「楽器との出会い」 みつき

6月23日

●楽器との出会い

 雨が降っているジメジメや、どんより感も、一気に吹き飛びました。
 楽器練習が始まりました。なのはなに来て、まだ自分の楽器を持っていない子たちが、体験入部のように、楽器を見に回ってきてくれました。
 フルートでは、ちさとちゃんと、よしえちゃんと3人でお出迎えしました。自分も新しい子たちと一緒に基礎から教えてもらって、恥ずかしながら「へえ!」と驚いてしまうような、新しい気づきもありました。

 他の楽器のように口で咥えて音を出すのでもないし、力を込めてすべての息を入れても、音は出ない。
 フルートでは、唇を密着させて、真っ直ぐに息を吹きます。それも唇の小さな細い隙間から、3分の1くらいの息を吹くことで音を出します。音を出すというよりも『音を当てる』という表現がぴったり、それがフルートの難しさであり、特徴だなあと思います。

 人それぞれ唇の形でも変わってきて、自分の唇のベストポジションにはまったとき、はじめて音が出ます。そのベストポジションを見つけるまでが本当に難しいけれど、楽しいです。
 来てくれた子たちが、とってもすごいなあと感じました。びっくりするくらいに音を出せるようになるのが早くって、頭部管を持ってからわずか3分ほどで音が出ていたり、高音も低音も出せるようになって帰って行く子もいたり、本当にすごいなあと感じました。どの子も「楽器を演奏するのが楽しみ!」という気持ちいっぱいでいてくれて、きらきらした眼で「わあ、綺麗!」とフルートを手に取るところを見ていると、嬉しかったです。ああ、その明るい気持ちが楽器を惹きつけているんだなあ、すぐに楽器と仲良くなれるんだなあと感じました。

 自分がフルートを始めたころのことを思い出しました。
 自分の楽器を持ったことが、とても嬉しかったし、箱の蓋を開けたとき、子供に返ったようなときめきを感じました。青色のベロア生地に包まれている、銀色のフルート。それが今のわたしの相棒の、うみちゃんです。ちさとちゃんが、「自分の出したい音をイメージすることが大事なんだ」と話してくれて、『リトルマーメイド』の曲をフルートで演奏している音源を聴かせてくれました。この『リトルマーメイド』が今も憧れの曲で、フルートのみんなと「いつか吹こうね」と話しています。本当に物語から出てきたような、海の底に眠っていた宝物のような楽器、フルートに憧れでいっぱいです。

 みんなが何の楽器に一目惚れをして、希望を出して演奏することになるのか、それがとても楽しみです。
わたしもますますフルートのことが好きになって、今、手に取らせてもらっていることがありがたくて、もっと上手になりたいと感じました。

 午後、みんなで味噌の天地返しをしました。
 今年の冬に作った味噌と再会して、発酵が進んでいるのが分かりました。薄茶色をしていて、もう白味噌のような色です。香りはチーズのような香ばしくて、ちょっぴり甘くって、香りだけでもう美味しそうでした。
 その幸せな香りに包まれながら、味噌を樽底に向かって、思いきり打ち付けるように入れていくのが楽しかったです。
 味噌から出ていたたまり醤油は黄金色をしていました。それも取って、ゆりかちゃんが嬉しそうに、
「料理で使えるね。たまごかけご飯にかけたら美味しそう!」
 と話してくれたのが、わくわくしました。
「みんなでやったら、7樽が25分で終わった!」
 となるちゃんが教えてくれて、大人数でやるとスピードも速いし、大人数の手がかかればかかるほど味噌も良い味噌になるなあと思います。
 新しい子や、たくさんのみんなでできて嬉しかったです。