十二月から畑に植わっていた玉ねぎ。月日が流れ、季節が変わっていくうちに、みるみる育っていきました。最初はスッキリしていた畑が、五月くらいになって長く伸びた茎でいっぱいになり、畝間が歩きにくいほどになっていました。そして六月、玉ねぎがマルチを飛び出して顔を見せ始め、徐々に茎が倒れ、ついに玉ねぎの収穫ができるようになりました! 私は玉ねぎが一番を争うくらいに好きな野菜なので、収穫をできると聞いて、本当に嬉しかったです。
収穫をするとなってから、玉ねぎにも旬があることに初めて気づきました。玉ねぎはスーパーに年がら年中売ってあり、いつでもあるイメージが強かったため、恥ずかしながら旬があると思っていなかったです。なのはなに来て、スーパーにいつもある野菜でも旬があることを知ることができて、より四季を感じることができるようになって嬉しいです。
■迫力の光景
早朝に畑のチームで集まって、いよいよ初収穫! 玉ねぎの畑へと向かいました。
畑につくと、畝の上にあったマルチシートがはがされていました。マルチが取られた畝を見て、私は驚きました。「玉ねぎが土の中にない!」私は、てっきり、大根などと同様に、玉ねぎも土の中に埋まったまま育ち、引き抜いて収穫するものだとばかり思っていました。玉ねぎは土の表面のほうへ、ぽこぽこと顔を出し、育つことを知れて嬉しかったです。日常的によく食べているものでも、知らないことがたくさんあるんだな、と思いました。
一畝に四条ずつ植えていたため、玉ねぎがずらーっと並び、畑全体が玉ねぎで埋め尽くされていて、その光景は、とても迫力がありました。収穫前から立派な玉ねぎがたくさん育っている予感がし、とてもわくわくしました。
収穫基準として、茎が倒れているものだけを収穫し、倒れていないものは取らずにそのまま畑で育てます。全て収穫するのではなく、茎が倒れているもの、いないものを瞬時に見分けて、選んで収穫するのが、凄く楽しかったです。
収穫すると、ぷちぷちと根が土からはがれる、いい音が。草取りのときの音とはまた違い、玉ねぎの収穫ならではの音が聞こえました。その音を聞きながら収穫し続けていくのが、本当に楽しかったです。特に大きい玉ねぎを見つけた時は、とても胸が躍りました。大根などを抜く時と異なって、力が全然必要なかったり、土の中から抜けないということがなかったりして作業が止まることなく、次々と収穫することができました。
収穫した玉ねぎは、そのまま畝の上に置き、しっかりと保存ができるよう、さらに甘さが増すように三日ほど天日干しします。朝の一時間ほどで二枚の畑の収穫を終わらせることができて嬉しかったです。
■コンテナいっぱいに詰めて
収穫から三日ほど経ち、次は回収です。ひたすら玉ねぎを回収し、コンテナに詰めていきます。ただ無心で玉ねぎをひたすら詰めていく作業が、凄く楽しかったです。回収時にはパリパリと、いい音が聞こえてきて、しっかりと乾いていることが感じられました。両手いっぱいに玉ねぎを持つと、とても幸せです。
本当にたくさんの玉ねぎがあったため、回収作業は一日では終わらず、二日間に渡って行いました。貯蔵までの過程の中で、この回収作業が一番大変だと感じました。今回の玉ねぎ畑から軽トラまでの距離が、とても遠かったのです。途中には坂道もありました。コンテナを軽トラに積むためには、この道のりを超える必要があったのです。玉ねぎの畑は軽トラが入れないところにあったため、ネコや徒歩で行ったり来たりを繰り返し運んでいく必要がありました。私は、詰める作業のほうが多かったのですが、さやねちゃんやほしちゃんは常にコンテナを運んでいてくれて、本当にありがたかったです。一・七キロ弱のコンテナだったので、私は一往復でも一苦労だったのですが、二人は何往復もしていて、体力の凄さを尊敬しました。
かなり体力勝負の作業でしたが、みんなで運び終えた後の達成感は、とても大きなものでした。
■美味しく保存
回収を終え、コンテナを数えてみると……二日合わせて、九十六コンテナ! 総量一・五トン強! たくさんの玉ねぎがあるなと思ってはいましたが、まさかこんなにも穫れていただなんて思ってもいませんでした。大きくて、甘い玉ねぎがたくさん取れて本当に嬉しいです。
最後に保存が効くように新聞紙を敷き、根を切り、整頓してコンテナに入れていきました。手で根を取っていく作業も本当に楽しくて休憩も惜しくなってしまうほどでした。古吉野なのはなの野菜庫に入れ、長期保存するものは山小屋に運ばれて、長くに渡る作業も終了です! 玉ねぎの匂いに包まれながらする、全ての作業が幸せでした。新しく知れたこともたくさんあり、凄く嬉しかったです。
最近、食卓に、味噌汁やメイン料理にたっぷりと玉ねぎが出てくるようになってきました。どの料理でいただいても、玉ねぎの甘さやすっきりした味がして本当に美味しいです。たくさん収穫できた玉ねぎがこれから増々、色々な料理として、みんなといただけるのかなと思い、とても楽しみです。みんなで保存した玉ねぎがいいように美味しく保存されていることを食卓で感じることができる、今日この頃です。