『チーム・ウリウリ』の集まりで、担当野菜に名前をつけようという話になったとき、りのちゃんが、ズッキーニはカボチャの仲間でペポカボチャの品種になることから『ぺポちゃん』と名付けてくれました。チームのみんなで「素敵だね、かわいいね」と喜び合い、ゆず畑とゆず畑下、山小屋にいるぺポちゃんに会いに行くのが楽しみになりました。
黄色い大きな花が咲き、その花と茎の間に膨らんでいるズッキーニの実が日に日に大きくなり、二十センチほどで天に向かって艶々と力強く実をつけている姿に感動しました。
■出会いの訪れ
ズッキーニを収穫していると、先細りになるもの、色の濃いものなどがあり、チームでも、なんでかな? と話していました。調べてみると、受粉ができていないと先細りになり、細いところの傷みもはやいことを知りました。
(授粉をしてあげよう)
ペポちゃんのことを知っていけばいくほど大切なものになっていました。
「花の開花は朝の時間だけ」次の日の朝七時過ぎにゆず畑に行くと、雌花と雄花がきれいに咲いていました。八時を過ぎるとしぼんでいるものも多くなっていて、これからは人工授粉をしてから収穫しよう、とまなかちゃんが言ってくれました。収量も増えてきて、毎朝、ゆず畑に行くとまず雄花を探して花びらをくるりをはずして、五株ほどにちょんちょんと花粉をつけていきました。授粉していると雌花が喜んでいる気がして、出会いの訪れを感じて嬉しくなりました。
その後の収穫では、一日に二十五キロ穫れたうち、お尻がちょっと膨らんだきれいで大きいズッキーニが二十キロほど穫れるようになり、日に日に授粉の効果が出ていることも感じて嬉しかったです。チーム・ウリウリのメンバーと夜の集まりで、よりいい実ができるように話し合い、動き、ペポちゃんの成長を喜び合えることが嬉しいです。
■食卓で大活躍
ズッキーニが穫れ出して、なのはなの食卓でも大活躍の毎日です。
私は、これまであまりなじみがなかった野菜なので、料理もトマト煮込みくらいしか浮かばなかったけど、台所では河上さんがバリエーション豊かなメニューで毎回食卓を彩ってくださっていて、嬉しい時間になっています。
フリッターを食べたときのおいしさの驚き、炒め物や煮込み料理にもなるし、マリネや和風の和え物も、暑い時間に動いて帰ってきて食べたときに身体が喜んでいることを感じます。揚げても焼いても生でもおいしい、スープもサラダも、そしてぬか漬けになってもおいしい、どんな料理にもなれる万能野菜だなと感じます。食卓に出るたびに喜びを感じ、みんなといただける時間が嬉しいです。
■ねぐせ
毎日収穫、一株で十本以上の収穫も進む中、ペポちゃんの手入れでは、摘葉、支柱立てが必要になりました。
根元からひとつ、ふたつと収穫されている株の茎は、その上に次々に花を咲かせ、実をつける重さによって、土の上に横になっていきます。まなかちゃんが、支柱をしっかりと立てて元気にしてあげたいと言ってくれました。
朝の時間、まなかちゃんとひろこちゃんと、倒れた株を起こしながら支柱立てを進めていて、畝を振り返ったとき、綺麗に起きて枝葉を広げ、背筋が伸びたペポちゃん。その姿を見たまなかちゃんが、「すごい『ねぐせ』ができているね」。その言葉に(本当だ)と笑いあった時間も温かくて嬉しかったです。
■成長期
六月の野菜の収穫は、朝の時間に、ちさとちゃんと各チームからひとりずつが出て、毎日回ってくれることになりました。ズッキーニでは人工授粉も同時に進めてくれています。朝食のコメントで、収穫に行ったみんなが、ズッキーニの実がついている姿を見たことや、たくさん収穫できたことの喜びを話してくれて、嬉しい時間になっています。
水曜日は各チームで収穫をまわる日になっていますが、ある日。まなかちゃんと、ひろこちゃんと、ゆず畑の収穫をしていました。今日、結構収穫できるねと話していて収穫したズッキーニ、運んでいてもカゴの多さを感じ、計量してみると約七十キロありました。すごい量が穫れたね、とまなかちゃんと言った日。朝食に行くと、ちさとちゃんが、今日山小屋のズッキーニ畑の収量は二十キロだったよと教えてくれて、今日は全部で九十キロの収量だと言うと、まわりの席のみんなも、すごく穫れたねと喜んでくれて嬉しかったです。またその二日後には、ちさとちゃんが、
「いま、ゆりかちゃんが山小屋のズッキーニを収穫してきてくれたんだけど、百二十キロ穫れたって、それもきれいなものばかりだよ」
と教えてくれて、ペポちゃんの成長をたくさん感じて嬉しかったです。
■これから
毎夜、チーム・ウリウリのみんなと集まり、今日したこと、明日したいことを話しています。最後に今日のひとことを回して、「チーム・ウリウリ」と笑顔で言って終わる集まりが、私は大好きです。まなかちゃんが担当野菜について、やりたいことを言ってくれるとき、野菜たちを大切に思っている気持ちを感じます。元気のないときは元気にしてあげたい気持ち、たくさん収穫できたときの喜びと「頑張ったね」と思いやる気持ち、虫にも負けず成長している姿に「えらいね、すごいね」と野菜たちの力に感動する気持ち、嬉しさも悲しさも悔しさも共有してくれて、共感してくれて、それを何倍にもして返してくれるリーダーのまなかちゃんとできることがありがたくて嬉しいと感じます。
担当のズッキーニやカボチャを見ていると、野菜たちの力強さ、生命力、誇り、尊厳を感じます。私はそんな姿からも自分が生きていくときの力と心持を教えてもらっていると感じます。水やりや追肥をするとすぐに収量が増え、いい実ができます。すぐに野菜たちも気持ちを返してくれていることを感じます。喜びを返してくれます。いま、『チーム・ウリウリ』のチームと野菜たちを育てながら、自分も育ててもらっていると感じるし、喜怒哀楽を感じさせてもらえる時間がありがたいと感じます。
これから梅雨や夏の暑さも待っています。
ペポちゃんが最後までより良い力を出せるように、『チーム・ウリウリ』のみんなと過ごしていきたいです。