬の景色が今でも脳裏に焼き付いています。

 わたしたちも続いて、「はっ!」と声を上げて太鼓を叩き始めてから、そこからはもうわたしたちのステージでした。

 音楽は演奏する人と聴く人の間で成り立つ、とお父さんが教えてくださいます。その意味が、(こういうことか)と感じられるようなステージでした。

 約千人のお客さんがわたしたちの演奏を真っ正面から受けとめ、聞き入ってくださっているように感じました。

 そしてわたしたちも、この一曲を通して、「より良く生きてみせます」「どうかわたしたちの志が届きますように」という意気込みを表情、音、出捌けの所作一つひとつから、会場に集まったお客さんに宣言する強い気持ちで叩きました。

 初めは緊張で必要以上に肩に力が入り、身体がガチガチになっているような感覚がありましたが、後半にかけて、だんだんと太鼓を叩く楽しさで自然と笑顔になれてきてました。そして、最後の一打を叩き終わったときは、(やりきった)と思えました。

 その瞬間、会場から湧きあがるような拍手が鳴り響きました。そして、わたしたちの晴れの舞台を応援しに駆けつけにきてくれたお父さん、お母さんの声も聞こえてきて、(あぁ、自分たちの気持ちを表現できたのだ)と思えました。

 今持てる力を、悔いなく発揮できたことが嬉しかったです。

 まだ心臓がどくどくするのを抑えながら、控え室へ戻ると、一緒に力を出し切れた仲間の顔がありました。一人ひとりの表情がとても晴れ晴れとしていて、顔を見合わせて、この喜びを共有しました。

 改めて、みんながいたから、ここまでやってこられたと思いました。

 わたしは上達が遅いけれど、何も言わずとも大きく受け入れてくれる仲間がいるから、諦めずに本番まで向かえたのと思います。

 この仲間で太鼓に通えて、そしてこの仲間で今回のステージに立てて、本当に本当によかったと思いました。

■嬉しい言葉

 演奏を終えたあとは休憩を挟み、第二部からはわたしたちも他の団体の演奏を観客席で見せていただけるということで、まだまだ楽しみが待っていました。
  

勝央文化ホールでの練習風景

   
 第二部の開場に向けて列に並んでいたとき、保存会の方を通して、かにちゃんに声がかかりました。

 そしてしばらくして戻ってきた、かにちゃんからとてもとても嬉しい言葉がメンバーに伝えられました。

「わたしたちの演奏を見た、倉敷の二人のお客さんが、こんな人たちがいたのかと思って、演奏を見て涙が出た、一体どんな団体なのか知りたくて、わざわざ声をかけてくださったみたいで、ウィンターコンサートの紹介もしたら、是非行きます、と言ってくださったよ」

 口早に話すかにちゃんの言葉に、「嬉しい」では言い切れない喜びに包まれました。わたしたちがウィンターコンサートや夏祭り、町のお祭りなどで演奏をするときに、「たった一人でもいいから、その人に向けて踊るんだよ」と、お母さんが話してくださることがあります。かにちゃんが運んできてくれた嬉しい知らせを聞いたとき、真っ先にお母さんのその言葉を思い出しました。

 わたしたちが今回、太鼓という手段を通して、約千人のお客さんの前で自分たちの生き様を込めた演奏が、その二名の女性に心動くものがあったということです。

 それはわたしたちが太鼓を通して表現した生き様が伝わったということだと思います。

 わたしたちがこれまで感じてきた生きにくさを超えて、これ以上、自分たちと同じような苦しみを味わう人が生まれない世の中を作っていこうとすることは、とてもとても大きなことだと思います。

 でもこういう機会を通して、一人でも二人でも、わたしたちの気持ちに共感してくれて、希望を感じてくれる人がいたら、この小さな輪が徐々に広がり、いつかは大きな輪へと広がっていくかもしれません。

