【9月号⑭】「河原地区の花火を見た夜」 うたな

 花火、なのはなファミリー、
        その美しさよ

 いつも通りに過ごしていた夕食後の時間。少し驚くほどの破裂音が。
「花火だあ」

 古吉野をみんなで飛び出し、絶景スポットだという場所で、河原地区の花火を見ました。
 カラフルな花火や、びっくりするほど大きな花火。シャワーのような珍しい花火に、連続して打ち上げられる花火など。

 一つひとつが打ちあがるたびに、私たちは大きく歓声をあげました。日中に雨が降って湿度が高く、蒸し暑い日だったけど、そんなことも忘れるほど夢中になれた時間でした。

  

  
 花火が終わり、みんなで声をそろえて「ありがとうございました!」と叫ぶと、遠くから、「また来年!」との返事が。最高の時間と空間をプレゼントしてくれた見知らぬだれかから反応が返ってきたことに感動して、さらに笑顔が増えました。

 もちろん、久しぶりに美しい花火を堪能したこともうれしかったけど、誰と見るか、ということはとても重要だと感じました。「きれいだね」とつぶやくみんなの横顔もきれいでした。

「来年もまた、みんなで見たいな」
「大好きなみんなと見られてうれしい」
 という言葉が自然に口から出る、みんなの心が美しいなと感じました。

 なのはなで、新しい生活が始まって、まだ日が浅い私でした。不安やキツさ、苦しさも感じています。でも、花火を見ることで心が癒されたように感じました。

 優しくて、思いやりがあって、でも同じような苦しさを経験してきたみんなと、同じ花火を見ることは、重要な意味をもつと考えました。きっと将来、なのはなでの生活が恋しくなったり、つらいことがあったりしても、花火を見たら河原地区の花火を見たことを思い出すと思います。そして、なのはなでの生活やみんなの温かさを思い起こし、前へ進む糧にすることができるだろうなと思います。