「雪」 みつき

11月2日

●初雪を見た朝

 11月になって、朝晩はめっきり冷え込むようになりました。
 今朝は、なんと、初雪が降りました。
 …というのは、嘘になってしまうのですが。

 朝食前に、まなかちゃんと小豆の豆だしをしていました。
 小豆を選別できる状態にしたくて、豆だしのほか、洗いや干しなど…工程はいくつかあって、ふたりで、とうみかけもしました。
 以前までは、木で出来た重たくて大きなものを使っていたと思うのですが、今回は、別のとうみを使いました。鉄製で、水色の、ちょっぴり小さめのものです。機械のボディにレトロな文字で『スピー』と書いてあったり、かわいらしい相棒です。
 豆出ししたばかりの小豆には、ゴミや殻が混じっていて、それをまなかちゃんが上から注いでいってくれるので、わたしはハンドルをくるくる回し続けました。
 回しながら、とうみの噴出口のあるほう、3メートルほど先を見ると、驚きました。粉々の豆殻が、あたり一面にふわふわと舞い散っていました。

 濃い霧でぼんやりとした空気のなかにあるその光景は、本当に、雪が降っているように見えました。
 思わずまなかちゃんに「雪だ!」と話してしまいました。わたしにとって、初雪のようにうれしくて、はしゃいでしまう光景でした。
 小豆も綺麗になって、まなかちゃんとたくさん進められてうれしかったです。

 

●小豆と追いかけっこ

 豆出しし終わったそばから、入れ替わりのように、続々と熟れたての小豆が古吉野なのはなにやってきます。
 午前中は、小豆の収穫をしてきました。
 昨日の朝に途中になってしまっていたコミュニティ畑に行ったのですが、収穫し終わっていたはずの畝も、取れそうな莢がちらちらと見えていました。まだ手つかずだった畝は、かなり収穫できるものが多かったです。こんがり日焼けしてカリカリとした莢から、小豆がこぼれ落ちそうでした。

 収穫しながら、うっすら汗をかいていました。朝の寒さが信じられないくらいで、真冬のようなきゅっとした気持ちも、真夏のような暑さにじわあと溶けていきました。
「スピードはあるけれど、取り残しなくきれいに。みんなで『親切なクマ』になって取ろう」
 とひろこちゃんが話してくれました。小豆の収穫の作業の時、いつもひろこちゃんがテーマを作ってくれるのが、すごく楽しいです。
 最後の桃横畑では、残り10分間だったので、「早急な莢だけ取って、がつがつ進もう!」と、とにかくスピーディに収穫しました。
 このあたたかさのおかげで、まだ冬眠せずに動き回るクマになれるなあと思います。ただ、小豆の熟れもものすごいスピードで進んでいるので、小豆と追いかけっこです。
 たくさん収穫できるよう、みんなと頑張りたいです。

●今、ここ、自分

 明日からは、音楽合宿です。
 お父さんお母さんが脚本書きをしてくださっている間、わたしもダンスやコーラス、係作業など、できることをどんどん仕上げていきたいです。
 文化祭の演奏もあるので、ホールの舞台に立った感覚を、コンサートにも持って行けるよう、はっきり捉えてきたいです。

 今、『ダンスをとにかく揃える週間』で、日中に1時間、夜にも1時間、みんなとダンスの練習をしています。

「ここのカウントはこう揃えていいですか?」「この振りはこの形で良いと思いますか?」
 質問や意見がいくつも出てきて、ひとつひとつ解決していく時間。
 実際に通して踊ってみて、上手くいっても、いかなくても、「悔しい!」と言い合いながら繰り返し詰めていく時間。
 みんなが自分事としてその場に居ることが、本当にうれしくて、何にも代えられない力が、ここに集まっているのを感じます。

 今、ここ、自分。今のこのプロセスが1番大切だと思って、コンサートのためにも、自分の未来のためにも、毎日、進化したわたしになっていきます。