■希望をもらう

 今回の経験はそのことを強く実際に感じられた機会になり、わたしたちも、自分たちの生き方に共感してくれる人がいるということに希望をもらえました。

 今回、なのはなの代表として太鼓で表現をさせてもらったわたしたちだけど、気持ちはなのはなで応援して待ってくれているみんな同じ。だからこそ、この嬉しい報告を一早くお父さん、お母さん、みんなにも伝えたいと思えて、自然とみんなの顔が浮かんできて、より嬉しくなりました。

 十三時から第二部が開演しました。第二部では、岡山市や総社市など岡山県内から集った団体の演奏が行われました。

 筋肉隆々の男性たちが大太鼓が揺れ動くくらいに力強く叩き抜く備前陣太鼓や、笛や鐘なども交えたお囃子風の明るい演奏、他にも二台の向かい合った太鼓の間を絶妙なタイミングで移動しながら太鼓を叩くという、動きのパフォーマンスも交えた、ふじた傳三郎太鼓など、各団体の個性溢れる演奏が次から次へと繰り広げられ、同じ「太鼓」と  いっても演奏の幅はとても広いのだということを感じました。

 

ウィンターコンサートでも太鼓を叩きます!

  

 各団体の演奏ごとに代表者のインタビューも設けられ、まだ二十代の若い方でも太鼓歴十年以上と話す方が多くて、素晴らしい演奏は長い経験から成せる技なのだと感じました。

 自分自身も太鼓を叩く身として、自分たちよりも長く太鼓と向き合ってきた方々から少しでも学ぼうという気持ちで、演奏を見させていただけたことが嬉しかったです。

■「太鼓芸能集団 鼓童」

 そしてコンサート初日の締めを飾ったのは、「太鼓芸能集団 鼓童」による演奏でした。

 和太鼓と言えば、鼓童を思い浮かべる人も多いというくらいに、日本を超えて世界でも有名な団体です。佐渡島を拠点に活動されており、五十四か国で七〇〇〇回を超える演奏をしたと、パンフレットの紹介文に記載されていました。

 世界にも名の知れた鼓童の演奏を生で聴かせていただけるということに、わたしたちも今回のコンサートで楽しみにしていた一つでもありました。

 今回のステージで、鼓童のみなさんは八曲の演奏をしてくださいました。八曲も聴けるのだと思っていましたが、目の前で繰り広げられる鼓童の世界観に吸い込まれて、気がつけば終わってしまっていたと、言葉では表現しきれないくらいに、鼓童のみなさんの演奏は圧倒されるものでした。

 鼓童の演奏を見ていて、特に強く感じたことは、「揃う」ということと、「見せ方」という二点についてです。

 演奏されていた方は、男性の方に加えて、まだ若い女性の方が三名おられました。見た目は男性と女性では体格も違いますし、女性の方だけを見ても、身長や顔、形は異なります。

 でも鼓童のみなさんが並んで太鼓を叩くと、全員が同一人物に見えるかのように、所作から太鼓の叩き方、腕の上がり方まで、一つのズレもなく揃ってみえました。

 誰か一人が飛び出ているわけでも、誰か一人が輝いているのではなく、全体として見て感動します。

わたしたちもダンスや演奏を大人数で表現をするときに、みんなのなかに埋もれることが美しいのと、教えてもらっていますが、鼓童のみなさんの演奏を見ていると、その言葉の意味が納得できるようで、表現している全員の動作、気持ちが揃うことで、圧倒されるステージがつくれるのだと思いました。

「揃う」というのは、こういうレベルをいうのだと感じました。「見せ方」という点においては、表情や動きから、活き活きとしたエネルギーや希望を感じさせるオーラを一人ひとりから感じました。

 今回のステージに向かうなかで、わたしたちも「表情」が大きな課題でもありましたが、やはり表情が豊かな人には自然と目がいき、また演奏している人が笑顔で楽しそうだと、ステージ全体がより華やいで見えます。

 鼓童のみなさんは誰一人欠けることなく、一人ひとりの表情や動きが活き活きとしていて、そういう心持ちがあってこその、高いパフォーマンスなのだと感じました。もっと見たい、聴きたいと思うなかで、最後の一曲が終わってしまったことが残念でしたが、鼓童のみなさんの演奏を聴いたあとは、何だか自分も頑張ろうというやる気が湧いてくるようなステージでした。

