みんなで稲を植えたと思ったらもう、あっという間に稲を刈る時期がやってきました。私は、なのはなに来て初めて田んぼを見たし、初めて田植えをしたし、今回初めて、コンバインで稲を刈っているところを見させていただきました。
はじめ、稲刈りチーム(稲刈り作業を主に進めていくメンバー)が発表されたとき、私の名前が呼ばれてびっくりしました。周りのみんなは、ベテランの人たちばかりで私はついていけるか不安だったし、稲刈りはまだやったことも見たこともなかったので想像もできませんでした。
そんな気持ちのなか、稲刈りがスタートしていきました。稲刈りの作業が始まって田んぼにつくと、自分はものすごく圧倒されました。田んぼには、稲がびっしり並び風になびいて揺れていて本当にきれいだったからです。私はこのとき初めて稲を近くで見たのですが、稲が何粒もお米をつけて立っていて、初めて見る光景になんだか感動しました。
自分が圧倒されて田んぼを眺めていると、あゆちゃんが来て稲の刈り方を教えてくれました。カマを手に持って奥から手前に回すように切るんだと伝えてくれて、実際に刈ってみるとサクサク切れてすごく気持ちが良かったです。
しばらく稲を刈っていると、回送車に載ったコンバインが運ばれてきました。このときまた、私は固まってしまいました。こんなに大きな機械を初めて見たし、この機械で稲を刈るなんてどうやって!? と思うほど想像がつかなかったからです。
私は、
「これで稲を刈る? 稲踏んじゃうよね? 刈った稲はどこ行くの?」
と、頭にはてなしか出てきませんでした。そんなことを考えていると、届いたコンバインに、あゆちゃんがさっそく乗って稲を刈りだしていきました。ガガガガッとコンバインに稲が吸い込まれて行って、コンバインがどんどん進んでいきます。
吸われた稲は籾だけ取られて後ろから藁になって出ていきます。その光景がすごすぎて、今まで見たこともない光景で、びっくりしました。
■補助役の難しさ、楽しさ
私はコンバインの補助の役割で、定期的にコンバインの横についている袋を見て、籾がたまってきたら袋を替えたり、稲を刈る前に雑草を取ったり、稲が倒れていたら吸い込めないので立て直したりすることが役割でした。
刈り始めると私は、あゆちゃんの乗るコンバインがすごすぎて格好良すぎて、しばらく見とれることしかできなかったし、袋が籾でいっぱいになるタイミングがわからなくて、定期的に袋の中を見ていっぱいになったら替える、ということをやっていました。しかしそうしていると、私はコンバインの横からずっと離れられなくて、タイミングを見て雑草を取りに行ったり、稲おこしすることが一切できませんでした。
さらに、籾でいっぱいになった袋はかなり重く、一人でそれを移動させて次の袋を取り付けるのが結構大変で時間がかかってしまいました。
幸い、私以外にも三人ほど補助の作業をしている人がいて、他の人たちが、稲おこしなどの作業をやってくれて、私はずっとあゆちゃんの乗るコンバインについて行きました。
ずっとひたすら袋を替えていきながら、あゆちゃんがコンバインに乗っている姿を見ていて、あゆちゃんは本当にかっこいいなと思いました。何度もやっているうちに袋替えの作業はだんだん慣れてきて、戸惑わずに動けるようになりました。そうすると、作業がものすごく楽しく感じられて、もっと動けるようになりたいと思いました。
あっという間にその日の稲刈りは終わって、作業の終わりにあゆちゃんに、「覚えが早くてすぐ動けるようになってて本当にすごい」とほめてもらえてすごくうれしかったのと同時に、達成感が湧きあがりました。
■動く姿に倣って
機械刈り第二回目は、私とあゆちゃんとさくらちゃんで行ないました。さくらちゃんと私があゆちゃんの補助で、あゆちゃんから、
「さくらちゃんは、時間を読んでその場に合った丁寧さを決めるのが上手だから、ゆうなちゃんもさくらちゃんの真似をしてみるといいよ」
と言われて、さくらちゃんに教えてもらいながら、さくらちゃんと同じ動きをしていきました。
さくらちゃんは本当に動きが速くて、さくらちゃんの隣で雑草を取っていたと思ってパッと前を見ると、すごく奥まで進んでいて追いかけるのに精一杯でした。しかし、さくらちゃんについて行こうと動いていると、自然と自分の動きも速くなっていって自分でも驚くほど、てきぱき動くことができました。その時の気持ちよさは今でも忘れられないほどで、うまく動けるとこんなにうれしいんだなと思いました。
機械刈り第三回目は、あゆちゃんと私と、まさかのりゅうさんでした。すごくにぎやかなメンバーで稲刈りがスタートしたのですが、りゅうさんは補助の作業をまだしたことがなかったので、私がしっかりしないと! という気持ちがすごく強くなって一生懸命、全力で動きました。
袋がえのタイミングを見計らって、さくらちゃんに教えてもらった動き方で雑草を抜いてみたり、稲おこしをしてみたり、視野を広く移動範囲を広くして行動しました。すると、なんだかものすごく楽しくなって、自分で考えて行動し周りをよく見て何を優先して行動するべきか判断できるようになっていきました。
重い米袋は、りゅうさんがひょいひょいトラックに積んでいってくれて、その姿がたくましくて格好良かったし、作業をスムーズに進めることができました。作業の途中であゆちゃんが、「藁を燃やすから熊手を持ってきて」とりゅうさんに頼んでいました。
りゅうさんが持ってきたのは、熊手よりはるかに小さい忍者熊手で、「忍者熊手で藁を集めるつもりなの!」とあゆちゃんに突っ込まれていた、りゅうさんがものすごくおもしろくて、三人で大爆笑しました。その時間が二人の夫婦の優しい暖かい空気に囲まれて本当に幸せでした。さらに、作業の終わりにりゅうさんが、「ゆうなちゃんがプロになっていて、すごかった」と言ってくれたり、あゆちゃんから、「周りをよく見れてて、もう一人前だね!」とたくさん褒めてもらえて、頑張った甲斐があって本当にうれしかったです。
■あゆちゃんの存在
私は今回、稲刈りチームの一員として作業をさせてもらって、ベテランメンバーばかりのなか、自分がメンバーに選ばれてすごくプレッシャーを感じていました。
しかしその分、頑張ろうという気持ちになれたし、実際とても成長することができました。初めはまったく分からなかった稲刈りも、やっていくうえで自分なりにやり方を考えたり、教えてもらったことをアウトプットしていくことで上達することができました。

また、あゆちゃんと作業させてもらい、あゆちゃんの優しさをたくさん感じて、すごく心が癒されたし、どこか、ものすごく安心した気持ちになりました。
あゆちゃんにたくさんほめてもらって、「今の自分でいいんだ」と自分の存在を認めてもらったような、すごく自信につながったような、そんな気がして本当にうれしかったです。いつもあゆちゃんといると、私は元気をもらえて、自信がついて、私はものすごく成長することができます。
そんな、人にたくさんの良い影響を与えることのできる、あゆちゃんの存在にものすごくあこがれるし、そんな人になりたい、と心から思います。今回の機械刈りで、たくさんの発見とたくさんの成長を味わうことができて、自分はもっと成長していきたいと強く思います。
あゆちゃんとの機械刈りは、これからもずっと心に残る、大切な経験です。この大切な時間を、次の自分へと生かしていけたらいいなぁ。