冬の果実、ユズは去年大豊作でした。ユズは隔年結果と言い、1年ごとに生り年、不作の年が交互にくると言われています。それは、去年付いた枝に今年花が咲くことはないからです。けれど、剪定によって、隔年結果にならないようにすることができます。剪定は春が時期で、樹の芽が動き始めるこの季節に、ユズの剪定を行いました。
なのはなファミリーで育てているユズの木は全部で4本あります。大きさは様々だけれど、どの木も枝が密集していて、収穫の時は、枝と枝の間に手を入れることが困難で、とても収穫にてこずりました。今回の剪定は、ユズの樹の日当り、風通しを良くする目的と、もう1つ、収穫や作業性を改善する目的で行いました。
■スリリング、ユズの剪定
ユズの樹の特性を調べた時に、ユズの枝は、上に上に伸びていく直立性があるようで、ユズの樹が混みあうことにも合点がいきました。内側から生えた枝が、直立してたくさん生えているから、混みあってしまうのだと気が付きました。そのため、今回の剪定で、内側から伸びている、直立した太い枝を根元から切るのと、樹全体の背丈を小さくするために、高く伸びた枝を切り縮める剪定を主に行いました。
まちちゃん、あやちゃんと一緒に、まず、ゆず畑にある大きなユズの樹に取り掛かりました。ユズの剪定は、想像以上に、ハードなものでした。なぜなら、ユズの枝には、とてつもなく鋭くて強い棘がたくさん付いているからです。
ユズは何から身を守っているのか、と思うほど、頑丈な棘に囲まれていて、手を枝の間に入れることさえ、困難でした。けれど、そう言っていると、1本も枝を切れなくなってしまうので、意を決して棘の中に手を突っ込んでいきました。
長袖を着て、手は軍手を2枚重ねにしているにも関わらず、ユズの棘は軍手の小さな縫い目を貫通して刺さってきます。イバラの森の中を踏み込む覚悟で、大きな枝を、のこぎりで切っていきました。
脚立のバランスを取るのと、棘を回避するのと、枝の断面を綺麗に切るのとで、考えることがいっぱいで、見た目以上にハードな作業でした。竹取りよりもスリリングだなあと思いました。でも、慣れてくると、それが楽しくも感じられるようになってきました。
夢中になって枝を切りました。収穫がしやすいように、高すぎる枝を切り詰めると、全体の輪郭が丸みを帯びて、とても可愛い樹の形になりました。内側に向かって伸びている内向枝を切ると、これまで木漏れ日が入ってこなかったところに、光が差してくるようになりました。枝と枝の間に隙間が空き、作業性もとても良くなりました。
■良い実のため
大きな枝を切った後は、剪定ばさみで細かな枝を切っていきます。枯れ枝や、主枝の背中側から出ている、ビュンと伸びた徒長枝を切除します。ユズの枝は、春に伸びる春枝、夏枝、秋枝があるのですが、春枝のみに花を咲かすことができます。春枝は結果枝となり、夏、秋枝は、樹の骨格を作る枝になるようです。伸びる時期によっても、その枝の役割が違うことが、興味深いなと思いました。
ユズの剪定をしていると、確かに枝によってほんのちょっとした違いがあることに気が付きました。夏枝、秋枝は、徒長枝のように、勢いが強くて、上に向かってビュンと伸びています。節が長くて、あまり葉は付いておらず、枝の断面は三角型をしています。それに比べて春枝は、太い枝の先端に付いていて、節が短く葉がたくさんついています。棘も、夏枝や秋枝に比べて、小さく細いです。春枝は実が付くので、切らないように意識しました。
ユズの樹を切っていると、切り口から、とても爽やかな甘い香りがしました。樹からもユズの香りがするのかと、とても驚きました。良い香りに包まれながらの作業が特別な感覚になりました。
剪定をする前とした後では、全然違って見えて、剪定をすると樹に光が入って、とてもスッキリしていました。樹を散髪しているようでとても楽しかったし、みるみるうちに変わっていくことが、気持ち良かったです。
ユズは、すす病にかかりやすくて、葉や枝に、すすのような黒い粉が付いて、光合成を遮ります。どうしたら病気を防げるのか、と思っていたけれど、剪定がすす病の薬になるのだと知りました。すす病は虫の排泄物から発症するようで、虫が住まない、風通しの良い樹にすることが、予防策になります。剪定をして、少しでもユズが育ちやすい環境になればいいなと思いました。
まちちゃんが一緒にのこぎりで切ってくれて、あやちゃんが、切った断面に、トップジンを塗ってくれました。棘が痛くて難しくはあるけれど、2人とも作業中に、とびきりの笑顔で、「楽しいねえ!」と言ってくれて、救われました。3人で協力して、1本の樹に取り掛かっている時間が、大変でもあり、楽しかったです。
剪定後、これからどうユズの樹が枝を伸ばしていくのか、今年はどのぐらい実を付けるか、経過を見ていけることが嬉しいです。