
10月29日のなのはな
卒業生のりかちゃんが帰ってきてくれて、1日を通して『ダンス・モンキー』の振り入れをしてもらいました。
今年のウィンターコンサートで、りかちゃんが振り付けてくれるのは、『セニョリータ』に引き続き2曲目です。ダンスメンバーは、『セニョリータ』を踊っている4人と、背の小さい組で5人が加わりました。私は、本格的にりかちゃんの振付を踊らせてもらうことは、今回が初めてで、とても嬉しかったです。
はじめに、『ダンス・モンキー』の曲の解釈について、りかちゃんが話してくれました。
最初は人に踊らされるように踊っていたけれど、だんだんとダンスの中に自分の大切なものを込めて、自分の意思で踊れるようになっていく、という歌詞の内容だと、教えてくれました。
その想いを込めて、りかちゃんが振付を考えてくれたダンス。ダンスを通して歌詞の意味を、さらになのはなの解釈に深めて、みんなで踊っていける予感がしました。
『ダンス・モンキー』は、コンサートの新曲の中でも、独特の空気感があることを感じます。聴けば聴くほど、曲の気持ちが自分の気持ちと同調して、さらに膨らんでいくようで、好きな気持ちが高まっていく曲だと感じていました。
りかちゃんが振り付けてくれたダンスは、そんな『ダンス・モンキー』の跳ねるようなリズムと、動きが重なっていました。
イントロから歌が始まると同時に、首、上半身、とストップ・モーションで一つひとつポーズを取るところから、だんだんと動きがついてきます。1曲を通して、同じパターンが出てくることはありません。最初から最後まで、違っているステップ、動きの連続です。
シンプルな形を丁寧に踊る動きから、終わりに近づくにつれて、動きが複雑になっていき、さらに気持ちも込めていけるように、と振りを考えてくれたことを、りかちゃんが伝えてくれました。
サルサや、ワックというダンスの動きが入った、ステップや腕の動きは、今まで踊ったことがない動きでした。ステップと腰の入れ方、腕の付き方。りかちゃんが踊ると、何気ない動作でもすべてが美しく、ダンスの形になっていることを感じました。
けれど、その流れるような動きを真似してみようと思っても、なかなか同じようにすることができませんでした。ともすれば、ちょっと怪しい、忍び足のおじさんのような動きに、なってしまいました……。
次々と出てくるステップを、りかちゃんが丁寧に教えてくれました。りかちゃんがステップを自由に繋げるようにして踊る姿から、サルサやワックのダンスを、りかちゃんが深く理解して、自分の物にして、踊っていることを感じました。
そんな風にいきなり踊ることはできないけれど、ゆっくりのテンポで、何度でも繰り返してりかちゃんが踊ってくれて、見よう見まねで踊っていると、最初は理解できなかった複雑な動きも、少しずつ身体に入っていくことを感じました。
午前に、2番のサビ前まで、午後に、曲の終わりまで、一通り振り入れをしてもらいました。
一通り教えてもらった後は、分からなかったこと、難しい動きを、りかちゃんがかみ砕いて、根気強く教えてくれました。
まだまだ、ダンスの形に達していないところも多いけれど、そんな風に丁寧に教えてもらって、練習を繰り返して、この振付を踊れるようになる予感が、少しずつ強まっていきました。
最後に0.8倍速で1曲を通して踊ったとき、曲の全体の流れが感じられました。踊りながら、だんだんと情緒が深まって、自由になっていくような、本当に素敵な振付けだと思いました。
最後は、「あなたも一緒に」と誘うように、お客さんへ手を伸ばすポーズで終わります。その終わり方も、大好きだな、と思いました。
午前午後と、合わせて6時間近く、体育館で振り入れをしていました。
そんな時間もあっという間に感じるくらい、りかちゃんの振付けを踊らせてもらうことが嬉しくて、楽しくて、根気強く教え続けてもらったことが、本当にありがたかったなと思いました。
1曲を通して違っている振付けに、
「みんなとやってみたいことがたくさんあって、気合入れすぎちゃった」
とはにかんで言っていたことも、りかちゃんが、なのはなでみんなとダンスを踊ることを、心から嬉しく思ってくれていることが伝わって来て、私も、とても嬉しくなりました。
お仕事で忙しい中、日帰りで帰ってきてくれて、こうして振り入れをしてくれたことが、本当にありがたかったです。
猛特訓が必要だけれど、次にりかちゃんが帰ってきてくれるときには、しっかりとしたダンスを揃えて踊れるように、練習を頑張りたいと思いました。
(りんね)
***
音楽合宿第7弾の目標のひとつが、
「アンサンブル全曲を完成させて、ブラッシュアップの段階に入る」
でした。私はこの目標を読んだとき、1分1秒たりとも無駄にしたくないと、気持ちが引き締まりました。これから脚本ができあがってくると、演劇練習も入り、まとまった音楽練習の時間もますます貴重になってきます。
