【10月号①】「私たちの手で作る秋の風景 ―― 光田んぼ上の手刈りの日 ――」 りな

4町6反、枚数にして23枚の田んぼの稲刈りが進む中、みんなで光田んぼ上のもち米を手刈りし、はぜ干しをしました!

 

 真夏の猛暑が少しずつ穏やかになってくる頃、石生田んぼの景色も、一面、黄金色に染まります。ぷっくりと膨らんだ稲の実がたわわに実り、重そうに垂れ下がっている光景を見ると、とても満たされた気持ちになります。田んぼの傍を通るだけで、香ばしくて、少し甘い香りがして、空には赤とんぼがいっぱい飛んでいて、この季節がやってきたのか、と嬉しくなります。
 

全員で気合の声をあげ、稲刈りの始まりです!

   
 九月十四日。家族全員で、手刈りを行ないました。場所は光田んぼ上、もち米が植わっている田んぼです。手刈りの日には、相川さんや、りゅうさんのお友達のたくろうさん、しゅんき君、たくさんのゲストの方が来てくださっていて、一緒に一大イベントの手刈りができたことがとても嬉しかったです。

 光田んぼ下は、もうすでに機械刈りされていて、真っ新になった田んぼに、びしっとはぜが立てられていました。上から見ても、なんの狂いもないぐらい整然としていて、これは何があっても倒れなさそうだ、と思えるほどでした。手刈りの後は、はぜ干しまでみんなと行います。とてもワクワクした気持ちになりました。
  

刈り取った稲束は、通り道をつくるため規則的に並べていきま す

 

■一人ひとりの力

 私は、手刈りをするのは初めてではないけれど、みんなの中には、手刈りが初めて、という子も何人もいました。お父さん、あゆちゃんから刈り方を真剣に聞いている姿を見ながら、手刈りを一緒に経験する仲間がたくさん増えることが、とても心強くて嬉しいなと思いました。

 刈る人、刈った稲を束ねて縛る人、で分かれて、みんなと畦に一直線に並んで、進めました。私は、縛る役割をさせてもらいました。
  
  

 八株を束にして、稲わらを縄のように使って、根元のほうを縛ります。覚えているだろうか、と思ったけれど、手が覚えていて、安心しました。縛るときの一番のポイントは、できる限りきつく縛ること。少しでもゆるいと、はぜに干すときにバラバラになってしまったり、干した後、水分が飛んで茎が細くなるので、稲が抜け落ちてしまいます。親指に渾身の力を入れて、縛っていきました。

 たけちゃんやちーちが、紐として使う稲わらを運んでくれたり、お母さんが、お茶を配ってくださったり、とても温かい空気でした。最初は、向こう側の畦が見えなかったけれど、刈り部隊の人が地道に、でも着々と刈りを進めてくれて、気が付けば、あっという間に田んぼの半分の面積が刈り終えられていました。

   
  
 一人では到底できなくて、本当にみんなと協力しないとできないことだなあと思いました。周りを見渡すと、一人として欠けることなく、自分の役割に夢中になって進めていて、その空気がとても清々しくて気持ちがいいし、自分も頑張ろう、とたくさんパワーが湧きました。

 縛るのも、すればするだけ慣れてきて、アクションを少なくして、きつく結べるようになりました。刈る人も、一定のテンポでどんどん手際よく、スムーズに進んでいるように感じました。全員が歯車のように噛み合って、一人ひとりの力が欠かせないんだなあと思いました。後ろを振り返ると、縛った稲束の山がいくつも並んでいて、とても幸せな気持ちになりました。
  
  

 縛れる人全員で、最後まで協力して、最後の一束まで縛り終えられたとき、とても達成感を感じました。でも、これで終わりではありません。次は、刈っていた人も、縛っていた人も、みんなではぜ干しに入ります。

■はぜ干しの風景

 はぜに稲束をかけてくれる、あゆちゃんとなるちゃんの手へ、みんなで二列になって、バケツリレーで運びます。

「はい!」「はい!」とみんなのかけ声がたくさん聞こえます。次から次へと稲束を渡していくのが、チャーリーとチョコレート工場のウンパルンパになったようでした。

 骨組みだけだったはぜが、稲が掛けられて、景色がどんどん変化していきました。稲が掛かったはぜは、神様が宿っているような神聖さがありました。光田んぼいっぱいに立てられていたはぜも、稲の束で全て埋め尽くされて、それでもまだまだ稲束があり、本当にたくさん収穫できたのだ、と実感しました。こんなにたくさんの稲束を運べることなんて、当たり前じゃなくて、すごく恵まれていて、幸せなことだなあと思いました。
  
  

 はぜで干すと、緑色だった茎が、どんどん茶色になってきて、色が変化していきます。その変化の経過も、すぐそばで感じられることがとても嬉しいなと思いました。

 手刈りはお米作りの中の一部だけだけれど、収穫までに種もみの塩水選から始まって、本当にたくさんの手入れがあって、収穫に繋がっているのだなあと思うと、一粒一粒のお米が、大切に思うし、毎日当たり前のようにお米を食べられることも、とてもありがたいことなのだと感じます。
  
  

 みんなといっぱい汗をかいて、作業しないと感じられないことだなあと思って、手刈りの体験が、私達にとって欠かせないことなのだと思いました。

 今年も、たくさんの家族と一緒に手刈りをできたことが嬉しかったです。