なのはなに来て初めての、泥んこ運動会でした。日が近づくにつれ、不安な気持ちが大きくなってしまうので、当日の午前まで、考えないようにしました。五月二十六日の当日、午後になって、泥んこ運動会だ! となると、「いや、なんとかなる」という楽観的な気持ちになりました。
しかし、いざ、泥に入るとなると、躊躇してしまう気持ちがありました。私は今でも潔癖があって、泥に入るのは、すごく勇気が必要で、入ろうと思っても足が動かなかったです。でも、「もう、どうにでもなれ」という気持ちで、いざ入ってみると、初めて感じる、泥に足が沈み込む感覚が、どうにも気持ちが悪かったです。最初は泥の感覚が怖かったけれど、だんだん慣れてきました。
■泥んこ相撲
一種目目は、泥んこ相撲でした。私は、さくらちゃんと対戦しました。自分の番が来るまでは、「ああ、汚れるの怖いな」と思っていたけど、みんなが全力で戦う姿が、すごく、すごく格好よくて、
「全力で戦う姿ってこんなにもカッコいいんだ。自分も全力で戦いたい」
と思って、頑張ろうと気合を入れました。でも、私は筋力がなくて、気合を入れていたのに、あっという間に敗けてしまったことが、すごく悔しかったです。もっと鍛えて、まともに試合になるくらいに頑張ろうと思いました。
同じ赤チームのあやちゃんが、泥に入るのに抵抗があり、最初は泣いてしまっていて辛そうだったのに、「出ます」と言って恐怖を乗り越えてやり切る姿に涙が出ました。すごく、すごく怖いはずなのに、出ると決意した姿を見て、「ほんとに強くて素敵だな」と、あやちゃんの強さが綺麗で感動しました。
まこちゃんも、最初は泥に入っていなかったのに、「もういい! やったるわ」と言って、全力で戦って、あゆみちゃんに勝った姿も、すごく格好よかったです。ただ相撲をしているだけなのに、みんなの強さに泣いてしまいました。
二種目目は、目隠しフラッグでした。目隠しをした私は、ゆずちゃんの誘導をしました。ゆずちゃんが、目隠しをしていてもまっすぐ歩いて行って見事フラッグを取ってくれたのが、すごいなと思ったし嬉しかったです。ゆずちゃんがフラッグを取った瞬間、チームのみんなが「ナイス!」と言ってくれたり、ゆずちゃんが駆け寄ってきてくれて嬉しかったです。
観戦していてびっくりしたのが、どれみちゃんの走る速度でした。目隠しをしているはずなのに、びっくりするくらい速くて、本当に目隠ししているのかと疑ってしまうほど速かったです。でも、自分が選手になって目隠しして走ってみると、すごく怖くて、泥の中で目隠しをして進むのはかなり大変でした。足場が不安定な中、まっすぐ走るのはかなり難しいなと感じました。たくましく走るみんなの姿が本当にかっこよくて尊敬しました。 三種目目は、タイヤ取りでした。これは、みんなから、かなり激しい競技だと聞いていたので、大丈夫だろうかと思いました。
最初の試合で、ゆうなちゃんが、まことちゃんと一対一で戦う姿が格好よかったです。どんなにまことちゃんにもみくちゃにされても、ゆうなちゃんは決してタイヤを離さず、諦めない姿に感動しました。最後にゆうなちゃんのチームの応援が来て、それでもまことちゃんが諦めず、引きずられてでもしがみついている姿が、勇敢な戦士のようでした。他のチームのみんなも、全力で戦っている姿が、とても格好よかったです。
私のチームは、力のある人が大きいタイヤを取って、ほかの人は小さいタイヤ、それが無理ならほかの援護という作戦でした。スタートして、目の前からまえちゃんが全力で駆けてきて、(これは勝てないかも)と思いました。でも、その前のみんなの試合を見て、自分も、勝てなくても死んでも諦めないと決意して、ただ取られないよう必死ににしがみつこう作戦にしました。力の強いまえちゃんや、のぞみちゃん、すにたちゃんに、味方のあゆみちゃんと一緒にしがみついて戦いました。私は力も無いから、ただ粘ることしかできなくて、もう引きずられてされるがままだったけれど、これだけは譲れないってひたすら粘って頑張りました。あの怪力のまえちゃんに、必死に抵抗してる自分にびっくりしました。自分は意外に底力があるんだと感じました。終わって、自分のチームが勝って、みんなが私のほうに来てくれた時に、嬉しくて少し涙が出ました。もう一戦では、同じチームのあやちゃんが、男性の相川さんを引き留めていて、すごく格好よかったです。
四種目目はリレーでした。私のチームは最初は最下位だったけれど巻き返して三位になって、みんなの全力のおかげですごく楽しかったです。
■こんなに全力で
人生で初めて、こんなに泥だらけで、顔まで泥だらけになりました。おまけに寒くて震えていたけれど、最後、みんなと円陣を組んで暖まったりする時間が、心まで暖かくなりました。最後に、あやちゃんと二人で話しながら暖を取っていた時間が、すごく好きでした。
みんなが、「りのちゃん、かっこよかったよ」と言ってくれたのが嬉しかったです。今まで、こんなに全力で汚れて戦ったのは人生で初めてで、楽しかったです。やる前は、嫌だなという気持ちや、恐怖があったけれど、実際にやってみると吹っ切れたのか楽しかったです。まさか、この私が、この泥んこ運動会を乗り越えて、楽しかったと思えるとは思っていなかったので、すごく嬉しいです。