【7月号⑩】「香りと活気が広がる 味噌の天地返し」 すにた

 休日、家族みんなそろって、なのはな内々の行事。そう、味噌の天地返しです!
「みんなは家庭科室にお願いします」の放送とともに、家庭科室にぎゅうぎゅうになるくらいまで集まりました。
 赤、黄色、緑……とカラフルな三角巾とエプロンを身につけたみんながいて、とても暖かくて幸せな空間で、みんなと作業ができて嬉しかったです。

 

 

 二月の仕込み以降、半年ぶりに味噌たちと再会……。
 それぞれの樽には、糀のニックネームと、その樽の仕込みをしたチームの名前が書かれていて、「モッチーとパラ夫」だったり、「スピード・ジョブズ」。ほかにも印象に残っている名前はたくさんあるのですが、一つひとつの樽に、味噌メンバーのみんなが愛情をこめて考えた名前が貼ってありました。

 ふたを開けると、ほんのり優しい味噌の香りがして、その香りが家庭科室中に広がっていました。
 味噌の天使返しを初めてする子たちもいる中で、今回は一樽に三、四人ずつがつき、リーダーさんの教えてくださる手順に沿って、みんなで一斉に行いました。 

 味噌の天地返しは、その名の通り、味噌の発酵途中で一度、樽から取り出し、上部と下部を入れ替える作業です。
 天地返しをしない場合、仕込みから三年が立たなければ味噌が熟成しません。今までは半年ごとに味噌の天地返しをしていたそうなのですが、今年は三か月おきに天地返しをする予定なので、それよりも早く味噌が口に入ります!

 ということで、味噌の天地返し、スタート!

 

 

■楽しみな気持ちを一緒に詰めて

 最初に、仕込みのとき、殺菌のために振り塩をしていた上層の部分を、最後にまた一番上に乗せるためにとっていき、そこから、味噌を新しい樽へと移します。

 実際に味噌を触ってみて……塩を振っている部分の手触りと、その下の部分の手触りとでは、全然違いました。塩を振っている部分は浜辺のように少しざらざらとしていましたが、その下の味噌の部分は滑らかで、また、それも癖になる手触りで、とても面白かったです。

 樽から樽に味噌を入れていくとき、ペアの人と、「よいしょっ、よいしょっ!」 と息を合わせて、声掛けをしながらする時間も、活気があって楽しかったです。

 最後に、味噌の樽に残った“たまり”は、たまり醤油として、また台所さんにも使ってもらえます。たまり醤油は色は薄いのですが、とっても甘い香りがして、それがどんないい味付けになるのか……楽しみです。

 

 

 時間はあっという間で……。
 最後に手を洗ったときは、自分の手が、すべすべの、つるっつるになっていて、それもみんなと、
「見てみて、すべすべだよ~!」「えっ、ほんと。私もすべすべだ!」
 と共有できた時間が嬉しかったです。

 みんなでやったら、片付けも合わせてたった一時間で終わったのですが、その一時間がとても濃くて幸せな一時間になりました。
 またいつか、みんなで味噌をいただける日が楽しみです。