吉畑手前ハウスで栽培しているバナナの花が、初めて咲きました!
バナナを植え付けてからというもの、毎日のようにバナナのハウスへ見回りに行き、夏場はエンジンポンプで週に二度、五百~千リットルの水をやり、冬場はバナナハウスを暖かく保ちました。
「なのはなファミリーで、バナナを育てたい」
「一人一本、なのはなで育ったバナナをみんなと食べたい」
バナナハウスに足を運ぶたびに、そんな小さな夢が膨らんでいきました。
しかし、ここはパプアニューギニアではなく日本。それも、日本は日本でも沖縄や島でもなく、岡山県です。
その為、日本のバナナ栽培にとって最大の壁である、寒さとの戦いがありました。
それは、昨年の一月のこと。かつてない大雪で、なのはなファミリーの九棟あるビニールハウスが潰れてしまい、その中にバナナハウスがある吉畑手前ハウスもありました。
なのはなファミリーのバナナハウスは、須原さんを中心にハウスinハウスinハウスと三重構造になっていますが、それがつぶれてしまったこともあり、一度は枯れて振出しに戻ったバナナ。
その際は、思い切ってバナナの株を地際で切ったのですが、春になってまたバナナは再生したのです。
そして迎えた、二度目の冬。今回は、バナナハウスの地面に埋めている電熱ケーブルを三十五度設定にし、バナナハウスの地面を土ともみ殻のミルフィーユ構造にしました。
また、何よりも今年の冬越しが成功した一番の理由は、遅霜による被害がなかったことです。もちろん、バナナの生育適温は二十~三十度なので、冬はどれだけ頑張ってもハウスの中は五度を下回ってしまうのですが、それでも農電ケーブルのお陰で根が守られたから、無事にバナナは冬を越すことができたと感じます。
■バナナハート
花が咲いたバナナ。いったいどれが花だろう?
「赤紫色の巨大な膨らみ!」
そう言いたくなりますが、実は黄緑色の小さなバナナの実の先端にある小さな小さな白い花がバナナの花です。
それはユリの花のように白く、可愛らしいのですが、この花が散ったら、もうバナナの実はどんどん膨らんでいくのかと思うと期待が高まります。
ちなみに、先ほど述べた赤紫色の部分は別名「バナナハート」とも呼ばれ、生産地の人々はこのバナナハートを野菜としても利用するようです。
エキゾチックで、少し奇妙なバナナの花。バナナの花を包んでいる苞が一枚ずつ、外側に捲れていくと、中からバナナが現れていきます。
私の予測では、この一本のバナナから約八十本の実が収穫できるのではないかと思っています。花が開花してから、収穫までの目安は七十~百日頃。
あと三か月後、ついに、なのはなファミリーでバナナを収穫できる日が来るのか。
なのはなファミリーのみんなと、自家製のバナナを食べられる日が来るのか。
それは、あと三か月間の手入れと願いにかかっています。
「どうか、なのはな産のバナナをみんなと食べられますように」
そんな思いを胸に、明日もバナナハウスへ行きたいです。