「器量が試されているつもりで」 ななほ

8月30日

 朝食後の掃除の時、まりかちゃんが、雑巾を絞る私の背中に乗って雑巾を絞らせないようにしたため、少し強い口調で、
「私は今、掃除をしたいと思っている。見ているのもできずに邪魔をするようだったら、私はとても悲しいよ」
 と伝えました。

 そのあと、スッとまりかちゃんは背中から離れて、1人でしばらくの間、6年生教室のソファでぐずぐずモードに入っていたのですが、あえて、しばらくの間、まりかちゃんが1人で考える時間を作りました。

 そして10分くらいした後、
「私は掃除をしたいと思っているし、まりかちゃんも掃除を楽しんでできる子だと思う。もし、掃除をしたくない気分なら、見ているだけでいいから、同じ空間にいてお姉ちゃんたちがどんな風に掃除をしているか、どんな気持ちで掃除に向かっているか、その姿を見ていてほしい」
 と伝えて掃除に戻ると、いつの間にか、まりかちゃんが遠くの方から床雑巾をする私たちの姿を見ていました。

 その後、私のすぐ側まできたので、まりかちゃんが何も罪悪感や恥ずかしさも感じないように、自然に、
「床雑巾をするときは、膝をつけずに前から後ろに進んでいきます。そして、床雑巾の向きは板目に沿ってスライドさせます」
 と伝えると、イヤイヤながらも、しっかりと話を聞いてくれている印象を受けました。

 結果に朝食後は、まりかちゃん自身は掃除をせずに見ているだけでした。
 けれど、昼食後の掃除の時、私が床雑巾とバケツを用意すると、「私の分の雑巾は用意しないで」と言うので、「じゃあ、自分で用意してくれる? どの雑巾がいい?」と聞くと、ちょっぴり子どもモードになって、「ま~ちゃんは、これ!」と選んでくれました。

 それからは、一通り、正しい雑巾がけのやり方を伝えて、
「じゃあ、ここから左に向かって私と出会うまでお願いします」
 と伝えたのですが、他の所に興味が移り、雑巾を手にゆらゆらしていました。

 けれど、今度は、
「じゃあ、ここの旗からここの旗まで、まりかちゃんの担当でお願いします」
 と伝えると、最初は「やらない」と言っていたのですが、気が付いたら雑巾がけをしてくれていました。

 午前中、お父さんが話してくださったように私自身がしっかりと、「ここまではやる。このくらいはできる」と目標やプランを持っていたらそれが、まりかちゃんにも伝わるのだと思うし、私自身が絶対にひかない、子どものペースに引っ張られないという意志を強く持っていたら、子どもも大人についてくるのだと思いました。

 それからは嫁入りのほうのヘルプに行ったのですが、午前中は見ているだけだったようですが、体育館についてすぐ、
「お願いします。私たちはどこに入ればいいですか?」
 とリーダーの子に聞き、役割をもらったら、まりかちゃんも自然に嫁入りを始めました。

 あえて、私はまりかちゃんとは違うブースで嫁入りをしていたのですが、そうすると自然にまりかちゃんもピシっとして、みんなの中にいてくれたし、途中「いや、みているだけ」と本人は行っていましたが、そこにゆりちゃんがいたため、
「シール貼りだったら、ゆりちゃんでも上手にしているよ。まりかちゃんもできるって、信じてるよ」
 と言えば、何だかんだと集中モードに入って、シール貼りをしてくれました。

 今日は、まりかちゃんと一緒に掃除や作業の楽しさを味わえて嬉しかったし、まりかちゃん自身も昨日とは遥かに、掃除や作業に向かうスタンスが変わっているのを感じました。

 ここ4日ほど、まりかちゃんに言葉でしっかりと伝えたり、良いことや良い、悪いことは悪いとはっきり伝えています。

 少し、強く言い過ぎたかな、ストレートすぎたかなと思うことも多いのですが、まりかちゃんがなのはなに来てくれた日から今に至るまで、まりかちゃんと信頼関係が築けているので、まりかちゃん自身もいくら私が注意しても、それを受け止めてくれていると思うし、私が注意したからと言って、私を避けるだとか、嫌いになるだとかいうことはなく、反対に、私の気持ちがちゃんと伝わっているし、まりかちゃん自身も真正面から向き合ってくれる人がいるということに、大なり小なり、安心しているのではないかと思います。

 きっと、まりかちゃんも本当はできると分かっているし、本当は掃除や畑も楽しめると分かっているから、私の話も例え、今は分からない、すぐに受け入れられない、行動にうつせないとして確実に届いていて、まりかちゃん自身も理解してくれているのを感じて、本当の姉妹のようにこれからもまりかちゃんとお互いに真っすぐな関係を築いていきたいです。

 また、実際にまりかちゃんと関わる中で私自身が学ばせてもらうことが多いし、いつかなのはなファミリーで保育園とフリースクールと児童養護施設を合わせたような子どもの居場所を作る時に、今、まりかちゃんをはじめ、たけちゃんやたいちゃん、ゆりちゃんにおとちゃんなど、たくさんの子どもと関わる機会がすべて、活かされていくし、なのはなで色々な年齢の人と過ごせること、そしてこれから色々な子どもと出会っていけることで、私自身がたくさん学ばせてもらい、勉強させてもらい、成長させてもらえるのを感じ、そのことがとてもありがたいです。

 今日は、ももかちゃんが、午前中はまりかちゃんとオクラの畑に行ってくれて、まりかちゃんもアスファルトで見学できたようですが、明日はももかちゃんが学校で日中いないと思うので、私の器量が試されているつもりで、明日の午前中の作業もいいようにみんなの中で楽しめたらいいなと思うし、今日の掃除での関わりが明日にどうつながるか、今日の私の関わりや会話が明日にどう影響するか、少し、実験しているような気分にもなり、やっぱり、子どもと一緒にいることは面白いなと思います(面白いだけじゃなく、ちゃんと責任を持って向かいます)。