「『晴れの国 和太鼓まつり』に出演して」 あけみ

11月2日

○太鼓のコンサート
 今日は、倉敷の真備町にあるマービーふれあいセンターで行われた岡山県和太鼓連盟30周年記念『晴れの国 和太鼓まつり』に勝央金時太鼓保存会のなのはなとして1曲『那岐おろし』を演奏させていただきました。
(楽しかった)
 演奏が終わった時にシンプルにそう感じました。

 1000人の客席が埋まり、立ち見をするお客さんもいる中での演奏はとても緊張しました。暗転のなか袖でスタンバイ、ステージに上がるとき緊張して、口の中がカラカラでした。
 舞台袖で、ステージの神さまにお願いをしました。
(どうか、まっすぐに自分を皆の一部として、使命を果たさせてください)
 やっぱり、コンサートで演じたジャンヌ・ダルクの言葉を思い出しました。「勇気を持つためには、自分を捨てること」。
 そう思う時、客席にいるお父さんお母さんや応援組の皆の存在がとても大きく感じました。今、うたなちゃんや、そなちゃん、新しいメンバーにも自分たちの姿を通して何か生きる力になってくれたら、そのためだけに自分を使いたいと思いました。そこには、自分の評価のために怖がることも、臆病になることも必要なかったです。

「最後の部分は、私たちの志は間違っていなくて、この先にどこまでもいける道や、世界がある、という表情、気持ちで叩きたい」
 前の演奏でかにちゃんが伝えてくれた言葉と、お父さんの、「演奏することを楽しむ」「口角上げていこう」と言ってくれたときの笑顔を思い出しました。
 そして、隣にいる同じステージに立つ大切な仲間を強く感じて、演奏に向かいました。

「たった1人のために。そう思って演奏したらいいんだ」
 お母さんが良く話してくださることです。
 私は、今回この会場にいた、うたなちゃんを思い浮かべました。
 摂食障害だった私たちでも、こんなにも強く太鼓をたたき、大きな音で、たくさんの人に気持ちを表現することが出来る、一緒に表現する仲間もいる、競争とか過去の価値観で評価できない、違う土俵での美しさ、表現、心、身体がある。
 そして、新しい価値観で生きるということ、これからまだまだ新しい世界が待っているということ、それを切り拓いていくという、大変かもしれないけれど、きっとその分、面白い世界がまっているということ、それを音や自分たちの表現で伝えたかったです。

「理想のお客さんを客席にみると、笑顔をつくりやすい」
 かにちゃんが教えてくれたことは、本当にそうだと思いました。自然に笑顔になりました。
 ただ伝えたいことに集中していると、曲に集中できたし、変に力んだり、怖がることがなかったです。
 やはり自分を捨て、誰かのためなら自分はどうなってもいい(=自分の評価はどうでもいい)と思ったときに、自分が救われるのですね。

「自分の音、表現を沢山の人に聞かせることを楽しんで」
 お父さんが前日に言ってくれたように、なのはなの皆で、なのはなの気持ちを太鼓の音にのせて、たくさんの人に自分が実際に表現できることがとても嬉しく、楽しく感じました。
 曲が終わったときの大きな拍手が、とても、とても嬉しかったです。お母さんの声もあったよ、と皆に後から聞いて、そのこともとても嬉しかったです。


 鼓童の演奏を聞かせてもらえたことも本当にありがたくて嬉しかったです。
 太鼓を打つまでの腕の軌道、タイミング、高さ、身体の使い方、すべてがそろっていました。体幹がぶれずに、音も身体の動きも雑味がなく、あるべきところにあるべき力が使われ、音も緻密に演奏されていました。

 全員の中にあるテンポがずっと一定で、安定していて、その中で正確なリズム、メロディーが次々と移り変わり、お互いが役割をはっきりとしていて、全体として一つになっていました。
 締太鼓と桶胴太鼓を交互に並べて4,5人(?)の人が演奏しているときがありました。すべての人の顔、腕、身体、ばちの動きがシンクロしていて、細かく早い動きでさえも揃っていて、なんだか一つの生き物のように見えました。

 篠笛を2人で演奏されているときも、音のピッチ、指の動きがぴったりとあっていてまるで1人で演奏しているように聞こえました。
 出はけの時も、無駄な動きがなく、場面の移り変わりの時もスムーズで見やすかったです。
 コンサートでお父さんが、「細かいディテールが大切」と何度も言われていたのが、本当にその通りだと思いました。


 また、私たちは、プロではないけれど、私たちだから出来る演奏があるのだということも感じました。
 演奏後に、なのはなの人と話したいと声をかけてくださった方がいました。かにちゃんが話してくれたのですが、その方は私達の演奏をみて、涙が出るくらい感動して、「なにかが違う、と思い、この人達はどんな人なのだろうかと思った」「ぜひコンサートにも行きたい」と仰ってくださいました。
 本当に嬉しかったです。

 12月のコンサートに向けて、頑張ろうと思いました。

 今日は、お父さんお母さんも長い道のりのなか応援に来てくださって本当にありがとうございました。とても嬉しかったです。
 いつもありがとうございます。急ぎ足で提出します。