【4月号⑬】「パートナーを見つけて人気ヨモギスポットへ さあ、出発だ!」 みつき

 

 春のお楽しみイベントといえば、ヨモギ摘み。いつかな、いつかな……。待ち望みにしていたところ、ついにこの日がやって来た。
 気持ち良く晴れた春の空のもと、みんなとヨモギ摘みに出かけました。
 思っていたよりずっと外があたたかいことに驚きながら、服を1枚脱いで、帽子を被って、急いで中庭へと集まりました。

 今回のヨモギ摘みは、チームに分かれるとのことでした。そこで、なのはなではおなじみになってきた『パートナーゲーム』で、自分のチームメンバー探しをします。
「ん〜、どれにしようかな〜! あ、おでこのシールは隠しておいてね!」
 あゆちゃんがニヤリと笑いながら、みんなのおでこに次々とシールを貼っていきます。貼ってもらったあと、おでこに手を押さえて隠しているみんなの姿がなんだかシュール。

 さて、おでこのシールには何の言葉が書かれているのか? これを他の人に質問をしながら、特定して、自分の言葉と「組み合わせ」になっているパートナーを見つけ出すゲームなのです。

 


■四季とヴィヴァルディ

 わたしは、まず、まなかちゃんと、ご挨拶。そして問いかけてみます。「わたしは人間ですか?」
 答えは、「いいえ」
 このように、「はい」か「いいえ」で答えが返ってくるのですが、これが本当に面白いです。途中で出会った、ももかちゃんのおでこには『クイーン(バンド)』の文字。ももかちゃんからは、「わたしは曲ですか?」という問いかけでした。うーん……おしい!

 質問をする前から考え込んでしまって、首をかしげているみんなの姿も、可愛いくて面白かったです。
 わたしはと言うと、まさか、自分のおでこに書かれている言葉が『四季(曲)』だなんて、想像が付きませんでした。どうりで「人間でもなく」、「なのはなにも無く」、「有名な曲である」はずだ。そしてやっと、『ヴィヴァルディ』という言葉をおでこに貼っている、えつこちゃんを発見しました。
 わたしたちは、曲やアーティストたちを集めた『音楽』チーム。このメンバーで、ヨモギ摘みにレッツゴー!

 

 

「山畑の斜面に行こう」と歩き始めると……さすが、なのはなのみんなの人気ヨモギスポット。同じように考えているチームの子たちも歩いていて、山畑への道は、とても賑わっていました。

 そこで、保育園前畑で立ち止まってみました。
「あ、ヨモギがあるよ!」
 ヨモギが群生しているところは、あの淡い黄緑色で、すぐに見分けることができました。
 葉の裏は、ふわふわの白い毛で覆われています。摘んでさっそく鼻を近づけてみてしまいます。
 畑の斜面では、遠くからは気がつかなかったところで、ヨモギを見つけたりしました。他の草の下で、静かにこっそりと生えているヨモギは、わりと大きさはあっても、柔らかいままでした。そのほか、滝川横畑、いいとこ畑や斜畑をまわりました。ヨモギを探して、いつもと違う目線でまわる畑は、なんだか違って見えました。

 

 

 ヨモギ摘みって、なぜ、こんなにも夢中になってしまうのでしょうか。はじめはみんなで寄り集まって摘んでいたはずが、気が付けば、「あれ、みんな居ない?」。それぞれあちこちに広がって、もくもくと探しているのでした。

 しばらくして、立ち上がって辺りを見回してみると、みんながヨモギを摘んでいる背中がいくつも並んでいました。そのとき、ほんわかした気持ちに包まれました。
 ひたすら採っているのも楽しいけれど、最後は「採れた?」と言って、みんなで集まってヨモギを袋にまとめていくのも、うれしかったです。

 袋の中を香ってみると、爽やかなヨモギの香りがしました。

 

 

■春の味

 意外にも、袋にたくさんのヨモギが集まっていきました。帰るころには、袋はかなりずっしり、ぱんぱん。
「1キログラムあったら、ヨモギ餅1回分くらいなんだって」
「えっ、1キログラムになってるんじゃないかな!?」
 そう話して、ほくほく、ドキドキした気持ちで帰ってきました。
 
 お父さんとあゆちゃんによる計量の結果……。わたしたちのチームは、850グラムでした。全チームで合わせて、2キログラム近くも採ってこられたのが、本当に驚きました。

 ヨモギは小さいけれど、たくさん集まると、その淡い黄緑色で教えてくれる。良い香りを漂わせてくれる。そして、ヨモギ餅になって春の味を届けてくれる。

 

 

 春分の日、食卓にはヨモギ餅が並びました。
 あんこときなこが乗った、綺麗な緑色のつるんとした丸いお餅。あゆちゃんとりゅうさん、ひでゆきさんや、て最近新しく家族になった子たちが、できたてを用意してくれていました。

 今までで一番と言ってもいいくらいに、ヨモギの味も香りも深いヨモギ餅でした。食べながら、新しい子たちのヨモギ餅作りのお話を聞かせてもらって、その楽しさやうれしさも込められているから、心も満たされるような美味しさなんだなあ、と感じました。本当に美味しかったです。
 小さい春を、みんなと集めてくることができて、幸せもいっぱいに集められたようでした。なのはなのみんなとのヨモギ摘みが、大好きです。