【10月号⑰】 「秋の種まき ―― 目指す!  充実した畑づくり ――」 なつみ

  
 田んぼや畑の畔に、赤い彼岸花が咲き始め、涼しい風と共に、わたしたちの元にも季節の移り変わりを知らせる、秋冬野菜の種まきのシーズンがやってきました!

 トップバッターは、大根。長辺が六十メートルを余裕で超える、保育園前畑の全面に大根の種をまく予定です。収穫期をずらすため、段階を分けてまきますが、九月は第一回目の種まきをしました。

 秋の気配を感じるころではあるけれど、やはりまだ残暑が厳しいうちは、種まきが難しく、大根第一弾の種まき一日目は、種まき後に、早朝と夕方の二回に分けて、毎日水やりをして、さらに、畝にポールを刺して、白い紗をかけて暑さから守ってあげる必要があり、これから発芽したとしても、この暑さに苗が耐えられるか、少しドキドキしました。
  

白いセルトレーで発芽した白菜の芽

  

 種まきから一日目で発根し、三日後には七割ほど発芽!(このまま、みんな発芽してほしい!)と祈りつつ、しかし、残りの三割が出てこない……。

 待っても待っても出てこないなら、まき足すしかない。目指すは、欠株ゼロの大根畑!

 ピンク色のキラキラした大根のコーティング種子に、祈りを込めて、この畝いっぱいに大根が育つ光景をイメージしてまきました。

 そして、その後の週末に雨が降ると、その日を境に、肌を刺すような日差しも和らぎました。後半にまいた種は、種まき後に雨が降ったこともあり、種まきから二日目で、不織布を透かして、ぞっくりと、かわいらしいハートの双葉が出そろっているのが見えて、さらに、渾身の思いを込めてまき足した種も、ばっちり発芽しました。
  
  
 芽が出るまで、保育園前畑の前を通るたびに緊張していた分、大根の発芽がとっても嬉しかったし、今も、大根がのびのびとネットの中で元気に育っていて、欠株ゼロのまま順調に大きくなっていってくれたらいいなと思います。

■玉ネギの苗床

 秋冬野菜は、大根、カブ、玉ネギなど、畑に直まきをする野菜が多いです。セルトレーにまくキャベツや白菜などは、持ち運べるので、いざとなれば空調の効いた室内に入れて管理することも可能なのですが、直まき野菜は、そうはいきません。

 まえちゃんが、種まき時期をきっちり守り、特に、玉ネギのまき時期は去年より早めて、寒さが来る前に苗が大きくなるようにしよう、と計画を立ててくれました。九月半ばに二万粒の晩生品種をまきました。そして、九月の終わりには、さらに中晩生の種もまいて、いざという時のカバーもできるように備えました。
  
  
 玉ネギの種は、二ミリほどの黒い石ころのような種で、それを一・五センチから二センチ間隔でまいていて、今期の種まきで、一番細かい種まきだったなと思います。

 それでも、毎日、ジョウロにヘッドをつけて、朝夕の二回、水やりをしていると、九割五分ほど発芽している様子が見てとれました。

 不織布が取れた玉ねぎの苗床は、四条に玉ねぎの苗が整列していて、なんて美しいんだろうと、感動しました。
 充実した、玉ネギの苗床ができて、これからがとても楽しみです。

■赤カブレスキュー

 そして、(良い苗床が出来た!)とハッピーになっているわたしの元に、突然の悪報。

 ゆず畑下に種まきした赤カブの四分の一ほどが、根切り虫によって、双葉をちょん切られているのだそう。
 ……。
  
  
 言葉も出ないほどのショックを受けつつも、まえちゃんはそれに負けず、充実したカブ畑を作るべく、急遽、根切り虫にやられたところに種をまき足し、さらに、根切り虫対策で草を敷く作業を入れてくれました。私は、みつきちゃんと一緒に、種をまくところに犯人がいないか探しながら、(今度は絶対に、食べさせない……!)と、覇気をまとって、種をまき足しました。

 種をまいて、水をやって、気温を気にして、何とか発芽させても、根切り虫にやられたり、雨で流れたり、何かと問題が起きますが、それでもめげずに、良い野菜、良い畑づくりが出来るように、これからの十月の種まきも、種の一つひとつに誠実に向かっていきたいです。

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 森のカスタードプリント言われるポポーは、池上桃畑の一角にある樹から獲れ、黄色くねっとりとした果肉が美しい果物です。樹を増やすべく、取り木や挿し木にも挑戦しています!