【7月号⑥】「須原さん棟梁のもと、支柱立て隊が行く!」 さくら

 須原さんが見てくださり、ゴーヤの植え付けに向けて畑の準備・支柱立てをしました。
 六月十三日、作業初日の午前中、私はあやちゃんと、支柱立てに向けて竹運びをしました。二メートルに切り揃えた柱用の縦竹、柱同士をつなぐ三メートル前後の横竹、補強で使う一メートル弱ほどの杭を運びました。畑では多人数のみんなが畝立てをし、その後を追ってよしみちゃんが縦竹を立てるための穴を穴掘り機であけてくれて、ゆうなちゃんがその穴に縦竹をさしていってくれました。よしみちゃんが話してくれたことには、穴を開けたそばから、ゆうなちゃんが竹をさしてくれることで、穴の列がまっすぐかどうか、とても見やすくなったと聞いて、嬉しかったです。 

 

 

 午後からは、須原さんが来てくださり、縦竹打ち、横竹つけに入りました。
 縦竹打ちでは、二メートルある竹を何センチ打ち込み、完成形の支柱の高さを何センチにしたいのか、須原さんが聞いてくださったとき、縦竹は一・五メートルか二メートル、毎年そうなっているから今年も同じ、というふうに考えていて、野菜にとって必要な高さ、作業のしやすい高さを具体的に考えていなかったことに気づき、考えるべきだと思いました。支柱立て以外のときも、須原さんと作業をさせていただくと、具体的なプランがいつもあったり、具体的になっていないところを教えていただいて、私も一つひとつのことを、もっと掘り下げて考えられるようになりたいなと思いました。

 ゴーヤで使った縦竹は二メートルありました。はじめはゴーヤがネットを這うことのできる面積を広くとれるように、二十センチを埋め、完成形の高さを一・八メートルにしていましたが、強度を出すために、最終的に、四十センチを埋めて完成形の高さを一・六メートルにすることになりました。

 まず、畝の両端の縦竹を打ち込み、高さ一・六メートルにします。須原さんが台に乗って畝の端から縦竹の天端を見てくださり、畝の中間の縦竹を打ちこんでいきました。
 縦竹の天端が揃っていると、横竹の取り付け、ネット張りがスムーズだったと感じました。

 

 

■S字フックの発明

 縦竹打ちと同時並行で、上下段の横竹付けを四人がしてくれていました。

 立っている縦竹に、横竹の端をスズランテープで結んで固定していくのですが、片方の先端を結んでいるあいだ、もう片方の端を持っている人は、手があいてしまいます。
 はじめはその竹の端をバインド線で固定して、手が離せるようにしていました。
 二日目の午前中の最後に、須原さんが、S字フックのようなものがあったらいいのではないか、と話してくださいました。

 午後のはじめに、切り番線を使って須原さんがS字フックを作ってくださいました。縦竹は雨で水が溜まって劣化が早くならないように、節の少し上でカットしています。そこにフックを引っかけて使いました。また、下段の横竹を取り付けるときのために、中間部分が八十センチの長いS字フックを作ってくださいました。下段の横竹を取り付けるときも、縦竹の頂点に簡単に引っ掛けることができて、すごいなと思いました。三十メートルある畝の上下段をはじめは三十分で取り付けていたものが、一畝十五分で取り付けられるようになって、今後のピーマンやナスの支柱立てでも使えたらいいなと思いました。

 

 

 三日目の午前中には横竹付けを追ってネット張りを進めました。ネットを広げて、上段の横竹と、地際の二辺に、横に引っ張りながら止めていくと、ピンと張ったネットに仕上げていくことができて嬉しかったです。縦竹の天端が揃っているので、横竹が真っ直ぐに取りついていて、ネット張りも真っ直ぐな横竹に沿わすことができたので、とても張りやすかったと感じました。

 

 

 その日の午後からは、はじめに、ネット張りの続きと定植の準備をしました。

 さあ、もうすぐ定植に入れるぞ、と思ったところで雨が降ってきました。須原さんが天気予報を見てくださり、雨はこの後しばらく止むことがなく強くなっていくばかりだということでした。定植をするか、延期にした方がいいのか、どうしようと思った時に、ほのかちゃんが、「私はやりたいです」と言ってくれて、みんなが、「やろう」と口々に言ってくれたり、笑顔で頷いてくれました。みんなで定植を終わらせようという気持ちで、最後までできたことが、とても嬉しかったです。

 ゴーヤの蔓が這っていくネットから、定植する株までの距離が遠くならないように、ネットの近くに植穴を掘り、そこに牛肥を入れ、根が肥料焼けしないように牛肥と土を混ぜた上に定植をしました。どうか上手く育ってくださいと祈るような気持ちで、でも、雨が強くならないうちに急ぎ足で植えていきました。

 須原さんが雨の中、一緒にゴーヤの定植をしてくださって、ありがたくて、とても嬉しかったです。

 

 

■当たり前のことを当たり前に

 天端の揃った縦竹、まっすぐに通った横竹、ピンと張られたネット。
 支柱立ての形として、当たり前のことではあるけれど、須原さんが指揮してくださって、やるべきことがきちんとできると、整然とした本当に綺麗なものにできるのだと思いました。

 お父さんが話してくださる、「当たり前のことを当たり前にする」ということが普段の生活でも、野菜作りでも、大事なのだと思いました。
 当たり前のことを当たり前にする、それ以上でも以下でもないけれど、深く知れば知るほど、その当たり前が質の高いものになっていくのかなと思いました。

 野菜の手入れでも、一つひとつの手入れをその野菜にとって当たり前のことができたら、良いものができるのだと思います。
 須原さん指揮の元、みんなで協力してとても綺麗な支柱を立てることができて、ゴーヤがその支柱を支えに上手く育ったらいいなと思います。