6月22日
●1人でも大切にする
「ああ、仲間が居るって本当にいいなあ」
お母さんの集合のお話を聞いていても、今日1日を振り返っても、つくづくそう感じました。
卒業生の赤ちゃんのことを聞いて、目が潤んでしまいました。この世にやってくる新しいいのち、赤ちゃんという言葉を聞いて、考えるだけで、涙が出てきそうになります。
今日も話してくださっていたのですが、たけちゃんがもっと小さかった頃に、お母さんが話してくださった言葉が、印象に残り続けています。
「1分でも良いんだよ。ここで1人が1分でも抱っこしてあげていたら、60人で60分になるんだよ」
本当だったら母親が1人で子供の面倒を見なくてはいけないところが、なのはなではみんなで助け合って、みんなで面倒を見ることができます。こうやって大人数の人に育てられている子供を、わたしはなのはなに来るまで見たことも聞いたこともありませんでした。今は、人から助けてもらうことを良しとしない、「よその子はよその子、うちの子はうちの子だから」という考え方があふれていると思います。
なのはなではそうじゃない、「うちの子はみんなの子」なんだなあと思います。みんなの子として、たくさんのみんなで愛情を注いであげられることは、その子供にとっても、わたしたちにとっても、幸せなことです。
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今日、雨が降る前に、やりたかった作業を全て終わらせてきました。なので、午後になって雨が降り出したのを見ていると、スキップしたいくらいに嬉しくなりました。
桃畑のブルーシートがけをしていたのですが、思っていたよりも早く終わって、残りの1時間でナスの畑2枚の追肥をすることになりました。
やよいちゃんやまなかちゃんから話を聞いていて、
「本当はナスの追肥をしたいんだ」「でもね……まあ、出来なくても仕方ないかなあって思ってる」
と、少し悔しそうな顔をしているのを見ていました。あゆちゃんが「ナスの追肥行くよー!」と声をかけてくれたとき、本当に嬉しくてパワーがみなぎりました。
大人数のみんなが居てくれたので、エルフに載った牛肥を求める行列がずらりとできていました。あゆちゃんとやよいちゃんがひたすら「はい!」「はい!」と牛肥を入れ続けてくれていて、それを、なるちゃんが渡し続けてくれていて、本当に大繁盛のお店のようでした。
どういうルートにしたら作業がしやすいのか、どのくらいの量の牛肥をてみに入れて、どのくらいの量をナスにやればいいのか、などを考えてくれていて、あゆちゃんのプランがすごくありがたかったです。大人数ということを考えて、大人数ということが最大限に活かされたなかで動いていると、何倍も速くて、面白いです。
最後、牛肥が撒かれたナス畑全体を見渡しながら、まなかちゃんが、「もう、嬉しすぎるよ……!」と感激しながら笑ってくれていたのも、嬉しかったです。
ナスの追肥さえ終われば、もう何もやり残したことはない……!
もしも話のようにそう思っていたのが、本当に終わってしまって、やり残したことはなくなってしまいました。
やっぱりなのはなの良いところってこういうところだなあ、と心から感じました。誰か1人でも心残りある人、困っている人が居たとしたら、全員でそれを叶える、一緒に解消することができる、そんな、「誰か1人だとしても、大切にする」という優しさを持ったみんなが集まって、大きな大きな優しさが広がっています。そこに自分が居られることは、本当に嬉しいです。
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夕ご飯に、今年はじめての桃が出ました。
『はなよめ』は、ひとくちかじると、香水のような良い香りがして、甘くって……。久々の桃との再会だったはずが、食べてみると、ちゃんと覚えていたんだなあ、と感じました。
「ああこの味だ、こんなにとびきり美味しい幸せの桃だ」
と思えるくらい、もう、なのはなの桃がわたしにとっての桃になっていることは、なんて贅沢なんだろうと思います。
隣の席で桃を食べていたふうちゃんの、ちょっと驚いたような笑顔に、なぜかわたしが「やったあ!」と喜んでいるのでした。
それぞれの子にとっての初めての桃、すごく嬉しい夕ご飯の時間でした。