「やるからには完璧に」 るりこ

5月28日

○鉢上げ

 昨日と今日と雨が降って、外での畑作業は進められない分、雨の日こそできる作業が進んだ2日間でした。
 わたしは2日間とも、まえちゃんや、なつみちゃんたちと、ハウスの中で苗の鉢上げをしました。鉢上げは久しぶりの作業で、とても充実していて楽しかったです。

 昨日は主に、約3000株以上ある、コンパニオンプランツのバジルの鉢上げをしました。バジルは200穴トレーに2粒蒔きされてあって、1トレーに400粒の種が蒔かれていたことになります。それを6号ポットに1株ずつ移し替えていく作業が細かくて、数も多くて大変でした。
 それをいかに効率よくスピードを持ってやるかを、みんなと考えて、培土が入ったたらいを置く位置や高さを変えてみたり、柄の細いスプーンを使ってみたりと、試行錯誤しながらも、最終的にはストレスフリーの会場づくりができました。

 苗は根も含めて、まだ5センチほどで、強くはないけどバジルの香りがしました。
 小指の爪の半分ほどの葉も、見た目は大人のバジルと一緒で、ぷっくりしていて艶々していて、葉脈がはっきりとしていました。ミニバジルが可愛らしかったです。

 そして今日はバジルの鉢上げの続きをしてから、マクワウリやカボチャ(グラッセ)、白願寿の種まきを進めました。

 今日わたしが特に印象的だったのは、落花生の芽だしです。
 発芽する前に種が腐ってしまうことが多い落花生ですが、今日、まえちゃんが調べてくれたという新しい方法に挑戦してみました。
 それはというと、30度のお湯に約5~6時間浸すと発芽しやすいということです。
 午前の作業始まりに早速、まえちゃんとお風呂へ行き、温度計で30度きっかりのお湯を桶に溜めて、その中へネットに入った50粒ほどの落花生を浸しました。
 その後、1時間半おきに見回りに行き、お湯を取り替えて、夕方の5時きっかりにお湯から引き上げました。約6時間、お湯の中に浸っていた落花生は膨張していました。
 今は温度管理された作業棟のなかで干されている状態で、今後これを蒔いて、どのように発芽していくのかを観察していくのが楽しみです。

 15時には天気予報通り、雨が止んで、種まきや鉢上げも落ち着いたので、中庭で使用済みのポットを洗いました。
 ポットやトレーは定植したあとに土で汚れてしまいがちだけれど、それを洗ってきれいにするということを自分も後回しにしがちです。そうしてその汚れが溜まっていって、ポットも大分くたびれた様子に見えていました。
 まえちゃんがそれらを洗う時間を設けてくれて、中庭に水の張ったたらいを2つ用意して、粗洗いと本洗いの2段階で、さらにブラシも使って、かなり丁寧に洗っていきました。

 雨も止んで、空気の気持ち良い中庭で、流れ作業でひたすらポットを洗っていると、磨けば磨くだけポットも新品のようにぴかぴかに戻っていくので、自分まで気持ち良く感じる作業でした。

 こうして、まえちゃんと作業をしていると、まえちゃんはすごいなと思うことが何度もあります。
 ポットを洗うことだって、自分も含めてみんなが後回しにしたり、見なかったことにしてしまうことを、まえちゃんは面倒くさがらずに、「やろう」と言って、やるのも絶対に手を抜いたり、工程を省いたり、いい加減にしないで、ポットが新品同様になるまできれいに洗おうと高い質を求めます。
 やるからにはとことんやる、というまえちゃんの姿勢が自分にはないもので、だからこそ、そういうまえちゃんの姿に、自分の怠け心が正されます。

 他にも鉢上げをしていたとき、ポットがのったトレーが地面にどんどん溜まっていくのを防ぐために、まえちゃんは「2枚溜まったら、玄関下の苗置き場まで運ぶ」というルールをつくってくれました。
 そうすることで、トレーが何十枚も溜まって足の踏み場がなくなるということがなく、常に足元は整然としていて動きやすいし、最後に大がかりな運搬という作業が溜まることもありませんでした。また一度、そういうルールを固定することで、全員が共通認識としてそれを守ろうという意識が働くので、みんなと助け合って作業を進めているというプラスの空気も感じられて、自分も動きやすかったです。

 いろいろな方面で活躍して、考えたり見たりするべきことがたくさんあるなかでも、目の前にある仕事はどれも高いレベルで、やるからには完璧にやろうとするまえちゃんに、自分もそうなっていかなければいけないと思わせてもらいました。
 やっぱり自分は手を抜く癖があるし、仕事もいい加減で汚いです。そこをちゃんと直さないと、社会人として成立して生きていけないです。
 まえちゃんと作業をしていると、自分のそういう甘さや、いい加減さではいけないということを感じさせてもらって、まえちゃんの作業に向かうあるべき姿を感じさせてもらえたことが嬉しかったです。

 2日間で10弱の種類の野菜の種まきや鉢上げをしました。
 なかでも、今年は豆のカメムシ対策として、ペパーミントの種をなつみちゃんが蒔いてくれたのがニュースでした。ペパーミントの種は小さな小袋に入っていて、本当に砂みたいな小さな小さな黒い点々があるだけのように見えました。それらをなつみちゃんが培土を敷いた育苗トレーに、丁寧にばら蒔きをしてくれました。

 2日間、ハウスの中でひたすら培土に触れて、いくつもの野菜の苗を植え替えて、細かな作業が夢中になれて楽しかったです。
 最近、晴れが続いていて、なかなかハウスでできる育苗の作業が溜まっていたようで、この2日間で取り返すことができたと、まえちゃんやなつみちゃんも喜んでくれて、わたしも嬉しかったです。
 広いポットに移し替えられて、どの野菜の根を広げて、ぐんぐん育ってくれたらいいなと思います。

 明日はマックに行ってきます。オープンでは、せいこちゃんと一緒に初めてシェイクとソフトの機械の組み立てを任されていて、いきなり2人だけという状況でかなり緊張しています。数日前から、まみちゃんに講座を開いてもらって予習をしていますが、明日はマニュアルをよく読みながら、落ち着いて、正確にこなしてきたいです。
 マネージャーさんに良い報告ができるように頑張ってきます。

 読んでくださって、ありがとうございました。