気合いを入れて音楽室に入り、楽器の準備をしていると……ルトサックスを手に持ったあゆちゃんが音楽室に入ってきました。そう、あゆちゃんも『ブエノスアイレスのマリア』と『アミューズメントパーク』にアルトサックスで入ってくれることになったのです! なんて心強いことでしょう。また曲に深みが出そうだと、これからに希望を感じました。
今日はアンサンブル練習と同時に新曲のダンス練習も進んでいて、アンサンブルメンバーは全員ではなかったのですが、欠けている音も自分がフォローするという気持ちで練習に向かいました。これは、午前中のビッグバンド演奏の練習のときにあゆちゃんが教えてくれたことです。
「人数が揃っていないとき、自分がその欠けている音を埋めようという気持ちで演奏することで、自分の実力が試される。私も、バンド練習で、いない人がいる日は、そういう気持ちで演奏している。自分の声はひとつだけだけど、自分の声の倍音で欠けている音を埋めようという気持ちで歌っている」
と、午前中の練習のときに話してくれました。
アンサンブル練習のときも、ダンス練習で抜けている人はいたけれど、抜けている音があることを感じさせない演奏ができるように、自分の実力を高めようという気持ちで向かいました。そうすることで、今日は練習に来られなかった人が、次に一緒に練習するときに、よりやりやすくなるだろうと思いました。
欠けている音があったとしても、自分がその音を埋めるという気持ちで演奏に向かう、その心持ちを教えてもらえたのが、今日のひとつの収穫でした。
午後の前半は個人練習をして、後半から、ゆっくりめのテンポで、『アミューズメントパーク』から合わせをしました。これから合わせようというタイミングで、お父さんが音楽室に来てくださいました。そして、『アミューズメントパーク』の中の1曲『メインストリート』を聞いてくださいました。お父さんが笑顔で聞いてくれて、「トロンボーン上手くなったね」と言ってくださったことがとても嬉しくて、励みになりました。
『アミューズメントパーク』は、『メインストリート』『ホーンテッドハウス』『メリーゴーランド』『ローラーコースター』の小さな4曲が集まっています。3つのパートで成り立っていますが、3つのパートだけでこんなにカラフルで楽しくて踊りだしたくなるような音楽ができるのだと、はじめてこの曲を聞いたときは驚きました。それから、原曲はサックスだけですが、私たちはサックスとトロンボーンでこの曲を吹くので、もっとなのはならしいアンサンブルになりそうだと、とてもわくわくした気持ちになりました。
ひとつひとつの曲を、ゆっくりめのテンポで何度も何度もあわせました。まだ途中経過ではありますが、この曲を演奏していると、音で会話をしているみたいな、とても幸せな気持ちになって、一緒に演奏している仲間のことがもっと大好きな気持ちになります。

『メリーゴーランド』を合わせている途中、かにちゃんが写真を撮りに来てくれました。かにちゃんが、演奏を喜んでくれたことが嬉しくて、かにちゃんに向けて、また最初から『メリーゴーランド』を合わせました。3拍子の優雅な曲で、この曲を吹いているととてもあたたかくて幸せな気持ちになります。
一番嬉しかったのは、『ローラーコースター』を合わせることができた瞬間です。これで、『アミューズメントパーク』の4曲全てが形になりました。あとは、ブラッシュアップです。『ローラーコースター』は4曲の中でも得に難しくて、連符があり、はじめて聞いたときはこれをトロンボーンで吹くのか!? と、思ってしまいました。しかし、地道に1小節ずつ、テンポ60からはじめて少しずつ速めて、また次の小節に進んで、という地道な個人練習をして、なんとかテンポ90で合わせられるようになったときは、不器用な私でもその気になれば出来るんだと、そのことが自信になりました。
目標は、テンポ120で吹けるようになることです。しかし、この調子で地道な練習を積み重ねれば、できそうです。サックスも、複雑な連符が多くあり、題名に『ローラーコースター』というように、本当に絶叫マシーンのようにスリリングな楽しさのある音楽です。とても難しいけれど、私は、この4曲の中で『ローラーコースター』が一番好きです。
昨晩、脚本の前半の読み合わせをしたとき、とてもカラフルで、楽しいキャラクターが出てきて、このアンサンブルの『アミューズメントパーク』は、今年のウィンターコンサートのイメージにぴったりだと思いました。これからもっとブラッシュアップしていくのが、とても楽しみです。
そして、最後は、あゆちゃんも新しく入ってくれて、『ブエノスアイレスのマリア』を合わせました。今日は、慣れるために、何度も何度も通して吹きました。やはり、アルトサックスが入ると、曲に奥行きが出てきます。あゆちゃんが入ってくれて、これから一緒にこの曲を深めていけることが、とても楽しみです。
私が最近感じているのは、音もひとつの言葉だということです。日本語で表現しきれないところを、音という言葉で表現するのが、とても楽しいです。もっともっと深い演奏ができるように、これからも頑張っていきます。
(えつこ)