「同じレベルになりきる」 えつこ

10月23日

 昨日、とても嬉しいことがありました。夜、ゆりかちゃんが、『ライオンの行進』の連符をなめらかに吹くこつを、お手本も聴かせてくれて、教えてくれました。

 3連符が8つ繋がって、ひとつの塊になっています。私はそれを、「たたたたたた」と吹いていて、おかしくなってしまうことに悩んでいました。ゆりかちゃんは、「タアタ、タアタ」という発音で吹くことと、スライドを止めずに滑らかに動かすこと、唇も滑らかに動かすことを、教えてくれました。舌をつくのは、3連符のはじまりだけ。
 自分がやってみると、ゆりかちゃんのように連続的に吹くのは難しかったですが、ひとつひとつをきっちり吹こうとしていたときよりも、だいぶ、吹きやすくなりました。スライドも動かしやすくなりました。

 日中に、全員で、『スムース・クリミナル』の確認をしました。あゆちゃんの解説つきで、曲を聴くと、どこがその曲のおもしろいところなのかがよくわかり、よりその曲が輝いて聞こえました。

 それぞれのパートにどのような役割があるのか、あゆちゃんが教えてくれて、その時間がとても楽しかったです。おもしろかったのは、トランペットやフルートなどの高音楽器が高音を吹いている裏で、サックスが伸ばしているところについての、あゆちゃんのお話です。サックスの伸ばしの音を、上に向かって伸び上がるようなスケールの大きさで吹くことで、高音がよりひきたって、高音の可愛いメロディーを幼稚に聞こえさせない効果がある、というお話です。

 あゆちゃんの教えてくれることが、とてもおもしろくて楽しくて、他のパートに対して言っていることも、覚えたくて、全ての言葉をメモしていたら、楽譜がメモだらけになってしまいました。でも、あゆちゃんの言葉によってこの曲が好きな気持ちが深まりました。また、あゆちゃんの教えてくれることは、他の曲にも応用できると思って、少しでもたくさんのことを吸収したくて、かじりつくようにあゆちゃんの言葉を聞いてしまいました。全ての音に理由があるのだと、思いました。また、この音でどんな効果を出したいのかが明確になると、もっと楽器を吹くことが楽しくなります。

 もうひとつ印象に残ったのは、トロンボーンが高らかに華やかなメロディーを吹くところがあるのですが、そこは、ただ自分たちが前に出るだけじゃなくて、自分たちのメロディーをしっかりと吹くことで、次のトランペットのメロディーがより印象的になる、というお話です。自分たちがしっかりと吹くことで、トランペットのメロディーがより格好良く聞こえる、そう思うと、より気合いが入りました。本当に、どこまでも、音楽は利他心で成り立っているのだと、思いました。

 今日は、パート練習はなかったのですが、あゆちゃんの解説を聞いたら、『スムース・クリミナル』が吹きたくて吹きたくて仕方なくなりました。次の練習がとても楽しみです。

 

 夜は、あゆちゃんがアンサンブルを聴いてくれました。その時間もわくわくと心が躍る楽しい時間でした。『動物の謝肉祭』の、『化石』と『カンガルー』を聴いてもらいました。正直、『化石』が練習不足で、今の状態で聴いてもらうのが恥ずかしいと思ってしまったのですが、全てをさらけ出して直してもらえるのが、ありがたくて嬉しかったです。

 どうしても腕と口が間に合わなくて必死になって、音が割れてしまう場所があるのですが、あゆちゃんが、包容力のある丸い音で、と、教えてくれました。丸い音を吹こうとしてもなかなかできなくて、半泣きになってしまいましたが、何度も何度も合わせをすると、まだほんの少しだけど、音を丸くしようとする余裕が出てきました。そしたら、あゆちゃんが、「音を丸くしようとしているのがわかる」と言ってくれて、そのことも自信になりました。今の時点では、なかなか理想にはほど遠いけれど、必ず、吹けるようになりたいです。

 『カンガルー』の合わせのときに、あゆちゃんが話してくれたことが、とても印象に残りました。伸ばしの入るタイミングは、さとみちゃんを伺うのではなくて、さとみちゃんの、ここで入るというタイミングを読むこと。それが音楽のおもしろさであること。

 さとみちゃんのタイミングを読むのだけど、おもしろく、読む。攻めの気持ちだけど、読む。相手を理解すること。自分が下に出るのではなくて、さとみちゃんと同じレベルになりきる。
 この言葉が、とても印象に残りました。これは、アンサンブルのときだけじゃなくて、日常生活でも、そういう気持ちで過ごしたら、もっと人の気持ちを汲めるようになるのではと、うれしくなりました。

 また、さとみちゃんの吹こうとするプランを読むことで、もっとさとみちゃんを理解できるようになって、もっとさとみちゃんと近くなれるんだと、うれしくなりました。