「1シーンのなかに」 ほし

11月20日

 1日、日記を置いてしまいました。

 先ほど、新しい脚本を読ませてもらいました。
 新たになった、もえぎやちぐさのセリフの中にも、すごく共感できたり、自分たちの気持ちそのものだな、と感じるところがありました。
 どう生きていったら分からない、この苦しみが何なのかよくわからない、今の社会のルール、レールに乗れない、といった気持ちだ、と思いました。
 特に、「流されて、何も考えない人になった」というセリフが、今、一番、心に残りました。
 新しい脚本の中の言葉も、なのはならしい気持ちが含まれているんだな、ということを感じるし、お父さんも、私たちの事を思って、新たに改良してくださったんだな、と感じました。
 自分のものにできるように、大事な事が伝わるステージに出来るように、心を砕いていきたいです。

 昨夜は、あゆちゃんとなおちゃんに、軍人とミュラーのシーンを見てもらいました。
 1シーンの中にも、これだけディテールに拘って再現できることが、できるんだ、と新発見ができた感覚でした。
 軍人は、手柄が欲しい、ヒトラーに良い報告をしよう、という気持ちのベースで、それかつ、ヒトラーに一番近しい部下でエリート、そして、第二次世界大戦の時代であったため、いつ殺されるか分からず必死、とあゆちゃんが教えてくれました。

 軍人が、DDTの名称を間違っていう箇所も、「そこは笑かすところ」と教えてくださり、エリートなら知っている名前の毒物の名が来ると思ったら、ジクロロ・ジフェニル・トリクロロエタンという知らない名前が来た。でもエリートなら言わないといけない。
 しかし、言い間違える。
(俺、言えてるよな……!?)と、目線を泳がせながら間違った名称をいうこと。
 DDTという略称を聞いて、(その名ならヒトラーに報告できる)と、少し安堵した様子。
 ということも教えてもらいました。
 その1シーンの中にも、これだけ見せられる形にできるのだと、また面白さを教えてもらったな、と思うし、確実にそのシーンがよく出来るように、さとえちゃんとも練習していきます。

 今日の日中は、午前、午後と、玉ねぎの植え付けに入りました。
 玉ねぎの苗がどれもピンとしていて、凄くきれいで、植え付ける畑の畝もマルチの形も美しくて、(これは、良い玉ねぎになってくれそうだな)と気持ちが弾みました。
 ペアの人と向かい合わせになって、集中して植えていく時間も、すごく気持ちがよくて、楽しかったです。

 午前10頃から植え付けを始めて、そのころはまだ霧がかかっていて、手が悴んでいたのですが、あっという間に暖かくなって、少し暑いくらいでした。

 午後も、引き続き、植え付けをしました。
 ずっと集中していて、気付けば、西日が差してきて、暖かいな、と感じていたのが、冷えてきたな、と感じました。
 その時、頭の中で『I see fire』が再生されていたのですが、帰りの車の中で、えつこちゃんが、
「寒くなってきたとき、頭の中に『I see fire』が流れていた」
 と話していて、「それは、私もだった」と、笑談しながらの時間も、凄く暖かいな、と思ったし、まなかちゃんが、
「冬の夕暮れの空を背景に木が黒く見えるのが、凄くきれいだよね」
 と話していて、それは、本当にそうだよな、と思ったし、寒い時期のみんなといる暖かさが、すごく幸せで、大好きだな、と感じました。

 明日も、畑でも台所でも、できることを頑張りたいです。