種籾の播種からはじまり、苗の水やり、田植え、除草剤まき、日々の田んぼの水管理や草刈りを経て、九月に入ると石生の田んぼはどこも黄金色に輝く風景に変わっていました。
石生田んぼの景色が大好きだなと感じます。高台にあるゆず畑から見える石生田んぼの景色。道中では田んぼの移り変わりを喜び話せること。田んぼで地域の方々が声をかけてくださること。田んぼの風景、田んぼとの時間が、故郷だと感じます。
コンバインの『ピ・ピ・ピ』と動く音を聴くようになりました。どこかで稲刈りが始まったんだなと感じるこの音、もうすぐ私たちも稲刈りが始まる、とわくわくしてくる音です。
「どこかで稲刈りしているね」と話していると、この季節が来たんだなと感じました。
今年、なのはなファミリーでは四町六反、枚数にして二十三枚の田んぼで稲作をしました。
稲刈り一日目は、お父さんが三枚の田んぼを刈ってくれました。
この日は、永禮さんも来て下さり石生西の田んぼの稲刈りチームと、お父さんチームに分かれて稲刈りが進みました。
回送車にコンバインのモンローちゃんを載せて、永禮さんとお父さんが出発しました。今季はじめて刈る田んぼは、今年からなのはなでの耕作が始まった田んぼ三枚で、小屋の田んぼと呼んでいました。
大きな回送車で大通りから細い道に曲がり田んぼの前に到着、そこからモンローちゃんを降ろすときも、クローラーがブリッジからずれていないかを確認したり、回送車を傾けたときにコンバインが落ちないようにチェーンを外すタイミングなど、安全にモンローちゃんを運べるように永禮さんが見て下さり心強く、私もその工程を学ばせていただけたことがありがたかったです。モンローちゃんが回送車から降りたとき安心し、そのあと田んぼに入っていくモンローちゃんを見て嬉しくなりました。
この日に稲刈りを予定していた三枚の稲刈りが始まると、モンローちゃんの勢いに驚きました。
お父さんの乗る、四条刈りのモンローちゃんは田んぼの反対側に行ったかと思うと、あっという間に戻って来ました。
ずっと気持ちよく稲を刈り進める音が響いていて、お父さんのターンも速くて、田んぼの稲穂がどんどんなくなっていきました。お父さんがモンローちゃんで四隅を刈るとき、少しずつバックしながら稲を刈り、ターンできる場所をつくり、最後きれいにコンバインが直線に入れるようにしている姿と、その速さがかっこよかったです。稲も大事にするし、モンローちゃんにもやさしくて、田んぼもコンバインの動きもすべてがきれいでした。お父さんが稲刈りをする姿は、ひとつのショーだと感じました。
小屋田んぼ三枚は、合わせて約七反の田んぼでした。十時に始めて、お父さんが三枚目の田んぼを刈り終えたとき、時計を見ると十二時半でした。お昼ご飯前に余裕を持って終わって、(あれっ)と拍子抜けしてしまうくらい速くて驚いたし、嬉しかったです。
お父さんが刈っている間、まえちゃんと、軽トラ二台体制で、コンテナがいっぱいになるとライスセンターに運んでいました。ライスセンターに持って行くと、その速さに、「もう持ってきたんか、速いな」と驚かれました。とても気持ちよく終わった一日目でした。
■手刈りに向けて
九月十四日にみんなで、光田んぼ上のもち米を手刈りすることになり、準備を進めました。
手刈りしたもち米は、すぐとなりの光田んぼ下にはぜ干しをするため、事前にはぜの組み立てを行ないました。手刈りの前に、あゆちゃんが光田んぼ下をコンバインで刈り進めてくれました。まえちゃんとはぜに使う木を準備して田んぼに運び、はぜを立てていきました。田んぼの中にまっすぐに並んだはぜがきれいでした。
よしみちゃんとペアになってかけやでなる足を打ち込んでいると、「カン・カン」と気持ちのよい音が響いていて、よしみちゃんと顔を見合わせて笑っていました。

光田んぼ上での手刈りの前に、お父さんが手刈りに向けて話をしてくれて、みんなで腰に手を当て、拳を突き上げ「オー」と気持ちをひとつにした時間が嬉しかったです。この日はりゅうさんのお友達のご家族もきてくださっていてできたことが嬉しかったです。
稲を刈るメンバーの力強さを感じました。ずっと鎌を持って刈り進める稲刈りメンバーがかっこうよかったです。束ねた稲束をバケツリレーで運んではぜにかけていき、いつも明るい空気と最後まで力を合わせて向かった時間が温かく嬉しかったです。
機械刈りを進める中ではアクシデントもありました。機械の不調により、予定していたコンバインとは違うコンバインを使い進めないといけない場面もあり、あゆちゃんやまえちゃんが、予定と、籾すりの都合、天気などを見ながら、どう進めていくか、いろいろなことを考慮して、都度、計画を立て直してくれていました。そうして考えることの重要さ、視野を広げ、先を読み、心を遣って、一番よい方法を考え、見つけていくことの大切さを感じました。
それでも稲刈りは進みました。途中お休みを挟みながら、お父さんチーム、永禮さんチーム、あゆちゃんチームで繋げて進んでいました。そのあいだも、同じコンバインでもち米、紫黒米、ミルキークイーンのうるち米を刈るため、さくらちゃんが、コンバインの掃除も進めてくれていました。
■三十キロ、抱えて
稲刈りをする田んぼが、残り十枚ほどというとき、私は永禮さんと諏訪四田んぼ、滝川田んぼに行きました。

九月に入っても三十五度を超える日が続き、田んぼにいても汗が流れました。そのなか、永禮さんがずっと稲を刈って下さって、回送車でのコンバインの積み降ろしも進めて下さいました。
永禮さんが来て下さることがありがたく、一日の最後にいつも笑顔で帰っていかれる永禮さんの姿が、温かくて嬉しかったです。
この日はお父さんチームのモンローちゃんの復活の日でもあり、お父さんと稲刈りをしていたメンバーから順調に進んだことを教えてもらい、嬉しかったです。
最終日に刈ったのは諏訪八田んぼ、お父さんチームでした。コンバインも爽快に走っていて、とても嬉しい時間でした。モンローちゃんの前でお父さんとお母さんが並んでいる姿に、とても温かい気持ちになりました。
館内放送で「お米が届きました」という声。稲刈りの季節恒例の嬉しい放送です。
みんなでお米の収納場所へ走っていって鉄筋校舎に列をつくり、ライスセンターから届いた三十キロの米袋を、ひとりずつ受け取って運ぶ笑顔の行列。はじめて米袋を運ぶメンバーも、「持てた!」との喜びの声、みんなでそのことを喜び合う時間があたたかかったです。これまた、ライスセンターの方も、米袋を取りに来て戻ってくる時間に、
「速いな、もう降ろしてきたんか」
と驚きの声。嬉しさと、楽しさと、やる気と喜びの詰まったお米運び、みんなでひとつになると大きな力になることを感じました。