【10月号⑮】 「牛肥を積んで夏野菜のもとへ!」 みつき

  
 朝晩はめっきり涼しくなってきて、秋を感じる季節がやって来ましたが、なのはなの夏野菜はまだまだ衰えることを知りません。その理由は……。

 エルフ(一・五トントラック)の荷台に牛肥を積んで……さあ、わたしたちの夏野菜の追肥ツアーにご招待します!

 まずは中畑のナスです。ここでは『二人一組方式』で追肥をしています。二人一組になって、牛肥の入ったてみを運んでいく人と、それを受け取って畝に撒いていく人とで分担して行ないます。うたなちゃんが、ずっとてみを手渡してくれて、それをわたしが撒いていきました。
  
  
 この方法では、肥料を撒く人が畝を離れることがないから、どこの畝に入るか分からなくなったりしないし、撒き忘れもないし、追肥がとても捗ります。「はい!」と明るい声で変わらず渡し続けてくれる相方の姿にも、元気が出てきます。

 続いて、カチカチ大畑のナスのところへ移動します。かなり広くて大きいこの畑は、『バケツリレー方式』で追肥をしています。
牛肥をてみに入れていく人、撒く人までてみを繋ぐ人、空いたてみを回収する人、実際に畝に撒いていく人……。長い列を作っていますが、このようにいくつもの役割があります。みんなが役割を全うしていて、手を余らせていない。それぞれの子に合った役割で、畑全体の追肥がテンポ良く進んでいるのが感じられます。

 汗ばむ身体から、ちょっぴり牛肥の匂い。顔を真っ赤にして、みんなと「終わったねー!」と古吉野なのはなに帰る瞬間が、とても好きです。

 毎週、このように夏野菜の畑を追肥をして回っています。それぞれの畑でそれぞれの野菜を見て、「まだまだ頑張ってね!」と励ますような気持ちで向き合う時間は、やりがいを感じます。追肥を終えて数日後、みんなから、「追肥の効果が出て、野菜が元気になっていた」という声を聞いたり、自分自身も畑で野菜の変化を感じられると、本当に嬉しくなります。
  
  
 わたしは、やよいちゃんリーダーの『ドリーム12(トゥエルブ)』のみんなとナスを担当しています。今年は二枚あるナスの畑ですが、中畑のナスの収量がなかなか上がらないことに悩んでいました。株の元気がないわけではないけれど、水や栄養が不足しているのか、何が足りないのか……。

 収量が少ない原因は、はっきりとは分からないままでした。
 それまでは日に四十キログラムほどしか収穫ができていませんでしたが、この畑の大きさなら、百キロは穫れてほしい! チームのみんなと、「中畑のナスを百キロ穫るぞ!」という夢を掲げました。

■中畑のナスパニック

 ある日のこと。中畑のナスの収穫が一日空いた日、なかなか収穫メンバーが帰って来ません。
「これは……もしかして」

 そう、中畑のナス、初めてのナスパニックです! 朝食前の時間でも間に合わず、コンテナも足りなくなったり、収穫のヘルプに行くメンバーを作るほどのパニックでした。

 その日の収量は、二百キロでした。目標としていた百キロをはるかに上回ってしまって、それもわたしたちの予期しなかったタイミングで……。そんなナスパニックは、わたしたちをハラハラドキドキさせながらも、笑顔にしてくれます。
  
  
 またまた、ある日のこと。多人数でカチカチ大のナスの畑に向かったところ、もうすでに何人もの人が畑に居るのです。ナスの剪定をし、その後防除をする子。水やりをする子。そして、牛肥を追肥するわたしたち。

 畑には二十人近い人たちが居て、あらゆる手入れをしてもらっているナスが、なんとも贅沢に見えました。こうしてみんなの手がかけられてナスが育っているのだと実感すると、ナスと同じくらい、わたしも嬉しくなりました。

 今、ナス畑の前を通ると、実をいくつも着けて、紫色の花が咲いているのが見えます。夏と変わらない光景に、ホッとするのと同時に、気合が入ります。

「夏野菜だけれど、夏野菜で終わらせない」
 少しでも長く、最後までみんなと美味しい野菜を収穫し続けるのが、わたしたちの夢です。
 そんな夢を乗せて、今週も、追肥ツアーに出発します!