6月23日
今日の午前半日の楽器練習の時間が、とても濃くて、24時間あったんじゃないかというくらい濃くて、充実して嬉しい時間でした。そして、自分の心にひとつの大きな収穫があり、そのことがとても嬉しいです。
私は、楽器練習があると予告があったその日から、楽しみで楽しみではち切れそうなくらいで、夜に布団に入ってからも心が躍っていて、ぐっすりと眠れました。トロンボーンは、全ての楽器を使っているので、新しいメンバーが入る予定はなく、それだけに、よりレベルの高い練習をしたいと、緊張していました。
数日前から、こんな練習プランで行こうかと、計画を練っていました。そして、やる気満々で迎えた今日。
まずは、ブレストレーニングからはじめました。今は卒業したアンサンブルの先輩たちから、肺活量があるぶんだけ表現の幅が広がると教わり、そのことを実感しているからです。また、ブレストレーニングをしてから楽器を吹くと、伸びやかな音が鳴ります。ベテラン揃いのトロンボーンパートが、みんなの憧れのパートになるくらいに、魅力的な音が吹けるようになりたいんだと、やよいちゃんとまちちゃんに伝えました。トロンボーンに対する熱い思いを伝えると、2人も同じくらいに熱い思いを向けてくれて、みんなで同じ熱量で向かうと、心が大喜びでした。
それから、楽器を吹くのはもう少し待って、次は、マウスピースだけで練習をしました。私たちはトロンボーンをはじめて長いですが、だからこそ、基本的なことにこだわりました。マウスピースで安定した音を吹くことで、より、実際に楽器を吹いたときの安定感が増します。
入念に、体と唇を柔軟にしてから、実際に楽器を吹きます。3人でひとつの音を吹いた瞬間、びびびっと心に電気が通ったみたいに、心が目覚めました。ああ、この感覚が好きなんだよ、と思いました。私は、楽器練習がはじまる前にも、感覚を忘れないようにするために、ときどき楽器を吹いていました。でも、やっぱり、仲間と一緒にトロンボーンを吹くのが、楽しいです。
より緻密に演奏できるようになりたいとの思いから、低いB♭から高いB♭までの音を、1音1音、3人でピッタリと揃うようになるまでひとつずつ伸ばす、という練習を、当初は予定していました。しかし、実際にやってみると、久しぶりということもあり、音程を揃える前に、まずは太くまっすぐな音を安定して吹けるようになることのほうが先だと思い、方針変更をしました。
安定してぶれない音を吹けるようになるには、ロングトーンが一番良い練習になると思います。しかし、私は、地味にロングトーンを続けるだけでは、2人の気持ちが大変にならないかと、変な心配をしてしまいました。
私はいつも、トロンボーンの練習をするとき、みんなにとってプラスの時間にしたいという気持ちが強いです。それが時に、間違った方向に行ってしまうことがあります。
なんだか、私たちの音は、形にはなってはいるけれど、かたさがある。私たちの実力なら、もっと魅力的な音が吹けるはずだ。そう思って、色んな方法でロングトーンをためしました。汚い音を吹いてみる。「○○な気分」などとテーマを設けて吹いてみる。しかしどうもしっくりきません。
悶々として、(もう、どうしたらいいんだ!)という私の心の迷いをぬぐいさってくれたのが、やよいちゃんの言葉です。
「私たち、久しぶりに吹くのに、あまり複雑なことを言われると、混乱しちゃうよ。シンプルがいい!」
やよいちゃんの言葉に、迷いがなくなりました。私は、変な気の使い方をして、変なところに頭を使って、空回りしていました。それは、理想ではなくて人を見ていたからだと思います。私が本当にやりたい、修行のように地味な練習をしたら、2人がつまらないと思ってしまうんじゃないか、そんな間違った気の使い方をしていました。
心に迷いを捨てて、時間いっぱいロングトーンだけをし続けることにしました。基礎に飽きずに、もっともっと良い音を目指して、繰り返し繰り返し、ロングトーンをし続けました。すると、3人の音が生き生きとし出しました。
私は、力が抜けてしまうくらいに、気持ちが楽になりました。ただ、理想を求める、その気持ちでいたら良いんだと、思いました。人の顔色を伺っているよりも、理想を見て、こうしたいという意志をしっかりと持っていたほうが、一緒に居る人もやりやすいんだと、気がつきました。そのほうが優しいんだと、思いました。人の顔色を伺うのは、優しさではありません。そのことに気がつきました。
約1時間半、ひたすらロングトーンをし続けて、終わる頃にはへとへとだったけれど、音の質がハッキリと変わり、なによりも表情が変わりました。
やよいちゃんとまちちゃんが、「楽しかった!」と言ってくれたとき、本当に嬉しかったです。
今日の学びを基に、また、次に向けての練習プランをたてました。修行僧のように地道な練習プランですが、これで、トロンボーンパートのみんなでゴロンとレベルアップできるんじゃないかと、とても楽しみです。
それから、お母さんが以前話してくださった、「いつもトロンボーンのえっちゃんでいたら良いよ」という言葉を私は心の宝物にしているのですが、トロンボーンの私、というのを、再確認することができました。トロンボーンを吹いているときや練習しているとき、自分の未熟さを感じることがあったとしても、それでも前向きで、強い気持ちでいられます。トロンボーンを通して、まだ見ぬ誰かの力になりたいという、使命感があるからです。
トロンボーンを吹いているときの私で、いつでも演じていたいです。