【7月号⑤】「追いかけっこ方式で もっと楽しい畝立て」 ももか

 

 あれも、これも、畑に植えたい! スイカやマクワウリ、オクラに、大豆……苗床でぐんぐんと大きくなって、畑へのお引っ越しを今か今かと待っています。

 そんな野菜たちが伸び伸びと畑でも成長ができるように、植えつける前に一番始めに必要なのは、畝作り。
 これまでの畝立ては、「一人で完結」みんなで等間隔に入って、深く土を掘って、上げて、さらって。と、数メートル進むのにも、労力と時間が掛かってしまっていました。

 が、しかし、今年からお父さんが発案して下さった「追いかけっこ方式」により、何倍も速く、そして一人一人の負担が一気に軽減され、さくさくっと一枚一枚の畑に畝を立てられるようになりました。

 

 

 その追いかけっこ方式というのは、畝間の広さや土のコンディションによって異なるのですが、三から四人のチームで、真っ平らな所から、段階を追って、土を上げて、真っ直ぐと高い畝を作って行きます。一人目は、とにかくラインに沿って、軽くてよいので、ざくざくと土を上げていきます。そして、その後を追って、二人目が掘り足して、最後の人が美しく綺麗に畝間の土をすべてさらい、完成。という状態までもって行きます。

 この方法だと、ざくっ、ざくっ、ざくっ!! とテンポ良く進むことができて、それに一人ひとりの負担も少なければ、一人目の人が早く終わったとき二人目や三人目の手伝いにも入ることもでき、みんなで完成させて、次へと進めて行くので、一人で黙々と畝立て……となることがなく。

 みんなで助け合って、協力し合って、とみんなの存在を強く感じながら、みんなと作っていく畝。だから、一枚立て終えるたびに、身体はもちろんぽかぽかするけれども、何よりも心がぽかぽかして、幸せ一杯な気持ちになります。

 

 

■もっと楽しい畝立て

 私たちには欠かせない! なのはなのみんなに大人気の甘い野菜、マクワウリの畝と言えば……とにかく、畝も畝間も広い。これまでの「一人で完結方式」の場合だと、一メートル進むのにも、何回も何回も土を上げないと、すべて上げきることができず、どの野菜の畝立てよりも、大変。というイメージがありました。

 けれど、「追いかけっこ方式」だと、一人ひとりの負担が何も変わらないのです。一チームの人数を倍の六人に増やせば、一人目から六人目にかけて畝が仕上がっていきます。

 畝が広い分、畝数は少ないので、(あれっ?)一段落したと思った時点で、畑を見渡すと、すべての畝を立て終わっている。拍子抜けしてしまうくらい、マクワウリの畝ができあがっていました。

 本当に今年の夏、畝を立てたい畑が沢山あっても、このお父さん発案「追いかけっこ方式」があれば、何も怖いものもありません。鍬一本片手に、みんなとルンルンで畝立てに向かうことができます!

 元々私は畝立てが作業の中で、トップ三に入るほど好きでしたが、この方法の畝立てになってから、もっともっと大好きになりました!

 

 

■どんな畝もお任せ

 野菜の畝は真っ直ぐなものだけではありません。可愛いまんじゅう型の畝もあるのです。夏の海と言えば……スイカ! そう、スイカの畝は特別まんじゅう型なのです。

 これは追いかけっこ方式ではなく、一人一まんじゅうを作っていくのですが、一つずつ作品を作っていく感覚で楽しく、夢中になってできます。センターを基準に、ぐるぐると自分たちも回りながら、円状に土を上げていって、どんどんそれが盛り上がり、山になり……最後、手でちょっと頂上を丸くしてあげたら、一山完成! 一個一個作るたびに、嬉しくて、何個作っても楽しさがずっと続くし、初めは例え円が不格好だとしても、回数を重ねていくたびに、自分の中で綺麗なまんじゅう作りのコツをつかんでいき、まんじゅう職人に近づいていっている感覚、それがたまらなく嬉しいし、楽しいです。

 初めは平面の畑も、どんどん小山が浮かんできて、最後にはずらっとたくさんの小山ができあがっていて、野菜が植わる前でも、とってもかわいらしい畑になりました。

 

〈農作業の合間には腰伸ばしストレッチをしました〉

 

 追いかけっこ方式もあれば、楽しいまんじゅう作りもあって、みんなとだからどんな畑でも、さくっと立てられるのですが……時には、お願いしちゃいます。

「須原さーん!」
 これまでは、黒大豆、白大豆、小豆、といった豆類は、土寄せをすぐに行うこともあり、植え付けの時点では畝は作ってこなかったのですが、今年からはこの異常気象から、少しでも豆たちを守るため、植え付け時から畝を作りました。しかし、とにかく枚数が多く、そして何よりも野菜の畑よりも、広い・広い・広い!

 なので、須原さんが秘密のスーパーマン。トラクターが変身し、畝立て機になるのです。その畝立て機を使えば、どんな広い畑も真っ直ぐに畝が立ってしまいます。

 須原さんが立てて下さった畝を、私たちの手で畝の端をちょっと上げて、かまぼこ形にならしたら、もう完成です。本当に有り難くて、豆たちも私たちも救われました。

 みんなと力を合わせて、須原さんにも助けてもらいながら、どんどんどんどん野菜の定植に必須の畝ができていきます。これからも畝立てが必要な畑は出てくるけれど、追いかけっこ方式があるから、大丈夫。みんなと「エイエイオー!」