3月11日のなのはな
この日のミーティングは、いつもと一味違い、ディベートをしました。ディベートとは、1つの論題について、異なる意見の立場にわかれて討論し、どちらがより説得力のある話をしたかを競うものです。私は、ディベートをしたことがなかったのですが、対決形式の話し合いに、ハラハラ、ドキドキしました。
論題は、何気ないテーマを、お父さんが作ってくださりました。例えば、「無人島で過ごすとき、1種類だけ植えるとしたらサツマイモか、ジャガイモか」や、「人を感動させるダンスはフラダンスか、モダンダンスか」、「肥料をやるとしたら、牛肥か鶏糞か」などです。どちらの答えになってもいいような、絶妙なお題が、その都度お父さんから出され、それについて、本気になって話し合います。最終的な判定は、聴衆のみんなの、拍手の大きさで決まります。
最初は、1人対1人でのディベートで、それぞれに応援団が2、3人ついて行いました。私は応援団に入って、同じチームのみんなと、説得力のある根拠を必死に探して、作戦を立てました。
ディベートが始まると、最初は少し遠慮がちだった人も、討論が進むにつれてどんどん盛り上がって、はきはきと、熱を込めて話している姿があって、それが嬉しかったです。自分では考えられないような鋭い観点からの意見や、ユニークだけれど、否定できないような意見が出てきたりして、見ているだけでも、とても楽しかったです。
私も、ディベートに参加しました。3人対3人で、お題は、「中華料理店に入って注文するのは、炒飯か中華丼か」という内容でした。私は、中華丼チームになりました。どちらでもよいことではあるけれど、どうしたら、中華丼が良い、という答えを、説得力を持って伝えられるだろうか、頭の知恵を絞りだすように、フル回転させて、考えました。
炒飯と中華丼の違いは何だろうか、中華丼の長所、炒飯の短所はどんなものがあるだろうか。それを考えながら、意見を出すときに、前で聴いているみんなに納得してもらえる内容にしないといけないから、自分の私的な感想や、主観的な考えが自然と消えていくような気がしました。主観を無くして、客観的な根拠のみを考え、伝える、というのが、どれほど難しいかを身に染みて感じました。
また、相手チームの意見を聞くと、確かにそうかもしれない、というような気持ちになって、論破するのはとても精神力が必要だし、自分の意思をぶらさずに持ち続ける、ということが難しかったです。
結果は炒飯が優勢でした。人に説得力を持って伝えることが課題だと思ったし、それに自覚できて、改善できる機会があることがありがたいなと思いました。
お父さんが最後に、摂食障害から回復するときに、客観性を持った考えをできることが、とても大切なことだと話してくださりました。自分を離れて、俯瞰して物事や自分を見据えることができると、行き過ぎた間違いを、自分でセーブすることができます。
ディベートをしているとき、自分よがりな気持ちはすっぼりと抜けて、自分も、人も分かりやすい、オープンな考えで頭をいっぱいにさせることができました。すると、自分の意見ではあるけれど、拘りはなくなり、負けても後味がすっきりとしていました。
普段の生活でも、自己否定や、被害感情などを抜きにして、ディベートをした時の考え方、頭の使い方のように、客観的に見られるようになったら、きっと自分で間違いに気づき、自分自身で正しさをもって説得できるようになると思いました。
仲間が自分の映し鏡となって、客観的に自分のあり様を見せてくれる、ということを、以前、お父さんが話してくださったことがありました。ディベート対決で、自分の今のあり様をみんなから教えてもらって、自覚できたから、みんなと進化していくことができるなあと思って、今日の時間がとても嬉しかったです。
(りな)
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桃の摘蕾、2巡目を進めています。今日は、開墾26a畑の清水白桃を終えて、新桃畑の紅清水に取り掛かりました。
2巡目の摘蕾は、1巡目よりもずっと重要になってきます。はじめにあんなちゃんが、実際に枝を見ながら、摘蕾の基準を教えてくれました。
約10センチ間隔ほどに蕾を残していくけれど、大切なのは、枝の一番いい位置に、いい蕾を残すこと。実がついたとき、枝にぶつかったり、枝先で垂れ下がったりしない、適切な位置に蕾を残せるようにと、教えてもらいました。
一度落としたら、もう元には戻らない蕾。いい位置に、いい実をつけられるよう、桃の実がついたイメージをしながら、摘蕾に向かいました。
基本的には、枝の先端の蕾は落とすけれど、15センチ以内の短い枝なら、残すときもあります。
その枝に対して、一番いい位置はどこか。あんなちゃんが枝の長さに応じて残す蕾の位置を、自分の中に落とし込みつつ、少しずつ感覚が掴めてきたようにも感じました。
これから、的確にもっと素早さも意識して行えるようになっていきたいです。
開墾26a畑を、最後まで摘蕾することができて、次の畑へ移動するとき、あんなちゃんが1回『ケイドロ』をしてから行こう、と言ってくれました。
前回も桃畑で『ケイドロ』を行った話を聞いたけれど、私は今回が初めてでした。すごく嬉しかったです。
ジャンケンをして決まった警察は、りなちゃんと、おとちゃん。とても足の速い2人でした。20秒数えて、その間に他の6人の泥棒が、開墾26a畑の隅々に逃げました。
『ケイドロ』をするのは、いつぶりでしょうか。小学校の校庭で遊んでいたとき以来かもしれません。ピンクジャンパーを着た警察が、こちらに全速力で駆けてくるとき、心臓が高鳴っていくことを感じました。
桃の木の間を縫って、傾斜を走ります。次々に泥棒が捕まって、3人、牢屋の軽トラ前に繋がれてしまいました。
私は、そっと牢屋の後ろにいて、番をしていたりなちゃんが他の泥棒を追いかけるとき、無我夢中で、捕まっているみんなの元へ駆け出しました。思っていたのは、みんなをタッチして解放して、一目散に逃げていくことでした。
けれど、斜面を全力で駆け下りると、足が滑って、思い切り前のめりに倒れこんでしまいました。もう、これは駄目だ、と伏せていると、りなちゃんにタッチされていました。
顔をあげると、あんなちゃんたち、他の3人はどうやら逃げることができたようで、少しは役に立てたことが、嬉しかったです。その後、今度はあけみちゃんが助けに来てくれたけれど、りなちゃんから逃げることは叶わず。
開始から5分経って、牢屋に繋がれていた泥棒は半数以上。今回もやはり、警察の勝ちでした。
短い時間だったけれど、童心になって、追いかけるものと追いかけられるもの、野性のままに遊んで、身体も心も、解放されたように感じました。
その後、新桃畑の紅清水の摘蕾に移ったのですが、すごく晴れやかな気持ちで摘蕾も進めることができて、嬉しかったです。
紅清水は、清水白桃に比べてまだ蕾は膨らんでおらず、すっとした形をしていました。新桃畑は平らなこともあって、摘蕾がやりやすかったです。
この日は風もなく、着こまなくても過ごしやすい摘蕾日和でした。大きな開墾26a畑を終えられたことが、嬉しかったです。
2巡目は、3月20日ごろまでには終わらせたい、とあんなちゃんから聞いています。まだまだ畑は多くあるけれど、少しでも早く進めていけるよう、これからも集中して摘蕾に向かって行きたいです。
(りんね)