3月8日のなのはな
みんなで塩糀をかき混ぜて見守った2週間。毎晩、交代で、ペアでタッパーの中をかき混ぜて、日に日に変化していく塩糀を見守りました。納豆菌とも戦いながら、無事に完成の日を迎えました。
この日は、塩糀「もっちー」の旅立ちの日。タッパーで育った塩糀はお土産用の小さな瓶と中くらいの瓶、大きな瓶に入れて台所デビューを果たしました。
タッパーをあけると甘いフルーティーな香りがしました。よく、バナナのにおい、と言われますが、確かに、かすかにバナナのような甘い香りが漂っていて、ひろこちゃんが「塩バナナ」と表現していたのが、とてもしっくり来ました。混ぜるともったりしていて、まるでつぶしたバナナのような形状と色でした。
あらかじめ煮沸消毒しておいた瓶たちに、横口のお玉ですくって入れていきます。瓶にこぼさずに入れることが意外と難しくて、苦戦しました。
瓶いっぱいにクリーム色の塩糀がたっぷり注がれていって、本当においしそうでした。これが甘酒ならいいのになと何度も思いました。甘いにおいがするのに味はしょっぱいのが不思議だなと思います。
たくさんの瓶に詰め終わると達成感を感じました。米糀の一粒一粒がきらきら輝いているようでした。
米研ぎから始まった、糀と味噌の物語。味噌の仕込みに続き、塩糀も完成して、最後の瓶詰めを終えることができて、ほっとしました。これから食卓で大活躍してほしいと思います!
(ほのか)
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私は今期初めて、桃の摘蕾2巡目の作業に入りました。
この日の摘蕾の舞台は開墾26a畑。なのはなにある桃畑の中で、一番大きな畑です。
作業に入る前に、あんなちゃんが、初めて2巡目の摘蕾をする人に説明をしてくれました。桃の摘蕾の2巡目は、最終着果数の4~5倍の数に蕾を間引きます。短い枝は1~2個の蕾、30~40センチの枝はだいたい5~6個程度の数に絞る。蕾と蕾との間隔は10センチほど。先端の蕾は落とす、なぜなら実がついて重たくなったとき、枝が大きく揺れてしまうからです。大きくなった実が明らかに枝にはさまりそうな位置にある蕾も落とします。
これらはあくまで目安です。大事なのは、どのように実がついていくのかをイメージしながら作業することです。
脚立に上って摘蕾を始めると、ただ枝の上にある蕾を落とすだけだった1巡目の摘蕾とは違った面白さを感じました。1巡目の摘蕾は何も考えずに枝の上をなでて蕾を落としていて、スピード重視の作業だったのに比べ、2巡目は心を遣う難しさを感じました。桃の木にとって優しい摘蕾とは。どうしたら良い実がつくのか。どこが桃のスイートスポットで、どこに蕾を残すのか。残す蕾に迷ったときは、どちらの蕾がぷっくりとしていて大きいか。そこまでシビアに心を遣って摘蕾をします。
こうやって一人ひとりが心を遣って大人数で行う摘蕾が、7月に生る、感動するような甘さを誇る、美味しい桃につながるのだと思うと、ロマンを感じました。私も、まだ見ぬ桃に向かって、心を研ぎ澄まして、指先と心を存分に遣って摘蕾をしました。
作業も中盤を超えて、夕方も近くなり冷えてきたな、と感じてきた頃、あんなちゃんが、「ここで気分転換をします」と一声。なんだろう、と聞いてみると、 なんと、「おしくらまんじゅうをします!」とのこと。え、おしくらまんじゅう!小さい頃よくやりました。けれど実際にやるの何年ぶりだろう?!
「おしくらまんじゅう、おされて泣くな、を5回繰り返します」とあんなちゃん。なるほど。緊張はしない。けれども本気でやる。体力と力には自信がある。かかってこい、みんなよ。
ふと見回すとみんなも本気の顔をしている。どんなときも手を抜かないなのはなの子。
みんなで後ろ向きになって手を組んで、せーので、
「おしくらまんじゅう、おされて泣くな!」
お、私、結構、力が強いな。後ろの人を押せているぞ。
「おしくらまんじゅう、おされて泣くな!」
押してやる! お、ナナメ左方向からの圧がすごい。
「おしくらまんじゅう、おされて泣くな!」
右から押されてはみだしそうになったじゃないか! 誰だ、押した人は!
「おしくらまんじゅう、おされて泣くな!」
やめて、私、これ以上押されたら、もう、はみでるよ!
「おしくらまんじゅう、おされて泣くな!」
やだもう、右からも左からも、もみくちゃ!
すごい力でした。私が、じゃなくてみんなが。私、力は人よりあると思ったんだけどなあ。
ふと前を見ると、同じフルメニュー実行委員をしているあけみちゃんが真顔でいる。なんだか渋い表情をしています。あけみちゃんが一言。
「みんな、フルメニューの効果が出てる」
そうか。それは実行委員として喜ばしいことだ。
おしくらまんじゅう、とても久しぶりだったけど、とっても楽しかった。そして暖まりました。みんなとだから、暖まれるし、嬉しいし楽しいんだな。
午後5時も近くなり肌寒くなってきたところで、この日の摘蕾は終わりました。この日は午後のはじめに、アセスメント演奏もあったため、みんなのお化粧や口紅が桃畑で映えて、一段と畑が美しく感じました。桃の摘蕾2巡目はまだまだ序盤。良い桃を作るために、これからも桃に気持ちを添わせて頑張ります。
(まち)