6月30日
最近の私の元気の源は、トロンボーンの時間です。今日も1時間半の練習時間があり、充実した時間でした。薄い紙も積み重なれば分厚い本になる。紙1枚分、確かに積み上がったことを感じました。
私は今、ひたすら、密度がギュッと詰まった、濃くて艶のある音にこだわっています。芯があって艶のある音をイメージして吹くと、音程も合いやすくなります。パートのみんなで、緻密でまっすぐな音を吹けるようになるために、ロングトーンを極めています。どこまでもより良い音を目指しているから、いくらやっても決して飽きることはありません。
今日も、1時間半のほとんどを、ロングトーンに費やしました。私が見つけた良い練習方法があります。基準となる人が、理想の音を4拍伸ばし、その後に続いてみんなが4拍伸ばします。低いB♭から高いB♭まで1音1音、それを繰り返します。
最初の30分間、私が、基準となる人の役をやりました。基準となる人の役も、とても鍛えられます。みんなの基準となる理想の音を吹くのだから、責任感を強く持たなくてはいけません。音を外すことや揺らすことを自分に許さず、自分の思い描ける最大限の理想の音を思い描いて、トロンボーンを吹くと、心と体には厳しいけれど、音がよく響いて、安定感が出ます。私はこの練習をしていて、自分に厳しいダンスほど見ていて美しいという、お父さんの言葉を思います。トロンボーンも同じだと思います。楽をしていては決して良い音は吹けません。心も体も厳しく使って初めて、トロンボーンの音が出ます。楽をして吹いた音は、雑音です。
この方法でロングトーンをすると、いきなり全員でロングトーンをするよりも、みんなの音に一体感が増しました。回数を重ねるごとに、音がひとつにまっすぐに明るくなってきて、心が震えました。みんなのまっすぐな気持ちを感じて、心が震えました。みんなのために、もっと美しい音を吹きたいと、思いました。
そして、ふと、思いました。基準となる人の役を、みんなで1人ずつまわしてみたらどうだろうかと思いました。最初に、1番慣れている人が基準になって理想の音を吹くロングトーンを30分やって、理想の音をみんなの体と心に刻んでから、みんなで基準の人となる役をまわしていったら、トロンボーンパートの全員が、1人でも聴かせられるような音を吹けるように、みんなでゴロンとレベルアップできるのではないかと、ひらめきました。
やらずにはいられなくなって、やってみました。ひとまわし目では、楽器を持って比較的年数が少ない人ほど、音に緊張を感じました。でも、だからこそ、この練習は良いと、思いました。何度も何度も、みんなの前で自分が基準になって理想の音を吹いたら、コンサートの本番でも堂々と吹けるようになるのではないかと、思いました。
この練習を、2回ししました。2回目では、みんなの音に、自信を感じました。そのとき、ああ、紙1枚分積み重なったと、嬉しくなりました。
「英語が上手くなりたければ、英会話教室の生徒ではなく、英会話教室の教師になることだ」
というお父さんの言葉を思いました。私はこのロングトーンに、英会話教師ロングトーンと、名前をつけました。
最後に、全員で、8拍のロングトーンをしました。英会話教師ロングトーンの練習の効果があってか、まっすぐに音がそろって、何より気持ちがそろって、心の中で、ゴロン、と音が鳴りました。
私はとても未熟で、気持ちの面でも音の面でも課題がたくさんあって、でも、トロンボーンパートのみんなにたくさん助けられていて、一緒に成長させてもらっていて、とてもありがたいです。
夕食の席では、新しく楽器をはじめた子たちのお話が、とてもわくわくして嬉しい気持ちになりました。目隠しをして、パート分けをされた部屋に連れて行ってもらって、目隠しを外してはじめて自分のパートがわかる、という話を聞いて、あゆちゃんの優しい気持ちを感じました。
私は実は最初、フルートがやりたいと思っていたのですが、思いもしなかったトロンボーンを吹くことになって、しかもテナーバストロンボーンで、しかしそれがとても心にピッタリと合っていて、今ではトロンボーンが自分の一部であるというくらいにトロンボーンが大好きになってしまったことを思い出しました。
自分が憧れる楽器と向いている楽器が違うことがあっても、その楽器との出会いが、運命の赤い糸で繋がれていたかのように、最高の出会いだった。それがトロンボーンと私との出会いだったなと思い、みんなの夕食の席のコメントに、心がときめきました。
明日も楽器練習があると、あゆちゃんが教えてくれました。今から作戦を練っています。ロングトーンは絶対にこだわるけれど、今日の練習で進歩を感じたので、次のステップに行って、リップスラーの練習の計画を練っています。今から楽しみすぎます。
明日はお仕事なのですが、はやく帰ってきます。