■全力の美しさ

 そしてこの二日間に渡って、第一部と第二部のラストは、岡山県和太鼓連盟のみなさんによる合同曲『飛天』と『疾走』が演奏されました。

『飛天』は、二〇〇九年に連盟曲として作曲された曲で、大自然の力で岡山から地球を取り巻く空間へ飛び立つ青年の度量や心意気を表現した曲だそうです。

 この曲の見所は、打ち手全員が竹撥といって、通常の撥に比べると細くて長い撥を使って演奏しているところです。

 ステージ上には、何十台もの長胴、締太鼓、そしてバックには大太鼓が十台ほど並べられ、五十人以上の連盟のみなさんがステージを埋め尽くすように並ばれて、『飛天』を披露してくださいました。

 そのなかには二日目に出演する、勝央金時太鼓保存会のみなさんの姿もありました。

 百本以上の竹撥が一度にすっと上へと上がり、そして下へと下がり、その細い撥からはホール全体が揺れるのではないかと思えるほどの音量が鳴り響きます。

 そんなに強く叩いたら、撥が折れてしまうのではないかと心配してしまうけれど、みなさんが力強く叩いている姿がとても勇ましくて、目が何個あっても足りないくらい、連盟の方たちによる合奏は迫力があり、改めて、全力で表現している人は美しいと感じました。

『疾走』はスペシャルゲストの「GONNA」の方が作曲された曲で、リズム感のある、聴いている方まで一緒に叩きたくなるような一曲です。

 みなさんが身体を揺らしながら本当に楽しそうに演奏されている姿から、太鼓が好きだという気持ちが溢れているのを感じました。

 曲が終わってしまうと、アンコールの拍手が鳴り響き、それに応えて最後にもう一回し、演奏をしてくださいました。

 みなさんの演奏を見ていると、太鼓っていいな、太鼓って本当に魅力的だなということを強く強く感じました。

 太鼓の世界に魅了されて、その酔いが冷めないままに、後ろ髪引かれる思いで終幕となってしまいましたが、本当に貴重な体験をさせてもらったと感じました。

 帰り際、竹内さんから、「とても良い演奏でした。他の連盟の方が、所作がきれいだと褒めていましたよ」と声をかけていただきました。

 初心者のスタートから始まったわたしたちを、竹内さんが温かく、ときには厳しく指導してくださり、まだまだ力不足ではあるけれど、人に見せられるところまで上達することができました。

 竹内さんが見本として叩いてくださる音は本当に大きな音で、フォームも絶対にぶれません。わたしたち一人ひとりの課題に対して丁寧にアドバイスしてくださり、時には笑いも含めて教えてくださり、真剣な練習時間のなかで、竹内さんやみんなと笑い合える瞬間がいつも嬉しくて、毎週水曜日に太鼓に行ける時間や竹内さんにお会いできることが一週間の楽しみになっています。

 改めて、ここまで指導してくださった竹内さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

  
   

 これからも竹内さんのもとで、もっと勝央金時太鼓なのはなチームらしい迫力を引き出せる演奏を目指して、上達していきたいです。

 ここまでの過程と本番を経て、これまで以上に太鼓が好きだという気持ちが強まった気がします。

 そして、自分たちの表現したい気持ちは必ずまだ見ぬ誰かに繋がるということを身をもって感じられる機会ともなり、出演させていただけて本当によかったと思います。

 今回、自分が演奏するなかで感じたことや、他の出演者の方の演奏を見て学んだことを、今度は今月に迫る、ウィンターコンサートに向けて活かしていきたいです。

 ちなみにウィンターコンサートでも『那岐おろし』を演奏することになりました。叩く度に自分たちの曲になっていると感じるこの一曲で、次に待つ、まだ見ぬ誰かに届けられる演奏をこれからも仲間と共に目指していきたいです。