7月30日
●渡された桃を
久々の日記になってしまいました。
書きたいことが山ほどあります。
最近はずっと桃の作業に入らせてもらっています。朝から夜まで、桃と、桃メンバーのみんなといっしょに過ごしています。
早朝、まだ涼しくて、ひぐらしの鳴く声が聞こえるなか、桃の収穫が始まります。木の下で、桃メンバーのあけみちゃんたちが桃をひとつひとつ確かめている姿を見上げながら、その手元の作業をしています。桃の毛がぶわっと舞っていくとき、それが何らかの大きなエネルギーや力を持っているような気がして、「もしダークマターが目に見えるとしたら、これなのかな」と思ってしまいます。
どこまでも桃を大切にしているあんなちゃんやみんなの中に居ると、自分の気持ちが正されます。
手渡された桃を両手で受け取るのか、片手でぽんと受け取るのか……少し桃を扱うだけで、わたしが今までどうやって感じて、どうやって動いてきていたのか、それがはっきり分かってしまいました。
今までの曖昧で、粗雑になってしまう気持ちがどこかにあったままでは、桃を守ることはできないと思いました。みんなの姿やひとつひとつの桃の実から、優しく、丁寧に誠実な気持ちで向かうことを、教えてもらいました。
はじめは、1日を通して続く桃の作業に、どこか困惑していました。古吉野なのはなの校舎に帰ってきて、みんなの空気や、畑の作業の話についていけなかったり、浮いているような、寂しいような気持ちもありました。
でも、わたしはみんなに大事にしてもらって、守ってもらっていると、本当に感じました。
桃の選果ハウスで過ごしているとき、お父さんやお母さんがひょいっと顔を出してくださって、来てくださることがとても嬉しかったです。お母さんがお茶や飴を配ってくださったり、お父さんが明るくお話をしてくださって……桃のためにクーラーがきいているはずの選果ハウスの空気が、あたたかくなっていました。
見えないところで、みんなに手を貸してもらっていました。当番や畑のことを助けてくれて、作業を進めてくれているみんなが居てくれて、「おかえり、お疲れさま」と声をかけてくれること、いつも美味しいご飯がいただけることが、本当にありがたいです。
帰ってこられる場所があるんだなあ、家族が居るんだなあと感じます。
神様のようなものの存在が、自分に何かを伝えるため、試すために桃を渡してくれたような気がしています。
どの桃も、何ひとつとして同じ柄、模様、大きさをしている物はなくって、可愛らしいです。『なつおとめ』のヒョウ柄のような、打ち上げ花火のような柄を描く淡いピンク色も、『清水白桃』のつるんとした上品なクリーム色も、見とれてしまいます。
自分が大事にしてもらっている気持ちを桃にも伝えるんだと感じます。どんな桃も、全部大事にしたいです。
この夏、桃をはじめ、自分が出来ることを最後まで頑張ります。