「出会うべくして出会った」 みつき

9月5日

●出会うべくして出会った

 夜、秋風と虫たちの鳴き声が耳に心地よいです。

 昨日のハウスミーティングの時間がすごく嬉しくて、書きとめたかったので急いでパソコンを開きました。

 ある子がしてくれた質問が、自分にとっての大きな答えにもなりました。
「なのはなの外で摂食障害の人を見かけたとき、どうすることもできない自分がいて、お父さんはどう感じているのか」
 わたしも、なのはなに来て自分が症状を手放して楽になったとき、同じようなことを考えたことが何度かあります。もしなのはなから出て、その場所で誰か摂食障害の人が居たとしたら、自分は何としてでも声をかけてしまいそうだし、どうにかして力になりたいと思うだろう……そう感じていました。

 お父さんは、マザー・テレサのお話を例にして、答えてくださいました。
「マザー・テレサは苦しんでいる子どもたちを助けたけれど、遠くの地域に居る子どもたち、この世界に居る全ての子どもたちを助けたい、とは思ってはいなかった」
「自分のこの目の前に居る子どもたちは、みんな助けよう。それだけだったんじゃないか」
 というお話でした。

 お父さんも同じだと話してくださいました。東京に行っても、どこへ行っても摂食障害の人を見かけるけれど、お父さんはその全員を助けたいとは思っていない。
 なぜならそれは、本当に出会って助けるべき人は、これから自分の目の前に現れるはずだから。なのはなに来る人は、誰もがなのはなに来るべくして来た人たちだ、と話してくださいました。

 わたしは、なのはなに来てこのように回復して新しい生き方をしていく道があった。けれど、それはなのはなに来るまでの苦しさがあったからこその道です。
 なのはなに来ていなくて今も症状に苦しんでいる人が、わたしは可哀想に思ってしまったり、その人の心情を思うと、胸がぎゅうっとちぎれそうに感じていたけれど、それは違うのだと感じました。

 今もその人はその人なりに一生懸命に生きていて、それもその人の人生なのだ、ということを教えて頂いて、なんだか心がほどかれたような気持ちになりました。

 それならば、今は苦しい思いをしている人たちがいるかもしれないけれど、いつか出会うそのときを、待っていようと思えました。そのときがいつ来ても大丈夫なように、いつ出会ってもその人の力になれるように、自分を磨き続けたいと思えました。

 わたしの人生にはなのはなが必要だったのだと、本当になのはなに来られて良かった、と感じます。出会うべくして出会った、なのはなのお父さんお母さんやみんなのことが本当に大好きだなあと感じました。
 これから見ていく未来や出会っていく人たちのことがきらきらして見えてきました。
 すごく嬉しいお話でした。

 自分の質問にも答えていただいて、しょうもないけれど、地味にずっと悩んでいたことを解決していただけて、嬉しかったです。
「1番好きな○○は何?と聞かれると困ってしまう。1番を選べないし、答えられない」
 という質問の答えは、「へっ?」とぽかんとしてしまうくらい、目から鱗のようでした。けれど次の瞬間には「なるほど!」という納得の気持ちが洪水のように押し寄せてきて、すごくすごくすっきりしました。

 自分が「○○が好きなみつきちゃん」とひとつに決めつけられてしまうことが怖かったから1番に決められなかったのだと言うことが分かったし、「今日は、○○が好き」と言えばいいと分かったら、一気に楽になりました。
 今日は、お昼に食べた夏野菜の味噌マヨグリルが1番好きな食べ物です。好きなものをみんなに話していくのが、楽しみになってきました!

●ティーチャーズ方式

 午後、交番先の小豆の草取りを進めました。
 今日は少し人数が少なかったのと、草取りの作業が連日続いているので、気分を変えてやってみよう! と思いました。

 お父さんが考えてくださった『ティーチャーズ方式』でやってみました。先生役と生徒役でペアを作ってもらって、その2人で草取りを進めるという方法です。
 先生役は生徒役に草取りを教えたり、どのように畝に入るか伝える。生徒役は先生役が伝えたことを「わかりました!」と聞く。
「先生役と生徒役で、2人で励まし合って1畝をやってみよう!」
 とメンバーのみんなに伝えました。

 先生役になったすにたちゃんが嬉しそうな笑顔で「はい!」と言ってくれて、生徒役になったまりかちゃんが、「やった! みつきちゃんが先生だ!」と喜んでくれて、作業が始まる前から明るい空気があって、すごく嬉しかったです。

 実際にやってみて、それぞれ先生役の子が生徒役の子に優しく明るく、声をかけてくれているのが聞こえていました。うたなちゃんがかのんちゃんの身体を気にかけながら優しく声をかけているのも、すにたちゃんとみゆちゃんが、「次の畝入ります! ハッピー!」と声を揃えて言ってくれているのも、嬉しかったです。

 まりかちゃんは、「カマを初めて使ってみる」と話してくれたり、
「まーちゃんどんな草でも抜けるよ! ひとりで全部抜けちゃうくらい楽しい!」
 と話して、ずっと大きな草でも何でも抜き続けてくれました。

 それぞれの子にとってどこか新鮮で楽しい時間になっていたようで、良かったなあと感じました。
お母さんが昨日話してくださったように、どこまでも段取りを立てて考えて、みんなが楽しく気持ち良く作業ができるように、考えていきたいです。

 今もまだ未熟で出来ないところばかりのわたしで、失敗も成功もあるけれど、何度もチャレンジさせてもらえることが本当にありがたいです。

 今、毎日がすごくおもしろくて楽しいです。明日も出来ることを頑張ります。