「ありのままで、精一杯の理想を持って」 りんね

11月19日

〇読み合わせ

 今日の午後、いよいよ来週から始まる通し練習へ向けての、脚本の読み合わせがありました。
 前回の読み合わせでは、面白いシーンの印象が大きかったのですが、今回は、後半のシーンが強く心に残りました。
 特に、あけみちゃんが演じる登場人物の台詞を聞いて、涙が出ました。

 オブリビオンの朗読が始まって、一番はじめに読んでくれたのが、あけみちゃんでした。あけみちゃんの真っすぐさ、本気で自分のこととして、詩を読んでいる姿に、心を動かされました。
 そのときのように、多くは語らなくても、あけみちゃんのはっきりとした言葉から、登場人物の、ひいてはあけみちゃんの意思が伝わってくるように感じました。
 「自分を捨てること」。それが、依存に逃げずに、強く戦って生きていける道。それを、これからコンサートへ向かう中で、自分の中にしっかりと入れていきたいと思いました。

 また、脚本に出てくる魔女が、本当に自分そのものだったと感じました。
 まずは生き延びること。案内人が言っていたように、そのために、私は一度魔女になったのだと。
 今、至らないけれど、ゆいちゃんのシスターをさせてもらっていて、ゆいちゃんの気持ちを思うと、なのはなに来たばかりの自分と、ほとんど同じ心境だということに気づきました。
 私は、初めて日記に書いてしまうことだけれど、なのはなのアセスメントに来たとき、みんなの演奏に感動することができませんでした。真っすぐに受け取るばかりか、皮肉な思いばかり湧きました。家に帰っても、到底、渡してもらったコンサートのDVDを観る気になれませんでした。
 「私には合わない」。ゆいちゃんと同じ言葉を、親に話しました。けれどここに来たのは、もう後がなかったからです。どこにも居場所がなかったからです。

 なのはなに来て、はじめは症状だけ治してすぐにも外へ出たいと思っていました。
 毎日の作業も、嫌だと思いながらも、治ったふりをするために、出ていました。本当に楽しいと思っていたのは、ギターだけでした。
 実際、私はなのはなに合っていなかったと言えるくらい、本当に、魔女になってしまっていました。
 まずは生き延びること。私にとって、そのために、人の心を失くして、損得勘定に凝り固まってしまうことが、必要でした。誰とも関係が取れない嫌われ者になることが、私にとって必要なことでした。
 そんな状態から、人の心を取り戻していくことは、容易ではありませんでした。けれど今、まだまだ雑味があるけれど、なのはなを本気で信頼していることに、気づきました。
 バディのほしちゃんや、同盟のみんな。本音を言って共感しあえる仲間が、私にはいることに、気づきました。

 脚本を聞いていて、はっと、そのことを思ったとき、私は救われたんだと思いました。
 まだ真人間とは言えないまでも、もう一歩で魔女ではないと言えるくらい、なのはなで、人間の心を取り戻したのだと。
 お父さんが書いてくれた脚本は、私たちのことでした。私たちが生きていくために、本当に大切なことを、コンサートで何度も何度も聞いて、できる限りで落とし込んでいけること。それが本当にありがたいなと思いました。

 まだ理解不足なこともあるのですが、脚本をしっかりと読み込んで、心に留めておきたいです。

〇りかちゃん

 今日は、サプライズで卒業生のりかちゃんが帰ってきてくれました。
 忙しい中、香川から日帰りで帰って来て、ダンス練習を見てくれたことが、本当にありがたいと思いました。

 振り入れの日以来、初めて、りかちゃんに『ダンス・モンキー』を見てもらいました。
 原曲の速さで1曲を踊った後、りかちゃんが拍手をくれて、「すごく練習してくれたんだなって、思いました」と言ってくれました。
 その言葉に、胸が熱くなりました。
 振り入れのときは、まだまだ形になっていなかったダンス。毎日、寝る直前にワックの基礎練習をしたり、メンバーでりかちゃんの動画を何度も見て、動きを解読したり、1番、2番と、少しずつ踊れるようになっていった日々。
 今こうして未熟なりにも、できることは尽くしたという思いで、りかちゃんに見てもらえて、りかちゃんのダンスを踊れて嬉しい、という思いが伝わったかなと思って、それが本当に嬉しかったです。

 今日、改めて最初から丁寧に振りを確認してもらって、以前よりも、りかちゃんの動きを吸収できることが増えたと感じました。
 何も分からない状態ではなく、基礎のステップが入った上で、りかちゃんの滑らかな動きを見ると、腕や体のニュアンスを、少しずつ自分にも落とし込んでいくことができました。
 みんなと動きが揃っているか、という心配をしていたけれど、今日の練習で、かなりまとまって踊れるようになったと感じました。

 お父さん、お母さんにも見てもらえて、「踊っていて楽しいでしょ」とお母さんに言ってもらえたことが、嬉しかったです。本当に、楽しいです。
 また、りかちゃんたちが4人で踊る『セニョリータ』も前から観させてもらって、本当に魅力的で、きれいだなと思いました。

 次にりかちゃんが来てくれるときには、もっと進化できるように。今日教わったことを体に入れて、みんなと練習していきたいと思いました。

〇よく見せたいと思わないこと

 先週の木曜日の夜に、えつこちゃん、さくらちゃんとOMTをしました。
 そのときに、3人に共通していて、すごく共感したことがありました。

 楽器演奏や、ダンスをするときに、「よく見せたい」という欲があると、全然できなくなってしまう、ということです。
 心に雑味があると、楽器から音が出なくなってしまう、手元が狂ってしまう、踊れなくなってしまう。
 いかに雑味のない、澄んだ気持ちで向かっていくかが、本当に大切なのだと改めて実感しました。

 今まで、自分のことでしかそのことを考えてこれなかったけれど、そのときに集まった2人も、全く同じことを感じていたということを知って、抽象的に受け止めていた思いを、強く実感することができました。
 私は、心の雑味を無くすことが、とても大きな課題です。自分を今以上に良く見せたいとか、人よりも良く見せたいという利己心を無くすこと。これも、「自分を捨てること」に繋がると思いました。
 ありのままで、精一杯の理想を持って、やるだけ。本当に心を透明にして、これから合わせや、練習に向かって行きたいと思いました。