【12月号⑤】「みんなで一つの表現、美しさを求めて」あけみ

  
 美しいアートには利他心があって、美しいダンスの中にも利他心がある。あるべき姿には利他心がある。ダンスを踊りながら、自分たちのあるべき生きる姿を見つけているような気がします。

 十二月のコンサートに向けて、ダンス練習がスタートしています。今年は大人数でつくる曲が多いです。今回は、大人数曲など以前にやっていたクイーンの曲がいくつかあり、ダンスもそれをリニューアルしてつくるものもいくつかありますが、今のメンバーで、今の脚本で、今だからできる作品づくり、表現ができるようにと練習をしています。

 今年やる『ザ・フェアリー・フェラーズ・マスターストローク』『フー・ウォンツ・トゥ・リヴ・フォーエバー』『アンダー・プレッシャー』などもそうです。

 まず、今年のコンサートでダンスを本格的に踊るのが初めてというメンバーも多かったので、少し前から基礎練習や基礎体力、美しくステージの上で歩く練習などを行いました。
  
  
 身体をリズムに合わせて動かすことに少し慣れてから、実際に曲に入り、振り入れなどが進んでいきました。振り入れは主にダンス部が中心となってすすめ、その後あゆちゃんが全体をみてくれて、細かい詰めを行っています。

 『フー・ウォンツ・トゥ・リヴ・フォーエバー』では、シンプルな動き、移動の動き、振り、ポーズが多く取り入れられています。だからこそ、一人ひとりのポーズ、移動、形のディティールが大切になる曲だと思います。

『誰が永遠を望む? 誰か永遠に生きることを望む?』『「永遠」とは僕たちの「今」なのだ』そんなメッセージがある、コンサート一曲目となる大切な曲です。

 サビや移動の振りをあゆちゃんが細かくみてくれました。一つひとつのポーズを止まり、どこの位置が一番美しいのか、どんな立ち姿勢、ポーズが美しいのか、身体に入れていく行程です。

 なのはなの表現では、どこまでも皆で一つの表現、皆でそろえたダンス、表現を求めています。
  
  
 何度も何度も同じポーズや振りを繰り返していく過程は、気持ちや身体の面でも粘りがとても必要です。地味に感じたり、ハードに感じるけれど、あるべき姿、あるべき美しいものを、何度も何度も繰り返しながら、皆で見つけている過程が私は好きです。練習を通して自分の気持ちもあるべき姿の方向に導かれているようです。
  
  
 彫刻家の人が、自分が何か作品をつくるのではなく、木の中にすでにある作品、つくられるべきものを見つけるように木を彫っていくという話があるように、ステージの上で皆であるべきかたちを見つけていっているのだと感じます。

 なのはなで皆でダンスをしていると、私たちが生きられる世界の答え、ヒントや美しさを見つけることが多いです。

 仲間を大切に思うこと、自分のためだけの自分を消して仲間や皆でつくる一つの作品のことに集中して、その作品の一部としての自分を全力で演じ、尽くしていく……、それはダンスだけではなく、日々の生活、生きるということでも全く一緒なのだと思います。

  
  
 これから、さらに脚本や曲の解釈を深めながら表現していけるのも緊張するけれど楽しみです。
 大人数の曲は、今現在は振り入れは終わって、まだ詰めていない箇所があるという段階だったり、まだ考案をしなくちゃいけない曲も待っています。
 お父さんお母さん、あゆちゃん、皆と駆け抜けるコンサートまでの日々、一瞬一瞬を大切にしていきます。