11月15日
お父さんとお母さんに、どうしても伝えたい嬉しい報告があります。今日のことではないのですが、最近、突然、今までどうしても吹けなかった、アンサンブルの『化石』と『ライオン』が、原曲のテンポで吹けるようになりました。
ずっとずっと苦戦していて、「11月8日までに全曲を完成させる」という目標があるのにと、11月7日まで、悩んでいました。しかし、11月8日に、突然、原曲のテンポで吹けるようになったのです。
お父さんに質問をした日、私は、お父さんの言葉を信じて、苦戦していた『化石』と『ライオン』をいったん保留にして、比較的吹きやすい『カンガルー』から練習していきました。それから、『イルヴェント・ドーロ』、『フーウォンツ・トゥ・リヴ・フォーエヴァー』『アウェイク』と、吹きやすい順番に、練習していきました。
お父さんが話してくださった、できないところにこだわってしまうのは評価を気にしているからというのは、本当にその通りで、まずはその気持ちを手放しました。怒られたくない、間違えたくない、という気持ちで吹く音は、音楽じゃなくて、雑音でしかないです。ちゃんと、音楽を吹きたい。怒られても何でもいいから、ちゃんと音楽をやりたいと、思いました。音は表現の手段。何を表現したいか? ちゃんと生きたい気持ちです。上手いか下手じゃなくて、ちゃんと生きたい気持ちを表現したいです。技術を見せびらかすのは音楽じゃないです。下手でも泥臭くても良いから、気持ちを表現するための本当の音楽をやりたいです。
そして最後に『ライオン』と『化石』が残り、2日間アンサンブル練習の時間をもらえて、1小節を半分に区切って、5分くらいひたすら繰り返し吹いて、できるようになったら次の半小節を繰り返し練習して、できるようになったら前に練習した半小節と繋げて吹いて、できなかったらさらに10分くらい繰り返して吹いてと、楽譜を細かく細かく区切って練習しました。全て、原曲テンポで練習しました。
そうして少し、できる兆しが見えてきたのが11月7日です。しかし、もうひと頑張りだ、というでき具合でした。
11月8日、突然、そんなに力まなくても原曲のテンポで吹けるようになったのです。
えっ? と、自分でもおどろきました。アンサンブルのみんなと一緒にあわせても、みんなの音を聴く余裕ができて、吹くことが楽しくて楽しくて仕方なくてずっと吹いていたい気持ちになりました。
この喜びを、さとみちゃんに伝えたくて、伝えました。さとみちゃんが、
「えっちゃんなら出来ると、いつも思っちゃうんだよね。これ、トロンボーンのために作られた楽譜じゃないのに、本当に凄いよ。だからいつも無理を言ってしまうんだけど、練習してくれることがうれしい」
と、言いました。さとみちゃんの言葉が、自信になりました。
さとみちゃん、あゆちゃん、りのちゃん、なるちゃんたちアンサンブルメンバー、まだ一緒には練習していないけど、あやこちゃんの存在が、力になっています。仲間のことを思うと、どんな試練も、石にかじりついてでも乗り越えてやる、という気持ちになります。
もうひとつ、嬉しいことで、全体演奏『スムース・クリミナル』を以前合わせたとき、あゆちゃんが、トランぺットとトロンボーンがもたつくことを教えてくれました。パート練習で、トロンボーンパートのみんなと、トランぺットのなつみちゃん、ももかちゃん、よしみちゃんと練習しました。アンサンブルの個人練習でやったような、1小節を半分にしてひたすら繰りかえす練習が有効だと思い、パートのみんなと練習をしました。
そしたら、どうしてももたついてしまっていたところが、テンポ124でも、揃って吹けるようになりました。吹けるようになった瞬間、みんなで目を見開いて、顔を見合わせました。確かに、みんなで階段を1段昇った瞬間でした。
自分1人で、吹けるようになったときの何倍も、嬉しかったです。みんなで、階段をのぼれたからです。
明日から通し練習がはじまります。今日の曲の通しでは、気持ちを一瞬で作ることができず、悔しい思いをしました。自分の甘さを感じました。練習過程こそが本番です。一瞬一瞬を、真面目に真剣に過ごします。