【8月号①】「伝統をつなぐ一人として  ―― 勝間田天神祭 道中流し ――」  よしえ  

 

創始から200年の歴史を持つ、出雲街道勝間田宿での天神祭(天神涼)。勝央音頭保存会の浴衣を着て、誇りを感じながら踊りました。

 

 なのはなファミリーの、夏のイベントの幕開けともいえる「勝間田天神祭」。勝央音頭保存会の一員として、浴衣を着て、勝央音頭を踊ることのできた時間が、とても楽しく、嬉しかったです。
 勝間田天神祭は、七月二十三日から二十五日にかけて行われる、勝央町勝間田神社のお祭りです。私たちは、二日目の二十四日に、旧出雲街道勝間田宿の街道を踊りながら練り歩く「道中流し」に出演しました。

  

  
 道中流しでは、『勝央音頭』『サンサン勝央』『勝央ヤットサ節』を踊ります。この日に向けて、ゆりかちゃんや、なるちゃんが踊りの練習を進めてくれました。初めて踊る人にもわかりやすいよう、一つひとつの振りを丁寧に教えてくれました。そして、前や後ろの人と、等間隔で真っ直ぐに並んで踊ること、手の高さまで振りを揃えること、そのことが、踊りをより一層美しいものにしてくれるし、観て下さっている人の心を動かすのだと思いました。

「私たちの踊る姿は、景色の一部なんだよ」
 と、ゆりかちゃんが話してくれました。

 日が沈みかけた頃、お揃いの浴衣と赤いたすきを着けて踊っている光景が目に浮かび、一つの景色として、みんなと一緒に美しく踊りたいと思いました。練習を見たお父さんも、盆踊りを美しく踊るためのポイントを教えて下さいました。

■保存会の方々との練習

 そして、本番一週間前には、勝央町公民館の大ホールで、勝央音頭保存会の方々との練習がありました。
 先生にも練習を見て頂き、柔らかく踊るということを教えて頂きました。なかなか、先生の教えて下さる「柔らかさ」ということを動きにするのが難しかったのですが、先生の踊られる姿を見て練習していくうちに、みんなの踊りが揃っていくことを感じました。

  

  
 本番に、お揃いの浴衣とたすきを身につけて、全員が一列になって、揃って踊っている姿が目に浮かんで、本番が楽しみになりました。
 また、初めて道中流しに出る人を主な対象に、河上さんが浴衣教室を二回、開いて下さいました。

 浴衣を着る前の準備から、奇麗に着崩れしないように着るポイントなど、河上さんが一つひとつ丁寧に教えて下さいました。

  

  
 ペアになった人と一緒に、河上さんが教えて下さったことを確認しながら着付けを出来た時間が楽しかったです。
 そして、ペアの人が奇麗に着られるようにと、慣れた人は、自分のこと以上に一生懸命に着付けをしている姿が、とてもあたたかかったです。

 本番までに、踊りと着付けをみんなで練習して、短い時間の中ではあったけれども、みんなの気持ちが、同じように積み重なっていくのこと感じて嬉しかったです。

  

  
 本番当日、夕方十七時から着付けが始まります。
 緊張感と、楽しみたいという気持ちを胸に、私は職場から現地に向かいました。

■たすきをかけて

 着替え場所に行くと、笑顔のみんなが浴衣に着替え始めていました。
 私は、りのちゃんとペアで浴衣を着ました。
 りのちゃんは、今年初めて天神涼みで踊るので、着崩れることがなく、楽しく踊れるように、という願いで、手元をしました。

  

  
 りのちゃんから、河上さんに教えて頂いたことをちゃんとして、奇麗に着つけたい、という気持ちを感じて、とても嬉しかったです。

 出発にあたって、流れないように止めを作ること、爽やかな風が吹くようなイメージを、みんなで持つことを確認しました。

 今まで練習して、揃えてきたことを思い出して、観て下さってくれる人が楽しめるように、そして自分も楽しんで、お祭りに華を添えられるように、という気持ちでスタンバイの場所に向かいました。

 浴衣を着て、赤いたすきを着けて歩くと、背筋が伸びたような想いでした。 スタート地点で待っていると、お父さんお母さん、応援組のみんなが来てくれました。
 笑顔で手を振ってくれた姿に力をもらって、私も、観て下さっている方の心を動かせるように、みんなの中で表現したい。そんな気持ちになりました。

■真っ直ぐに列を揃えて

  

  
 いよいよ曲がスタートして、道中流しが始まりました。
 まだ日が落ちてない時間で、お客様も少ない状態でしたが、時間が経つと共に、お客様も増えてきました。
 段々と日が落ちて、周りは暗くなっていくけれど、私たちの踊りで、お祭りは華やかでした。

 私は、列のほぼ真ん中で踊っていたのですが、前や後ろの列が、真っ直ぐに揃っている光景が目に入ってくると、みんなの、奇麗に揃えて踊りたい、という気持ちが伝わってくることを感じて、とても気持ち良く、楽しく踊れました。
  
  

  
 お祭りは、たくさんの人で賑わっていたけれど、とてもあたたかい空気の中で踊ることができました。
 若い人を含め、たくさんの人たちが、「奇麗だね」とか「凄い」と言って下さっているのが耳に入り、私たちの踊りに興味を持ってくださっていることを感じて、嬉しかったです。

 約一時間半があっという間でした。
 今年は、初めて天神祭に参加する人も多かったのですが、みんなが笑顔で、爽やかな表情だったのが印象的で、みんなも楽しく踊れたのかな、と思い、嬉しかったです。

 古吉野に帰ってくると、ホッとした気持ちと、何か満たされたような気持ちで一杯になりました。
 今のメンバーで、勝間田天神祭に参加できたことが嬉しかったし、この夏も、みんなと一緒に、表現者としての経験を積み重ねて、成長していきたいです。