
8月24日のなのはな
空にも届くように感じるヒノキの森の足元。落ち葉や時間が積み重なった、柔らかくて良い匂いのする土を踏みしめて、山道へ。
なのはなファミリーの始まりの場所である山小屋と、その山小屋を抱く山のなかで、明日は、手作りの縁日を開きます。
山へ来ると、盛男おじいちゃんの深い優しさをたたえた笑顔が思い浮かびます。
やぐらを建て、提灯や竹で飾った入口をくぐり、山道をのぼっていくと、まずはじめに見えるのは、射的の出店。続いて、ヨーヨー釣り、金魚すくい、輪投げ、吹き矢のブース。輪投げのとなりには、卒業生のまちこちゃん夫婦と子どものようたくんが開いてくれる、綿菓子コーナーも。
今回の縁日のテーマは「虫」です。今冬のウィンターコンサートでも取り上げるテーマにつながるよう、それぞれの出店で、虫をモチーフにした飾りや、射的の的などを作りました。
今まで、古吉野なのはなの机のうえで、みんなで絵筆を懸命に動かして描いた、カラフルな昆虫たちが、森のなかでいっそう生き生きと輝きました。
準備のはじめに描いたイメージ画を手に吹き矢の的を配置したり、風が吹いても倒れないように射的の的に小石を仕込んだり。現地の環境に合わせて設営を進めます。なかなか忙しい準備期間ではあったけれど、それぞれのチームが楽しんで作り上げた出店のセッティングが進むと、安心した、と笑うリーダーの声も聞こえます。
初夏のキャンプで、秘密基地づくりと称してつくった竹のスタードームも、出店の間、間をうめるように点在しています。今回は、それらの構造物に飾りをつけて、椅子や照明を設置し、待合室に仕立てました。
ところで、心配なのは天気です。小雨ではありますが、8月25日の午後に雨予報が出ているため、設置の段取りがわかったら、紙製の工作物などはしまっておいたり、照明器具をビニールで覆っておいたりし、対策をしました。しかし、例え雨が降ったとしても、そんなハプニングも含めて楽しもうね、というお母さんの言葉に、私たちも楽観的な気持ちでうなずきました。
少し道を下った山小屋の前のスペースには、食べ物の屋台がならびます。お父さんや、まさはるさん、りゅうさん、あゆちゃん、そして台所メンバーが仕込みをしてきた、美味しい食べ物やドリンクが目白押し。まだメニューの全貌は明かされていませんが、みんな、とっても楽しみにしています。

そして、山小屋から坂道を降りてゆくと立っている、森盛庵と芳子庵。なのはなのお父さん、お母さんと、今はもう卒業した先輩たちが建てた建物です。実は今回、森盛庵は「はっぴーはうす」という名のお化け屋敷に変身しているのです。一切の光が入らないよう、暗幕などで覆われた窓や戸口。なにやら怪しい音や悲鳴も聞こえる……。
この日は夕方5時より、須原さんとお化け屋敷研究会の面々によるゲネプロが行なわれました。それを体験した、第1号のお客様、お父さんとお母さんからの「十分に怖い」というお墨付きをもらった、はっぴーはうす。古吉野へ帰ってきてからの夕食では、みんなの席に招待券が配られており、屋敷の案内人から届いた手紙をお父さんが読んでくれたりと、事前の盛り上げも入念です。明日は、みんなを“ハッピー”にできるよう、演者たちは、全力でお化け屋敷を動かします。
過程がすべて。本番は、おまけのようなもの。
コンサートをつくるときも、いつも教えてもらうことです。縁日を作る過程を通して、みんなで成長したり、課題を感じたり、作り上げる喜びや楽しさを知りながら、準備をしてきました。
25日は、早朝に野菜と桃の収穫をし、しょうやくを終えたら、山小屋へ移動して最終的な準備をします。そして、午後4時40分に開会式を行ないます(開会式へ向けて、秘密のパフォーマンスを練習しているチームもあるようです!)。
今のメンバーで開く、たった一夜の縁日が、暖かく楽しいものになりますように。